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働き方改革で残業はどうなる?時間外労働の上限規制を解説します!

2018年6月28日に働き方改革法が成立したことにより、企業の残業時間への管理体制がより一層求められるようになりました。

法改正項目の適用期間は企業規模によって異なりますが、法改正に対応できる労務管理について対策をしていかなければなりません。
企業としては、知らなかったでは済まされなくなっていますので、しっかりと理解をして正しい対策をしていくようにしましょう。

こちらの記事では、残業(時間外労働)の上限規制についての内容と取り組むべきことについて解説していきます。

時間外労働とは

決められた労働時間(定時)を超えて仕事をすることです。
意味合いとしては「残業」とほぼ同じになります。

時間外労働(残業)には大きく分けて2種類あり、

  • 「法定外残業」とは法定労働時間の1日8時間/週40時間(※)を超えて労働した時間
  • 「法定内残業」とは会社の就業規則にある所定労働時間を超えて労働した時間

のことで、後者の場合は法定労働時間内であれば割増賃金の支払いは不要である、という違いがあります。

労働基準法により、特定の手続きを踏まない限り、法定労働時間を超える労働は禁止されています。法定労働時間というのは、1週間で40時間(※)、1日8時間までのことです。
※ただし、一部業種(商業、映画・演劇業・保健衛生業・接客娯楽業)で常時使用する従業員が10名未満の事業所では44時間

これまでは行政指導のみだった

法定外残業をするには、36協定を結ぶ必要があります。
この手続きを踏むことにより、月に45時間まで、年間360時間までといった範囲内で時間外労働を行うことが可能になる制度です。
しかしこれまで、特別条項を設けた場合、特定の月の年6カ月については残業時間に法的上限はなく、これらを超過してしまった場合でも法律違反にはなりませんでした。
前述の月であれば極端な話、どれだけ残業をさせていても、行政指導のみで済んでしまっていたのです。

時間外労働は月45時間までとの上限規制が制定

時間外労働は月45時間までとの上限規制が制定

(出典:https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html

これまでも、残業の上限時間は36協定で決められていましたが、特別条項を設けることで年に6回、法的上限がないことによる長時間労働が問題視されていました。

しかし今回の働き方改革法の施行により、残業時間の上限が明確に制限されることになりました。残業時間の上限規制がされたことで、残業時間の上限を違反した企業には罰則が与えられます。
罰則については後述します。

今回の法改正における変更点

働き方改革法の変更点

(出典:https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html

働き方改革法の変更点

(出典:https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html

  • 改正前:法律上の残業時間の上限は実質なく、超過した場合でも行政指導のみ
  • 改正後:法律で原則、残業時間の上限(月45時間以内、年間360時間以内)が定められ、超過した場合は罰則(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)あり

法改正前に36協定を結んでいた場合でも、働き方改革法施行による残業時間の上限が規制されたため、新しい様式で提出する必要があります。(届出様式はこちら

施行は大企業が2019年4月・中小企業が2020年4月~

施行の開始時期は企業規模によって異なります。
大企業が2019年4月施行、中小企業が2020年4月施行となっています。

働き方改革法でいう「大企業」と「中小企業」の定義は以下になります。

  • 大企業:

    以下の中小企業の定義に当てはまらない企業

  • 中小企業:

    資本金または出資金の額が、『小売業・サービス業で5000万円以下』、『卸売業で1億円以下』、『その他の業種では3億円以下』の企業
    または、常時使用する労働者の数が『小売業で50人以下』、『サービス業・卸売業で100人以下』、『その他の業種では300人以下』の企業

適用が猶予・除外される事業職種

事業や業務によっては、残業時間の上限規制に猶予期間が設けられる場合や除外される場合もあります。

働き方改革法の適用が猶予される事業・業務は、「建設事業」・「自動車の運転業務」・「医師」等が対象で、働き方改革法施行による残業時間上限規制が5年間猶予されます。
働き方改革法の適用が除外される事業・業務は、「新商品や新技術等の研究開発業務」が対象になっています。

適用が猶予・除外される事業職種

(出典:https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

企業がとるべき対策とは?

