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慎重に行わなければならない重大な処分!懲戒解雇について


労働者が何か重大な問題を起こした場合には、懲戒処分を受けることになります。今回はそのなかでも、一番重い処分の懲戒解雇がテーマです。

懲戒解雇を受けた労働者が「はい。承知いたしました」などと、すんなり受け入れることは考えにくく、そうなると訴訟や労働審判や調停など、のちのちの労働トラブルに発展する恐れがあります。今回はそうならないために、判例や労働法の観点から学んでいきましょう。

そもそも企業が労働者に対して有する懲戒権とは?

まずは、この記事のポイントである懲戒について確認しましょう。企業は労働者に対して、懲戒処分を行うことができる懲戒権という権利を有しています。これは労働者が企業の秩序を乱す行為(企業秩序違反行為)に対して、制裁を課すことができる権利です。

この懲戒権を有しているのは企業のみで、労働者には付与されていません。労働者は働くにあたり企業と労働契約を結び、対等な関係性のなかで働いているにもかかわらず、なぜ懲戒権がないのでしょうか?その答えは企業と労働者の果たす役割の違いにあります。

企業と労働者は、契約によって対等な立場に置かれてはいます。しかし、多くの労働者を雇う企業側には会社全体の秩序を安定させ円滑に会社を運営していく権利(企業秩序定立権)があります。また、労働者は企業と労働契約を結ぶことで企業の秩序を遵守する義務(企業秩序遵守義務)が課されることになります。

この義務を果たすことができなかった労働者に対して、企業は懲戒権を行使し懲戒処分を行うのです。つまり企業内の秩序を維持する権利を持っているために、企業には懲戒権が与えられており、秩序維持の権利を持たない労働者には与えられていないということになります。

懲戒解雇以外の懲戒処分ってどういうものがあるの?

では、実際に行われる懲戒処分にはどのようなものがあるのでしょうか。下記にまとめてみました。

  1. 戒告

    企業により異なりますが、戒告は口頭での注意でもっとも軽い処分のひとつです。

  2. けん責

    けん責は労働者に始末書の提出を求めることで、前述の戒告と同じく企業により異なりますがもっとも軽い処分のひとつです。

  3. 減給

    働いているにもかかわらず、その分の給料がもらえないのが減給です。たとえば、時給1,000円で1日8時間働くアルバイトが2時間遅刻したことにより、その日の給料が6,000円になるというのは減給にはあたりません。しかし、減給の額は法律によって定められています。

  4. 出勤停止

    労働者に会社への出勤をさせない処分を言います。基本的に出勤停止期間中の給料は支払われません。

  5. 降格

    階級が下がる処分を言います。降格といっても人事上の理由によるものも考えられ、客観的に判断しないといけません。

  6. 諭旨解雇

    企業側から労働者に対して、「辞めてくれませんか?」と退職を勧告することを言います。企業側からお願いしている状況ではあっても、最終的に退職する際は自己都合による退職という形をとるので、退職金が支払われるのが一般的です。

  7. 懲戒解雇

    会社側から労働者を即時に解雇する処分です。この懲戒解雇については、次項で詳しく説明します。

懲戒解雇をするためのハードルはけっこう高い!

懲戒処分のなかで、もっとも重い懲戒解雇ですが、実際に企業が行うには次の3つを満たす必要があります。

(1)懲戒解雇の根拠となる規定があること
(2)懲戒事由に合理性があること
(3)社会通念上の相当性があること

(1)は、どういった場合に解雇される可能性があるのか、いかなる処分になるかについて、その理由(解雇事由)をしっかりと就業規則や労働契約書に示していることを言います。あらかじめ事由が示されたうえで、労働者がその事由に合致していなければ懲戒解雇を行うことはできません。

(2)は、(1)の解雇事由に合致する事実の実証を行なうことを言います。このとき「横領の疑いがある」「経歴を詐称していると噂がある」というように、本当かどうかわからない状況では合理性に欠けていると判断され、懲戒権の濫用により懲戒解雇は認められません。

(3)は、仮に(1)と(2)が認められても社会から見て懲戒解雇が妥当であると認められることが求められます。つまり、処分が重すぎると判断された場合は無効となり、適正な手続きに基づいて解雇が行われていない場合も相当性がないと判断されてしまうのです。たとえば、解雇となる従業員に弁明の機会が与えられていないと、手続きが適正でないと判断されます。

退職金を支払わないために懲戒解雇するのはダメ!

解雇に伴い、労務担当者が気になるポイントとして退職金があげられます。諭旨解雇は自己都合での退職となるから退職金が出る、懲戒解雇は自己都合とならないため退職金がでない、もしくは減額されるといったイメージを持っている方は多いのではないでしょうか?

企業の就業規則では、諭旨解雇と懲戒解雇での退職金に差を設けているのが一般的です。しかし、解雇と退職金支給の有無は直結しているものではなく、別のものとして考えなければいけません。

懲戒解雇に伴う退職金の不支給は法律違反ではありません。その点においては退職金不支給の旨を就業規則に記載しても問題ありません。その一方で、退職金には功労報奨的な性格や生活保障的な意義があるため、懲戒解雇だからといって長年の労を報いる性質の退職金がないのはどうなの?という考えも存在しています。

過去の判例では懲戒解雇の事由や内容などを個別に判断しているため、もし懲戒解雇した従業員が退職金の支給を求めて裁判を起こすと、場合によっては退職金を支払うことになるかもしれません。

この点からも理解いただけるかと思いますが、懲戒解雇と退職金の支給は別問題であることから、「退職金を払わないために懲戒解雇にする」というのは間違いです。ただし、労働者がこれまで働いて得た評価をすべて抹消してしまうほどの著しい不信行為があった場合には不支給の措置が認められます。

まとめ

今回は企業が行う懲戒処分のなかで、もっとも重い処分である懲戒解雇について説明してきました。企業にとっては、労働者を懲戒解雇するという事態に陥ることは望ましいことではありません。

しかし、労務担当者としてはどういった場合に懲戒解雇を行うのか、その条件をしっかりと把握しておくことは非常に重要です。退職金の支払い対応についても就業規則がどうなっているのか確認しておき、不測の事態にも対応できるようにしましょう。

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