人事・労務の課題を解決するメディア労務SEARCH

Facebook twitter
無料メールマガジン登録受付中!

育児休暇と育児休業の違いは?育休中の給与や手当、給付金制度・年末調整を解説

この記事をシェアする

Twitter Facebook Pocket LINE はてなブックマーク

人事・労務担当者も、常日頃からは対応することのない育児休暇中の給料処理。新しく労務担当になると「育児休暇中の給与はどのような扱いになるのか」「休業中の従業員に対しての保険や年末調整はどのようにすればいいのか」など、疑問を感じることも多いはずです。

また、従業員からは「手当はどの程度支払われるのか」と問い合わせが入るなど、日々あまりない対応に頭を抱えることになります。

今回は、そんな育児休暇の給与に関する悩みについてまとめてみました。

育児休暇と育児休業の違いとは

育児休暇と育児休業の違いとは

そもそも、育児休暇と育児休業の違いは皆さんご存知ですか。
育児休暇は自主的に休暇を取得することで、育児休業は育児休業法に則って休暇を取得することです。
企業では、法律に則って対応するほかにも、会社内の制度として、育児休暇を推進しているところもあります。

育児休暇とは

育児休暇とは、子どもを養育する労働者が、育児のために取得する休暇を指します。
育児休暇は、法律の適用外であるため、給付金制度などはありません。
育児休暇制度を設けることは、会社の努力義務であり、就業先によって、育児休暇制度の内容や条件もさまざまです。

育児休業とは

育児休業とは、育児・介護休業法に基づいて取得する、育児のための休業制度で、いわゆる「育休」を指します。
育児休業は、労働者が育児をしながらも長期的に仕事を継続していけるよう、子どもの養育と仕事の両立を目的として定められた制度です。
育児休業は、満1歳未満の子どもを育てる労働者が対象となります。また、非正規雇用労働者の場合は、子どもが1歳6カ月になる日まで、契約が継続していることも、対象の条件となります。
育児休業中の労働者は、基本的に無給となりますが、育休中の労働者の収入を補うために、「育児休業給付金」など、給付金制度が設けられています。

育児休暇中の手当はどのような制度があるのか

育児休暇中の手当はどのような制度があるのか

育休手当とはどのようなものがあるのでしょうか。大きく分けると2種類あり、育児休業法で規定されている手当と企業独自の制度による手当があります。

育児関係の公式の手当等

・出産育児一時金(協会けんぽ 参照)
直接支払制度もしくは、出産育児一時金を自ら申請することができます。 基本、42万円が給付されます(状況により変動)。そのため、直接支払制度を利用すれば、協会けんぽが直接病院に支払いをおこなうため、差額のみ病院に支払います。
海外での出産や、手続きが間に合わない場合は、後日出産育児一時金を申請すれば給付されます。

・出産手当金(協会けんぽ 参照)
出産手当金は出産日以前の原則42日から出産日の翌日以降56日までの範囲内で、会社を休み、給与の支払いがなかった期間(または出産手当金の額よりも給与が少ない場合)に支給されます。こちらも、出産育児一時金同様、被保険者の管轄の協会けんぽへの申請が必要となります。

・1日当たりの金額
【支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
(支給開始日とは、最初に出産手当金が支給された日のことです)

・育児休業給付金 1歳未満の子どもを養育する必要のある従業員が育児休業を取得したときに、要件を満たすと、この育児休業給付金を受け取れます。

1歳以上でも、育児休業を延長できる場合、給付金も延長できる場合もあります。

なお、上記の3つの給付金に関しては、税金は発生しません。

企業独自の制度の手当

会社の制度は企業によってさまざまで、出産の祝い金や、育児休業もしくは休暇中の補助、ベビーシッター制度などがあります。育児休業法では、育児休業に関する情報を社員へ周知することが努力義務として設定されています。

ぜひ従業員やその配偶者が育児をする状況になった際には、制度が利用しやすい環境を作るように心がけてください。

産後パパ育休(出生時育児休業)が利用できます

産後パパ育休(出生時育児休業)が利用できます

育児休業は、男性も取得できます。
また、育児・介護休業法の新たな法改正により、2022年10月1日より産後パパ育休(出生時育児休業)が施行されるようになり、今後ますます男性の育児休業が促進されることとなります。そのため企業は、男性従業員も育児休業を取得しやすい職場環境づくりを意識していかねばなりません。

産後パパ育休(出生時育児休業)

産後パパ育休(出生時育児休業)とは、子供の出生後、8週間以内に4週間まで取得可能な育児のための休暇のことを指し、育児休業とは別に取得することができます。
また、産後パパ育休は、2回に分割して取得することも可能であるため、必要な時期に合わせて取得がしやすくなります。

