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懲戒解雇とは?意味や条件、退職金の扱いから懲戒処分の種類まで解説!

懲戒解雇とは、企業が定める就業規則に基づく労働者への懲戒処分のひとつとして行う解雇です。重大な問題を起こした場合、もっとも重い懲戒処分のひとつとして知られています。

懲戒解雇は訴訟や労働審判や調停などの労働トラブルに発展する恐れがあるため、懲戒解雇を実施する場合は労働基準法の観点や判例を参考にしながら、適切に実施しなければなりません。

今回は懲戒解雇の意味や懲戒処分の種類、懲戒解雇の条件から退職金の扱いまで解説します。

懲戒権とは

懲戒解雇とは企業が定めた就業規則に基づく懲戒処分のひとつであり、従業員に解雇を命ずるもっとも重い処分です。企業は労働者に対して、懲戒処分を行うことができる懲戒権を有しています。懲戒権とは、労働者が企業の秩序を乱す行為(企業秩序違反行為)に対して、制裁を課すことができる権利を指します。

懲戒権は企業の権利であり、労働者は有していません。労働者は企業と労働契約を結び、対等な立場に置かれてはいますが、労働者を雇用する企業は会社全体の秩序を安定させ、円滑に会社を運営していく権利(企業秩序定立権)を有しています。また、労働者は企業と労働契約を結ぶことで企業の秩序を遵守する義務(企業秩序遵守義務)が課されます。

企業秩序遵守義務を果たすことができなかった労働者に対して、企業は懲戒権を行使し懲戒処分を行います。企業は企業内の秩序を維持する権利を持っているため、企業には懲戒権が与えられています。

懲戒解雇以外の懲戒処分とは

懲戒解雇は懲戒処分の中でもっとも重い処分です。そのため、従業員が横領や反社会的行為などの企業または社会に甚大な悪影響を与えない限り、懲戒解雇は行われません。懲戒処分には懲戒解雇以外にもさまざまな処分があり、労働者が起こした問題に応じて、適切に処理されます。懲戒解雇を含む懲戒処分には以下が挙げられます。

一般的な懲戒処分
懲戒処分 内容
戒告 企業により異なりますが、戒告は口頭での注意でもっとも軽い処分のひとつです。
けん責 けん責は労働者に始末書の提出を求めることで、前述の戒告と同じく企業により異なりますがもっとも軽い処分のひとつです。
減給 働いているにもかかわらず、その分の給料がもらえないのが減給です。たとえば、時給1,000円で1日8時間働くアルバイトが2時間遅刻したことにより、その日の給料が6,000円になるというのは減給にはあたりません。しかし、減給の額は法律によって定められています。
出勤停止 労働者に会社への出勤をさせない処分を言います。基本的に出勤停止期間中の給料は支払われません。
降格 階級が下がる処分を言います。降格といっても人事上の理由によるものも考えられ、客観的に判断しないといけません。
諭旨解雇 企業側から労働者に対して、「辞めてくれませんか?」と退職を勧告することを言います。企業側からお願いしている状況ではあっても、最終的に退職する際は自己都合による退職という形をとるので、退職金が支払われるのが一般的です。
懲戒解雇 会社側から労働者を即時に解雇する処分です。この懲戒解雇については、次項で詳しく説明します。

懲戒解雇の条件

懲戒処分の中でもっとも重い懲戒解雇を、企業が下すためには次の3つを満たす必要があります。

  1. 懲戒解雇の根拠となる規定があること
  2. 懲戒事由に合理性があること
  3. 社会通念上の相当性があること

1.は、どういった場合に解雇される可能性があるのか、いかなる処分になるかについて、その理由(解雇事由)をしっかりと就業規則や労働契約書に示していることを指します。あらかじめ事由が示された上で、その事由に合致していなければ懲戒解雇を行うことはできません。

2.は、1.の解雇事由に合致する事実の実証を行なうことを指します。「横領の疑いがある」や「経歴を詐称しているとの噂がある」というような、真偽が定かではない状況では「合理性に欠けている」と判断され、懲戒権の濫用により懲戒解雇は認められません。

3.は、仮に1.と2.が認められたとしても社会通念上、懲戒解雇が妥当であると認められる必要があります。社会通念上、処分が重すぎると判断された場合、懲戒解雇は無効となり、適正な手続きに基づいて解雇が行われていない場合も社会通念上の相当性がないと判断されてしまいます。また、解雇となる従業員に弁明の機会が与えられていない場合も手続きが適正でないと判断されます。

懲戒解雇に伴う退職金の扱いについて

懲戒解雇に伴い、労務担当者は退職金の扱いにも注意しなければなりません。諭旨解雇は自己都合での退職となるから退職金が出る、懲戒解雇は自己都合とならないため退職金が出ない、もしくは減額されるといったイメージを持っている方は多いのではないでしょうか?

企業の就業規則では、諭旨解雇と懲戒解雇では退職金に差を設けていることが一般的です。しかし、解雇と退職金支給の有無は直結していません。

しかし、懲戒解雇に伴う退職金の不支給は法律違反ではないため、退職金不支給の旨を就業規則に記載しても問題ありません。一方で、退職金には功労報奨的な性格や生活保障的な意義があるため、懲戒解雇を理由に長年の労を報いる性質の退職金を支給しないことには問題があると考える識者も存在します。

過去の判例では懲戒解雇の事由や内容を個別に判断しているため、懲戒解雇した従業員が退職金の支給を求めて裁判を起こした場合、裁判結果によっては退職金を支払う可能性も考えられます。

また、懲戒解雇と退職金の支給は別問題であるため、「退職金を支払いたくないために懲戒解雇にする」という行為は認められません。ただし、労働者がこれまでの評価をすべて抹消してしまうほどの著しい不信行為があった場合には退職金不支給の措置が認められます。

まとめ

  • 懲戒解雇とは企業が定めた就業規則に基づく懲戒処分のひとつであり、従業員に解雇を命ずるもっとも重い処分である
  • 懲戒処分には、懲戒解雇以外に戒告、けん責、減給、出勤停止、降格、論旨解雇があり、労働者が起こした問題に応じて、適切に処理する必要がある
  • 懲戒解雇の条件には「懲戒解雇の根拠となる規定がある」、「懲戒事由に合理性の有無」、「社会通念上の相当性があること」が必要である
  • 懲戒解雇に伴う退職金は企業の就業規則で諭旨解雇と懲戒解雇では退職金に差を設けていることが一般的である
佐藤 安弘|ワイエス社会保険労務士事務所

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