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育児休業はいつまで延長できる?適用条件や申請方法 、育児休業給付金について解説!

育児休業はいつまで延長できる?適用条件や申請方法、育児休業給付金について解説!

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育児休暇中の従業員は条件を満たせば、育児休暇の延長が認められます。事業主側は従業員の申請に柔軟に対応し、復帰後の人員配置も考慮しなければなりません。

今回は出産の予定がある、また育児休暇中の従業員からの育児休暇延長の要望に対して、事業主がおこなうべき手続きや対応方法、また、給付金や育児休業についての条件を解説します。

この記事でわかること

  • 育児休業制度の概要
  • 育児休業の延長申請手続きや期間、必要書類
  • 育児休業で取得できる制度
  • 育児休業給付金の手続き
なんば社会保険労務士事務所 監修者難波 聡明

社会保険労務士の中でも、10%に満たないと言われる助成金を専門に手掛ける特定社会保険労務士/ワークスタイルコーディネーター。なんば社会保険労務士事務所の所長。
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育児休業制度(育児休業給付金)とは

育児休業制度(育児休業給付金)とは

育児休業とは、事業主に申し出をおこなうことで子供が1歳(一定の場合、最長2歳)に達するまで、取得できる育児・介護休業法に定められた支援制度です。育児休業期間中に支給される手当を育児休業給付金といいます。

POINT

仕事と育児の両立を図るための支援制度

育児休業は、育児をする労働者に対して仕事のくじを両立してもらうための支援制度です。社会復帰後も、残業免除制度や短時間勤務制度などを利用することによって、子供との時間が作れるため育児にも集中できます。

育児休業の目的は、新しい家族のメンバーを迎えた親が、仕事のプレッシャーから一時的に離れて子供の成長と発達をサポートするための重要な時間を確保することです。

また、育児休業は職場における性平等を促進し、母親だけでなく父親も子育てに参加する機会を提供することでジェンダーの役割に対する伝統的な見方を変えることを目指しています。

そして育児休業を経て、社会復帰後でも利用できる制度などは以下があります。

社会復帰後に利用できる制度

  • 短時間勤務制度(子供が3歳まで)
  • 子供がけがや病気をしたら看護休暇(小学校就学前まで、(年5日まで利用可能、 子が2人以上の場合は10日)
  • 所定外労働免除制度(3歳まで)

上記の制度には、主に子供の年齢での期限などがあるため注意しましょう。こういった制度などを活用して育児と労働のバランスを取ります。 

日本での育児休暇の取得率について

近年、女性だけでなく、男性の育児休暇取得が促進されていますが、厚生労働省が公表している育児休業取得率では、女性は80%を超えているにもかかわらず、男性の育児休業取得率は5~6%前後にとどまっています。

日本政府は少子化社会対策大綱の施策に関する数値目標:PDFファイル(内閣府)で、2025年までに男性の育児休業取得率を30%までに、男性の配偶者の出産直後の休暇取得率を80%まで引き上げることを目標にしています。

2022年4月1日に改正育児・介護休業法が施行

2022年4月1日より育児・介護休業法が改正されました。改正内容は2022年・2023年と段階的に施行されています。改正の概要は以下のとおりです。

育児・介護休業法の改正内容

  1. 男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設
  2. 育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
  3. 育児休業の分割取得
  4. 育児休業の取得の状況の公表の義務付け
  5. 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
  6. 育児休業給付に関する所要の規定の整備(雇用保険)

育児休業を延長するための要件

育児休業延長の申請方法について

育児休業期間を延長する場合、まずは延長するための要件を満たすことを確認し、事業主に申請手続きを依頼します。

育児休業延長に必要な要件と延長期間

育児休業は原則として子供が1歳になるまでの1年間取得できますが、最長2歳まで延長ができます。また、延長申請には「延長(1歳6カ月まで)」と「再延長(2歳まで)」があり、それぞれ申請が必要です。

