この記事でわかること
- 給与明細の保管の必要可否
- 給与明細の関連書類やそれぞれの保管期間
- 給与明細の作成業務時間や保管コストを大幅に減らす方法
この記事でわかること
急速にテレワークが進んでいる昨今、給与明細をはじめとする紙書類の保管については議論が進んでいます。
給与明細の発行やその関連書類の保管には正しい保管期間があります。企業として従業員を守るために、適切な管理方法の運用が必要です。
そこで今回は、給与明細の保管期間がいつまでなのか詳しく解説。保管義務やトラブルへの対処法など必要な知識をまとめました。
目次
従業員に配付する給与明細自体を企業として保管する必要はありません。ここでは、給与明細とは別に、その他保管が必要な関連書類を紹介します。
労働者名簿は、労働基準法第109条において、3年間の保管が義務付けられています。従業員の下記情報の記載したものであり、各事業所での作成が必要です。
労働者名簿に記載する情報
賃金台帳とは、労働者名簿と同様に3年間の保管が義務付けられており、下記内容を記載するものです。
賃金台帳に記載する情報
出勤簿とは、従業員の労働時間数を記録するためのものであり、労働者名簿や賃金台帳と共に3年間の保管が必要です。出勤簿は上記2つとは異なり、記載内容が定められているものではありません。
タイムカードや勤怠管理システムを利用することで記録としている企業も多いです。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは、年末調整の際に従業員が提出する書類です。従業員に扶養家族(配偶者や親族)がいることを申請し、所得控除をすることができます。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、国税通則法第70条~第73条において、7年保管が義務付けられています。
給与収入がある従業員は、アルバイトやパートを含め提出が必須です。提出の時期になると、人事担当者が従業員へ今年と翌年分の2枚を配付し、期日までの回収・管理および税務署への申請を行わなければなりません。
給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書とは、年末調整の際に提出する書類です。従業員が1月から源泉徴収された所得税額と、12月末までに受け取った所得で再計算した所得税額との過不足を精算します。
こちらの書類も7年保管が義務付けられていますが、保管期間が長いこともありかさばることが多く、保管に苦慮する企業も多いでしょう。
従業員の書類提出により新たに控除を適用することで、払いすぎている所得税を従業員へ還付する(または足りない所得税を追加徴収する)働きがあります。
源泉徴収簿とは、正確に源泉徴収をおこなうための帳簿のことです。給与や賞与などの所得や社会保険料控除額を記入し、所得税を算出するために使用します。
この源泉徴収簿は、企業として法的な記録義務は定められていませんが、正確な源泉徴収と所得税を正しく納税する観点で必要な帳簿です。作成する場合は、上記申告書と同じく、7年間の保管が必要となります。
従業員による給与明細の保管は、企業として推奨すべき項目です。
給与明細が従業員側で保管されていると、企業の倒産や税金の申告誤り、確定申告などの税金面での対応など、従業員側での対応が必要となった際に賃金の内訳を自身で確認してもらうことが可能です。
また、労働基準法で未払い賃金請求権の事項が2年であるため、約2年は保管してもらうように推奨することをおすすめします。
給与明細自体の企業側の保管義務はないものの、関連書類は3年または7年の保管義務があります。
給与明細および関連書類の保管に伴い想定されるトラブル | トラブルの対処方法 |
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書類の紛失、盗難リスク | 従業員への説明および保管の促し |
保管場所の確保にかかるコスト | 書類のクラウド上での保存 |
問い合わせ対応時の手続き煩雑化 | 人的ミス防止や業務簡略化を目的とした給与明細システムの導入 |
このようなトラブルにも対処できるよう、事前に上記のような対処方法を検討しておきましょう。
作成・発行した給与明細を企業側が保管しておく義務は法的にはないものの、有事に備えて従業員個人でも対応してもらうよう推奨する必要があります。
保管すべき給与明細関連書類と保管期限
想定できるトラブルを防ぐため、人事労務担当者または経理担当者の方は、適切な対処を行っておきましょう。
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