働き方改革の残業規制に関して、主に企業がとるべき対策は大きく以下の3つに分けられるでしょう。

  • 従業員の労働時間(残業時間含む)の把握

    各従業員がどのくらいの時間働いているのかをまず把握しなければなりません。
    職場での残業が発生しているのか、従業員ごとに残業時間に差はあるのか、同じ作業をしている従業員間での残業時間に差はあるのかの現状把握をまず行いましょう。

  • 従業員の仕事量(業務ボリューム)の調整

    従業員の残業時間の把握ができたら、次は従業員ごとの仕事量が適切か、一部の人間に集中していないかを確認します。
    残業の多い社員は仕事が多いのか、手際が悪いのか、サボっているのか、など原因の追究も行いましょう。
    たいていの場合は、一部の従業員に作業が集中していることが多いです。
    職場内での仕事量の均一化を図り、特定の従業員だけがずば抜けて残業をしないように配慮しましょう。

  • 残業時間(時間外労働)の削減

    残業時間の把握をし、仕事量の均一化をしたら、最後は現在の仕事のやり方の見直しを行います。
    仕事の優先順位を決め、すぐにやらなければならないことをやり、急ぐ必要のない仕事は次の日に回すようにしましょう。
    仕事の依頼をする側の従業員には必ず期限を決めて依頼するよう指導してください。
    仕事の早い従業員のやり方を共有して、スキルにムラがないようにすることも今まで以上に必要になってきます。

要注意!時間外労働の上限規制による懸念事項2例

働き方改革法の施行で時間外労働(残業)の上限が規制され、残業が減ることが期待されます。従業員にとってメリットが多いですが、懸念されることもあります。
残業時間の上限に規制がかかることで発生する懸念事項について2例見ていきたいと思います。

サービス残業が増える

残業時間の上限規制により、従業員は残業時間が上限を超えないようにするでしょう。
まだ仕事が終わっていない場合は、仕事を途中でやめるわけにもいかないけれど、残業をするわけにもいかないため、時間外で仕事をしているのに残業としては申告しない言わば「サービス残業」をする人が増える恐れがあります。
サービス残業をしていては法改正の意味はないため、時間内に仕事が終わるように企業側が対策をしていく必要があります。

対策としては前述しましたが、従業員間での仕事量の均一化と仕事の早い従業員のやり方を共有することだと思います。そうすることで特定の従業員が突出した残業にならず、サービス残業してまで仕事をやらなければならない状況になりません。
また、残業時間の多い従業員のモチベーションダウンを防ぐこともでき、貴重な人材を失わなくて済みます。

給与が減少し生活に困る従業員が出る

残業時間の上限規制により今までできていた残業ができなくなり、結果的に給料が下がってしまうことで、生活が苦しくなる従業員が出てくる可能性があります。

企業によっては厳しいかもしれませんが、生産性を上げ残業を○○時間以内に抑えた場合に奨励金を支給したり、副業を認めてあげたりするのも良いかもしれません。
減ってしまった給料を補填できれば、優秀な人材のロスや仕事の質の低下を防ぐことができます。

まとめ

働き方改革法の施行による残業時間の上限規制について説明しました。
今までは上限がなかったため、残業時間について厳しく管理する必要はなかったかもしれません。
しかし、働き方改革法の残業時間上限規制が適用されることで、違反してしまうと罰則を受けてしまうため、しっかりと対策をする必要があります。
企業にとって法改正はメリットだけでなく、少なからず今回紹介した懸念事項も発生する可能性があります。

職場の状況をまずは把握し、どういった対策をしていけば良いのか、記事を参考に取り組んでいっていただければ幸いです。もはや「知りませんでした」では通用しなくなっています。
内容についてしっかり理解し、正しい対策ができるようにしていきましょう。

ソビア社会保険労務士事務所 代表社労士/ホワイト財団 代表理事|五味田 匡功

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