育児休業延長を申請にはケースによって条件が異なるため、それぞれ紹介します。

基本は、1歳の誕生日以前の子供が保育園に入園できない場合

育児休業を延長できるのは、1歳の誕生日以前の子供が以下の理由などで保育園に入園できなかった場合です。

子供が保育園に入園できないケース

  • 保育園が見つからない
  • 子供が病気などで療養できない
  • 新規妊娠の発覚
  • 離婚して別狂した など

たとえば、定員超過のため入所できかったという場合は、子供が1歳の誕生日以前であれば延長ができます。延長は、「1歳6カ月まで」と「2歳までの延長」で要件などが異なります。

1歳6カ月までの育児休業延長の要件

  1. 育児休業の対象の子供が1歳になる誕生日の前日(再延長の場合は、1歳6カ月になる前日)までに、従業員本人又は配偶者が育児休業を取得している状態であること
  2. 育児休業の対象の子供が保育所に入所できない等、1歳を超えても休業が必要と認められる場合

2歳までの育児休業延長の要件

  1. 育児休業の対象の子供が1歳6カ月に達する日において、従業員本人又は配偶者が育児休業をしている場合
  2. 育児休業の対象の子供が保育所に入所できない等、1歳6カ月を超えても休業が必要と認められる場合

上記の要件を満たし、育児延長開始の2週間前までに変更の年月日、変更の申出者氏名、変更後の育児休業最終予定日を申請し、所属する事業主に申請します。

ここからは、「こういう場合って育児休業の延長ができるの?」という実際のケースを解説します。

保育園への申し込みを忘れた場合

たとえば、保育園への入所申し込みを忘れている場合や、先述したように定員超過のため入所できかった場合そのまま申し込みをしなかった場合などはどうなるのでしょうか。

答えはその場合「育児休業の延長対象とならない」です。また、保育所への入所希望日や利用開始日が、1歳の誕生日の翌日以降となっている場合も対象外となるため注意しましょう。

慣らし保育の場合

「慣らし保育」とは、2週間~1カ月程度に通常の保育時間よりも短時間で保育園に入れることです。パパママの勤務時間などとバランスが取れるメリットがあるため、利用する家庭も多いでしょう。

慣らし保育は、育児休業の延長はできない

育児休業の延長は原則、「保育園への入園ができなかった場合」です。慣らし保育は、その点保育園への入園ができているため適用外となるのです。

上記の理由から、慣らし保育をする場合は通常の期間で利用しましょう。通常の期間であれば育児休業給付金がもらえるため、復職までの支援として利用できます。

育休中に、年子を妊娠した場合

育休中に2人目の妊娠が発覚した場合も同様に、2人目の出産前・出産後の産休、そして育休を利用できます。

つまり、育児休業の延長というよりは2人目の出産からまた通常の期間育児休業を利用することができるということになります。

育休の延長条件を満たさずに申請するとどうなる?

明らかに育休延長の趣旨ではない申請(条件を満たしていない場合の申請)があった際は、以下の対応になると厚生労働省が公表しています。

延長条件を満たしていない場合の申請

  • 第1次申込みの内定辞退し、第2次申込みに落選した場合にこれを「保育所入所保留通知書」に付記されることがあります。
  • こうした付記がある「保育所入所保留通知書」を受け取った方は、第1次申込みの内定辞退にやむを得ない理由がない場合には、育休延長ができません。

上記のような申請があった場合に企業側には、やむを得ない理由があるかどうかを対象労働者へ確認してもらうことがあります。

やむを得ない理由とは、内定辞退について申込み時点と内定時点で住所や勤務場所等に変更があり、内定した保育所などに子供を入所させることが困難であったことなどが該当します。

育休の延長を検討する前に知っておきたいこと

育児休業に関する制度はいくつかあります。育休を延長する前に、一緒に利用できる制度などについてよく理解しておきましょう。

知っておきたい制度

  • 育児休業の「分割取得」
  • パパ・ママ育休プラス

それぞれの特長を解説します。

育児休業の「分割取得」

2022年の育児介護休業法の改正によって、これまで原則1回の取得まででしたが、男女ともそれぞれ2回まで取得することが可能になりました。

POINT

両親で交代の子育てがより計画的にできる

たとえば、妻の育児休業が終わり復職するタイミングで一度、パートナーに育児休業をとってもらうなどの交代が2回できます。経済的な理由があっても2人で子育てをしたいという方も計画的に使えるようになります。

