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退職月の給与計算の方法とは?ケース別の計算方法やポイントを解説

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退職月の給与計算は、基本的な給与計算と異なる点がいくつかあります。

給与計算の担当者は退職月の給与計算方法について正しく理解していないと、計算ミスや余計な工数が発生する恐れがあります。

また、場合によっては退職後に従業員に給与の一部返金を求めなければなりません。

本記事では退職月の給与計算の方法や注意点などを解説します。

基本的な給与計算の方法

基本的な給与計算の方法

退職月であっても、給与計算は基本的な方法と大きく異なるわけではありません。

まずは基本的な給与計算の方法について押さえておきましょう。

総支給額の計算方法

給与計算をおこなう際は、まず総支給額を算出します。

総支給額とは、基本給に時間外手当や通勤手当などの諸手当も合算した金額です。

時間外手当は、勤務表やタイムカードから勤務時間を集計することで計算できます。
時間外手当の計算式は以下のとおりです。

時間外手当の計算式

時間外手当=1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業時間

時間外手当と就業規則で定められたその他の手当を計算し、基本給と合算して総支給額を算出しましょう。

社会保険料の計算方法

次に社会保険料を計算します。

計算が必要な社会保険料は以下のとおりです。

健康保険料や厚生年金保険料、介護保険料は以下の計算式で計算できます。

保険料の計算式

保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率 ÷2

標準報酬月額とは、従業員の月々の給与を一定の等級に区分した金額です。

また、保険料率は社会保険料の種類や年度などによって異なります。
協会けんぽのWebサイトで確認してください。

なお、雇用保険料のみは総支給額をベースとしています。
月々の総支給額に雇用保険料率を掛けて算出できます。

住民税・源泉所得税の計算方法

次に控除する税金(住民税・源泉所得税)を計算します。

住民税は各自治体から届く「特別徴収税額通知書」に金額が記載されているため、会社が計算する必要はありません。

また、源泉所得税は国税庁のWebサイトで確認できる「給与所得の源泉徴収税額表」から、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」と「扶養親族等の数」に当てはまる欄に金額が記載されています。

最後に総支給額から税金と社会保険料を差し引くことで、実際に従業員に支給する差引支給額が算出できます。

ケース別の退職月の給与計算

ケース別の退職月の給与計算

給与計算では支給額を計算する必要があります。
ただ、退職月の場合は支給額を日割り計算しなければなりません。

給与の日割り計算の方法は法律で定められていないため、就業規則で定めた方法をもとに計算します。

ここからは、退職月の支給額の計算方法をそれぞれ解説します。

暦日をベースとしている場合

暦日をベースとしている場合、退職月の支給額の計算式は以下のとおりです。

暦日ベースの計算式

支給額 = 基本給 × (退職日までの暦日/退職月の暦日数)

たとえば、基本給が33万円の従業員が11月20日に退職する場合は、「33万円 × (20日/30日)= 22万円」が退職月の支給額となります。

出勤日数をベースとしている場合

出勤日数をベースとしている場合、退職月の支給額の計算式は以下のとおりです。

出勤日数ベースの計算式

支給額 = (基本給 ÷ 当該月の出勤予定日数)× 出勤日数

たとえば、基本給33万円の従業員で出勤予定日数が20日、退職日までに14日間出勤していた場合は、「(33万円 ÷ 20日) × 14日 = 23万1,000円」が退職月の支給額となります。

基本的な給与計算と退職月の給与計算で異なる点

ここまで解説した点以外にも、基本的な給与計算と退職月の給与計算では一部異なる点があります。

給与計算に携わる担当者はよく理解しておきましょう。

社会保険料

社会保険料は1カ月ごとにかかるため、支給額とは異なり日割り計算ができません。
また、社会保険料は前月分を給与から控除します。

そのため、たとえば11月30日(月末日)に退職した場合は、10月分と11月分の社会保険料を一度に控除する必要があります。

なお、月末日以外に退職した場合は退職月の社会保険料はかからないため、通常どおり前月分のみを控除しましょう。

住民税

住民税は前年の所得に応じて5月31日までに金額が決定し、6月から翌年5月まで従業員の毎月の給与から控除します。

そのため、退職月にはその年に納める住民税の残額を一括して控除します。なお、退職月の給与が住民税の残額を下回っていた場合、不足分は従業員が自身で納税(普通徴収)しなければなりません。

退職月の給与計算のポイント

退職月の給与計算で注意すべきポイントは以下の2点です。

給与の返金を求めなければならない場合がある

給与の返金を求めなければならない場合がある

場合によっては、退職後に従業員に給与の一部返金を求める必要があります。

代表的な例が給与を前払いしている場合です。
たとえば11月25日に当月分の給与を支払っている場合、25日から月末までの給与は前払いしています。

そのため、25日から月末日までに従業員が退職してしまうと余分に給与を支払っていることになり、返金を求めなければなりません。

また、退職する旨が給与計算の担当者に伝わるまで時間がかかった場合も、返金を求める必要があるかもしれません。

前述のとおり、基本的な給与計算と退職月の給与計算は方法が異なりますが、担当者が退職する旨を知る前に計算していた場合、通常どおりの支給額を算出している可能性があるからです。

この場合にも差額分の返金を従業員に求める必要があります。

社会保険の資格喪失の手続き

従業員が退職する場合は、社会保険の資格喪失手続きを速やかにおこなう必要があります。

健康保険と厚生年金保険については、健康保険組合に資格喪失届と健康保険被保険者証を提出します。

雇用保険は事業所管轄のハローワークに、労働者名簿や賃金台帳、出勤簿、離職理由を確認できる書類を添付したうえで資格喪失届を提出しましょう。

まとめ

退職月の給与計算の方法や注意点などについて解説しました。

退職月であっても、給与計算は基本的な方法と大きく異なるわけではありません。
そのため、一部異なるポイントさえ押さえておけばミスなく算出できます。

給与計算の担当者は退職月の給与計算の方法をよく理解し、従業員が退職した際にはスムーズに対応できるように備えておきましょう。

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