育児休暇中の従業員の給与はどこまで補償すべきか

では、企業にとって、育児休暇中の従業員の給与が無給であることは違法にあたるのでしょうか。

答えはNOです。

育児休業法には、育児休暇中に企業からの給与支払いについては書かれていません。
これは、雇用保険から、先に述べた育児休業給付金という手当が支給されるためです。

ただし、この育児休業給付金は勤務していたころと同じ金額が給付されるわけではなく、ある計算式に基づいて算出されるため、おおよそ過去2年間の給与水準の50%~67%の金額が支払われます。
そのため、育児休業もしくは休暇中に企業から給与を支払わない例も多々あります。

ただ最近の傾向として、ワーキングマザーを支援しようという企業も多く、独自に制度を設けているところも少なくありません。例えば、給与は支払わないが、手当として月々数万円の支給をしている企業もあります。

ただし、手当が一定額を超える場合は対象者が受け取る育児休業給付金に調整がかかり支給額が下がる可能性があるため注意が必要です。

育児休暇中の保険や年末調整はどうなる?

育児休暇中の保険や年末調整はどうなる?

そもそも年末調整とはどのようなものでしょうか。
毎月給与から天引きされている仮の所得税額の年間合計と、確定した1年間の総収入から計算される正式な所得税額の差額を年末に精算することをいいます。
産休育休に入れば年末調整の対象外なのかという質問が多いのですが、答えはNOです。

出産・育児休業中の従業員の年末調整は、企業が雇用している間は例年通り企業側でおこないます。年末調整の対象となる期間は1月~12月までのため、年度の途中から産休に入った場合も、税金が還付される場合があります。

出産や育児を機に退職する従業員は、自身で確定申告をしないといけません。また、企業から、退職者に対して「給与所得の源泉徴収票」を送付する必要があります。
その場合は、「還付される場合があるから確定申告をするように」と一言添えると親切かもしれません。

年末調整の対象者とは

そもそも年末調整の対象者とはどのような人なのでしょうか。
年末調整の対象者とは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出している人です。よって、企業で雇用されている人が対象になります。出産育児休業中でも、企業に所属して入ればその対象という扱いになるのです。
ただし、この「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が未提出の場合は対象にならないため注意が必要です。

年末調整の対象とならない人とは

年間2,000万円を超える給与収入がある、もしくは災害に遭い所得税の猶予や還付を受けている、日雇い労働者や他の会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人が挙げられます。

育児休暇を取得した従業員の社会保険

育児休暇を取得した従業員の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)について、事業主が、年金事務所または健康保険組合に、「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書」を提出することにより、被保険者と事業主両方の保険料負担が免除されます。

育児休暇を取得した従業員の年末調整

育児休暇を取得した(取得中の)従業員についても、年末調整をおこなう必要があります。
「扶養控除の対象となる扶養家族に異動があった場合」や「社会保険料や生命保険料などの控除対象となる支出がある場合」など、所得税額が変わる可能性がある場合は、育休中であっても年末調整による申告が必要です。
また、育休取得により対象期間の1年間、全く収入がなかった場合も、「扶養控除等申告書」を提出することで、次年度の源泉徴収時に扶養控除が反映され、所得税が源泉徴収されます。
また、育児休暇に関する手当金や給付金については、所得税がかからないため、年末調整時に計算をする必要はありません。

従業員の配偶者が産休・育休を取得している場合

従業員の配偶者が産休・育休中であることを知ったら注意が必要です。産休、育休中は給与の支払い義務がないため、その年の給与収入が103万円以下の場合は配偶者控除、201万円以下の場合は配偶者特別控除を利用することができます。
従業員からの申請がなければ対応する必要はありませんが、申請があった場合に対応できるように備えておきましょう。

税制面や控除を会社任せにしている従業員や、年末調整をする際に期限までに書類を出さない従業員もいるかと思いますが、控除などメリットがあることを説明しておけば、お互いに手続きがしやすくなるでしょう。

万が一、年末調整の書類の提出が間に合わない場合や、控除の申告漏れがあった場合は、従業員自身で確定申告をおこなえば、過去5年間まで遡っての申告が可能です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。育児休業・育児休暇だけでもたくさんの制度があります。大半が、従業員の申請により給付されるものです。企業側が、育児休暇・休業中に給与の支払いをしない場合、給付金制度は従業員とって大事な資金源になります。

長期的に勤務してもらうためにも、従業員への出産・育児に関する情報の周知徹底はもちろん、企業独自の制度設計にも力をいれるようにしましょう。

e-Govをもっと便利に使うなら。無料で使えるe-Gov電子申請連携ツール「オフィスステーション 労務ライト」。
各種簡単ガイド一覧はこちら