育休の延長前、つまり子供が1歳の誕生日を迎える前までは、体調変化の大きい周期などがあり子育てが大変な時期もあります。そういったタイミングで、パートナーと一緒に子育てできる時間が増やすことが可能です。

育児休業方は、制度内容や給付金など都度改正されます。来年に育児休業を利用予定の方は、今後改正される予定の内容などをチェックしておきましょう。

パパ・ママ育休プラス

パパ・ママ育休プラスとは、両親が一緒に育児休業を取得する場合に子供が1歳2カ月になるまで延長できるという制度です。しかし適用には以下の条件があります。

パパ・ママ育休プラスの取得要件

  • 配偶者が、子供が1歳の誕生日を迎える前に育児休業を取得していること
  • 本人の育児休業開始予定日が、子供の1歳の誕生日以前であること
  • 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること(例:パパ(配偶者)が取得するときに、ママ(本人)が先に取得開始していないと適用されないということ)

また、1人当たりの育休取得可能最大日数は通常通り「産後休業含め1年間」であることは変わらないため、延長できる2カ月間はどちらかが対応するようになるでしょう。

ただし配偶者とできるだけ長い期間2人で子育てしたいという場合はこの「パパ・ママ育休制度」を利用すると良いでしょう。

育児休業延長の手続き方法

育児休業給付金の延長手続き

育児休業延長の要件を満たした場合、育児休業延長の申し出をおこないます。「育児休業申出書」は事業主が準備します。事業主が準備していない場合、厚生労働省からダウンロードが可能です。

以下の場合に育児休業延長が認められますが、事由によって証明する添付書類が異なります。住民票が必要な場合は、世帯全員が記載されたものを用意しましょう。

事由ごとに必要な証明書(添付書類)
保育園に入園できない場合 不承諾通知(自治体が発行した書類)
配偶者が死亡したとき 住民票・母子手帳
負傷、疾病、障害などで、子供を養育することが難しい場合 診断書・母子手帳
離婚など事情により配偶者が子供と同居しないこととなったとき 住民票・母子手帳
育児休業の対象の子供の次に子供が生まれる予定、もしくは生まれた場合 母子手帳

上記の添付書類を「育児休業申請書」と一緒に事業主に提出すれば、人事・労務担当者がハローワークに申請をおこないます。また、申請にも期限がありますので注意しましょう。

そして、育児休業延長期間中は社会保険料も免除になり、育児休業給付金も合わせて申請することができます。ここで注意したいのは、育児休業給付金を延長する場合は別途申請が必要ということです。

育児休業給付金の延長手続き

育児休業を延長する場合は、育児休業給付金について勝手に延長してくれるわけではありません。事業主を通して市町村への必要書類の提出をして適用となります。

事業主が用意する「育児休業給付金支援申請書」と共に、必要書類が要ります。

育児休業給付金の延長に必要な書類

  • 保育所の入所不承諾通知書や
  • 利用調整結果通知書(保留)など

自治体によって書類の呼び方に違いがあるのかもしれませんが、1歳誕生日前において保育所に入っていない事実を証明すること書類が必要です。

育休を延長したら手当(給付金)はどうなる?

育児休業は利用中に「育児休業給付金」が一定金額支給されます。育休を延長している場合は、手当(給付金)はもらえるのでしょうか?

