この記事でわかること
- 支払調書とは年間支払い報酬の税務署報告書
- 提出遅れは罰則対象、正確性が重要
- 源泉徴収票と異なり発行義務はなし
この記事でわかること
支払調書は法定調書のひとつであり、税務署への提出が義務付けられています。企業では一般的に「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」を提出することが多く、適切に対応しなければなりません。
今回は支払調書のとはどんな書類なのか、提出期限・方法などの基礎知識と記入例を用いた具体的な書き方を解説します。
支払調書とは法人や個人に対し、どんな内容で年間いくら支払ったかを税務署に報告するための書類です。税務署に提出するよう、所得税法等に義務づけられている法定調書※です。
法定調書とは、所得税法や相続税法で税務署への提出が義務付けられている資料のこと。
代表的な支払調書には、以下の種類があります。
支払調書の種類
原則として、報酬を支払った翌年1月31日までに税務署に提出しなければなりません。
1月31日が土日の場合の期限は、次の月曜日が期限となります。
支払調書の提出方法は、
での提出が可能です。
提出遅れによる罰則はありませんが、支払調書を提出しなかった場合または虚偽の申請が明らかになった場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金(所得税法242条5号)が科せられる可能性があります。
申請内容に誤りがあった場合、先に提出した法定調書の写しと合計表※と一緒に、正しい法定調書と合計表が必要です。
合計表とは、OCR帳票(給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表)です。
源泉徴収票とは、1年間で企業から支払った給与と従業員が収めた所得税の金額が記載された用紙です。
支払調書と同じ法定調書ですが、報酬を支払った者は必ず源泉徴収票を発行しなければなりません。一方で支払調書は、報酬を支払った者に対しての発行義務はありません。
源泉徴収票と支払調書の違い | |||
交付義務 | 税務署への提出 | 記載内容 | |
源泉徴収票 | ある | 必要 | ・給与や賞与 ・所得税額 ・各種保険料の金額 ・源泉徴収税額 など |
---|---|---|---|
支払調書 | なし | 必要 | ・報酬の支払額、支払理由 ・源泉徴収額 など |
支払調書には、以下の内容を記載します。
支払調書の記入内容
原則、消費税込の金額を記載することが多い。
支払金額には、1月1日から12月31日までの1年間で支払いが確定した合計金額(消費税込)を記載します。また支払金額には、未払報酬も記載しなければなりません。未払報酬がある場合、支払った合計金額とは分けて一番上に記載します。
源泉徴収額の計算方法は、以下の通りです。
支払調書は法定調書のひとつですが、支払った者の交付義務はありません。個人事業主など、外部委託者から発行をお願いされた場合は交付します。
しかし、税務署には1月31日までに支払調書(給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表)を提出しなければならないため、記載項目に間違いがないように期限内に提出しましょう。
1990年生まれの兵庫県姫路市出身。在学中に公認会計士試験に合格し、2013年より監査法人に勤務。2017年に監査法人を退職後、石垣島へ移住し、コーヒー屋やコワーキングスペースの運営を行っている。
詳しいプロフィールはこちら