パソコンやスマートフォンから、いつでもどこでも確認できるWeb給与明細は、これからの企業にとって欠かせないクラウドサービスのひとつです。
この記事では、給与明細の電子化によるメリットや、おすすめのWeb給与明細システムについて解説します。
目次
Web給与明細とは、パソコンやスマートフォンで電子化された給与明細、源泉徴収票、またはそれらを閲覧することができるクラウドサービスのことです。
過去の給与明細も一定期間蓄積され、いつでも閲覧可能です。
業務効率化やペーパーレス化が重要視されるいま、多くの企業が注目しているサービスです。
給与明細は、給与の内訳や手当のほか、社会保険や労働保険などの情報が書かれた重要な書類です。
企業が従業員を雇う際の決まりごとを定めた労働基準法では、給与明細発行の義務は明文化されていません。しかし、所得税法(所得税法第231条)には、給与を支払う者は給与の支払を受ける者に対して、支払明細書を交付しなくてはならない、と定められています。
また、健康保険法でも、被保険者である従業員の賃金から控除した保険料の明細書を渡すよう規定されています。
企業には従業員に給与明細書の発行と交付を行う義務があるといえるでしょう。
【参考】労働条件・職場環境に関するルール – 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/chushoukigyou/joken_kankyou_rule.html
平成19年1月1日以降、給与等の支払者(交付者)が受給者(交付を受ける者)への書面による給与等の支払明細書を交付する代わりに、電子交付できるようになりました。
Web給与明細システムの導入には初期費用やランニングコストが発生しますが、以下のような企業は享受できるメリットの方が大きくなるでしょう。
時間や場所を選ばずに確認できるWeb給与明細は、保存性が高く、必要なときに必要な情報を引き出すことができます。
パソコンやスマートフォンで、電子化された給与明細や源泉徴収票を確認できるという従業員にとってのメリットだけでなく、Web給与明細の導入・運用は、企業に以下のようなメリットをもたらします。
以下でそれぞれ説明します。
Web給与明細の導入によりペーパーレス化が進むことで、給与明細発行業務にかかるコストを削減することができます。
たとえば所定のフォーマット用紙に給与明細を印刷している企業の場合、従業員が100人いれば、毎月100枚の給与明細を発行しなければなりません。紙の給与明細を発行するためには、100枚分の印刷代、封筒代、郵送費がかかります。加えて、仕分けや封入作業などにかかる業務人件費も発生します。
毎月発生するこれらのコストは、給与明細のペーパーレス化により大幅に削減できます。
特に従業員の多い企業ほど、大幅なコストダウンにつながります。
給与明細の発行を紙からWebへ切り替えることで、印刷後の仕分け、確認作業や配付、郵送の手配といった作業がなくなり、かつ、人為的な配付ミスも発生しないため、業務効率のアップが見込めます。
たとえばエクセルなどを使って作成し、もし印刷後に打ち間違いや数式のミスなどによる内容の誤りが発覚した場合、内容の修正、再印刷と非常に手間がかかります。
個人情報である給与明細を発行する際は、情報漏えいに注意しなければなりません。
データで管理していれば、紙の給与明細のように、紛失による個人情報の流出や悪用のリスクが軽減されます。
Web給与明細の場合、紙の給与明細のように物理的に紛失されることはありません。
また、従業員が給与明細を閲覧するパソコンやスマートフォンは、個人ごとにパスワードなどでロックすることができます。
Web給与明細を現在使用している労務・人事管理システムや給与計算システムなど他システムと併せて管理・運用することで、さらなる業務効率化が期待できます。
給与計算システムで作成した給与データを流用してWeb給与明細を作成し、また、給与データや従業員情報を労務・人事管理システムなどと連携させて一元管理することで、あらゆる人事労務関連の作業においてデータ入力の二度手間を省き、転記ミスなどのリスクも軽減することができます。
企業にとってメリットの多いWeb給与明細ですが、導入にはいくつかのポイントをおさえる必要があります。
閲覧パスワードの漏えいやコンピューターウィルスによるファイル流出は、絶対に避けなければなりません。
また、明細書の誤送信を回避するため、明細書の名前と宛先が一致しているか再確認することが重要です。
ここでは、給与明細の電子化に向けて注意すべきことを詳しく解説します。
企業がWeb給与明細の導入を望んでいても、従業員が同意しなければ電子化することはできません。
導入前の反対運動や、導入後の大きなトラブルに頭を悩まされることもあります。
スムーズな移行を実現するためには、人事部や総務部などが協力して、従業員にメリットや活用方法を説明することが大切です。
すべての企業にWeb給与明細が適しているわけではありません。
システムを導入したにもかかわらず、「不具合が多く、業務が効率化していない」「思った以上に費用がかさみ、コストダウンできていない」「システムを使いこなせない従業員が多い」など、問題が発生する可能性があります。
導入から一定期間が経過したら、従業員から状況をヒアリングし、効果測定をした上で今後の運用を検討することが重要です。
Web給与明細にはいくつかの注意点があるとはいえ、給与明細を電子化することは、企業はもちろん、従業員にとってもプラスとなるケースが多いです。
先述したメリットを享受するためには、自社に合ったシステムを選定する必要があります。
ここでは、給与計算システムの機能の一つとしてWeb給与明細システムが入っているものを含め、おすすめのシステムをご紹介します。
オフィスステーションWeb給与明細(https://www.officestation.jp/kyuyomeisai/)
導入費用0円のオフィスステーションWeb給与明細は、業界最安水準で導入・運用できるシステムです。
<特徴>
マネーフォワード クラウド給与(https://biz.moneyforward.com/payroll)
マネーフォワード クラウド給与は、導入サポート・外部連携が充実したクラウド給与ソフトです。
<特徴>
PCA給与DX(https://pca.jp/area_product/prokyu.html)
PCA給与DXは、豊富な機能を持つ給与計算ソフトです。
『PCA eDOCX(PCAの文書管理ソフト )』と連携することで、必要な時に、いつでも給与明細を確認することが可能です。
<特徴>
ソビア社会保険労務士事務所 代表社労士/ホワイト財団 代表理事 | 五味田 匡功
人事・労務設計と共に、ビジネスモデルの改善もサポートし、ソビアグループ創業者兼顧問に就任する。
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労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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