結論から言えば、育児休業の延長中でも通常期間中にもらえる額と同等の金額が支給されます。具体的には以下支給計算式の50%の方で算出されます。

育児休業給付金の計算方法

  • 育休開始180日まで「利用開始前の給与 × 支給日数 × 67%」
  • 育休開始180日以降「利用開始前の給与 × 支給日数 × 50%」

事業主の育児休業の取り組みについて

現在、男性の育児休業の取得率向上や女性活躍推進、働き方改革の実施において、育児休業の取り組みを強化している事業主が増えています。

育児休業制度の見直しが進んでいる

育児休暇制度は子供が1歳に達するまで子供を養育する必要のある従業員が、事業主に申し出ることによって得られる休暇です。しかし、育児休業制度は休暇だけでなく、ほかにも利用できる制度があります。

育児休業中に利用できる制度

  • 短時間勤務等の措置
  • 子供の看護休暇制度
  • 時間外労働の制限
  • 転勤についての配慮
  • 所定外労働の制限
  • 不利益取り扱いの禁止
  • 深夜業の制限
  • 育児休業等に関するハラスメントの防止措置等

現在、男性・女性問わず、従業員が安心して育児休暇を取得できるように、事業主は従業員が育児休暇を取得しやすい職場環境を整備するための配慮が、育児・介護休業法で定められています。

事業主都合での育児休暇延長申請の拒否は違法

事業主都合での育児休暇延長申請の拒否は違法です。しかし、育児休暇延長の申請に必要な書類が揃わないなど従業員側に問題がある場合は、延長申請を却下してもよい場合があるため注意しましょう。

育児休暇延長の申請には、保育園に申請したが入園できなかった場合の不承諾通知等が必要です。不承諾通知がない場合、育児休暇延長申請された案件を却下したとしても違法ではありません。

ただし「あくまで違法にならない」ということであり、育児休業延長申請をした従業員、また他の従業員の不満の原因になり得えます。

育児休業は従業員の雇用保護の意味合いが強く、事業主に非がないと判断できる場合であっても管轄省庁・部署である都道府県の労働局雇用環境・均等部に相談しましょう。

労働局雇用環境・均等部では、育児休暇延長の不当利益取り扱いにおけるトラブルの対応・相談をしており、従業員とトラブルになる場合は仲裁に入ってもらうことが可能です。

育休の延長に関するよくある質問

保育園にわざと落ちても、育児休業の延長ができますか?
育児休業給付金などのために保育園にわざと落ちたいという主婦は多いようです。その場合でも、人気の保育園へ申し込み、「不承諾通知書」をもらうことで基本的に育休の延長が可能です。ただし、保育園の1次に受かり内定を辞退した場合は、2次でわざと落ちても育休の延長が適用されることはありません。また、会社へは保育園申請の有無と落選したことを正直に伝える必要があります。
育児休業を延長する場合、手当(給付金)などはもらえますか?
延長した場合でも育児休業給付金を受け取ることができます。「育児休業開始日以前の給料 × 50%」という通常の育児休業と同じ、開始181日以降の割合がもらえます。
育児休業を延長する理由について具体的なケースを教えてください。
育児休業を延長するケースは、主に「1歳未満の子供が保育園に入園できなかった場合」です。1歳以降である場合や、申込忘れ、1カ月だけ慣らし保育をさせているなどが理由であると育児休業の延長はできません。
育児休業の延長について、手続きを教えてください。
取得者本人が事業主へ育児休業延長の申し出をします。理由に応じて必要書類があるため本記事を参考に用意しておきましょう。また、「1歳6カ月までの延長:1歳誕生日の2週間前」「2歳までの延長:1歳6カ月誕生日の2週間前」が申請期限であるため注意しましょう。さらに育児休業給付金も延長したい場合は、育児休業そのものと申請が別途であるため覚えておきましょう。
育児休業の延長理由や書き方を教えてください。
育児休業の延長には会社に申請書を書かなければなりません。その後、管轄に役所などへ書類がいくので「育児休業延長にふさわしい理由」を書きましょう。たとえば「家の距離的に保育園入園が難しかった」「入園申し込みをしたが入れなかった」などがあります。

まとめ

育児休業の延長は要件を満たした場合、事業主は延長申請を拒否できません。しかし申請には期限があるため、保育園に入園できないことを証明する不承諾通知がいつ届くかもしっかりと把握しておきましょう。

やむを得ない理由で、育児休業を延長する際は人事・労務担当者に相談してみてください。

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