この記事でわかること・結論
- 産休および育休は契約社員でも取得することができる
- 産休は会社に雇用されていれば取得可能であるが、育休は契約社員が一定条件を満たす必要がある
- 育児休業中に労働契約期間が終わり、次の更新がされない契約社員は育休を取得することができない
この記事でわかること・結論
契約社員などの有期雇用労働者でも、産休や育休を取得することができます。
労働基準法など各種法令によって、一定条件を満たす契約社員の産休・育休取得権利が認められています。取得条件やどのくらいの期間で利用できるのかなど、出産予定になる前に確認しておきたいところです。
そこで本記事では、契約社員における産休や育休について、取得条件や取得期間、契約社員が取得する場合の注意点などを解説します。
目次
結論から言うと、契約社員でも産前産後休業や育児休業を取得することができます。
産前産後休業は、労働基準法第65条にて「女性労働者が請求する場合は、就労させてはいけない」という内容で定められており、契約社員やアルバイト・パートタイムなど雇用形態にかかわらず取得が認められています。
育児休業については、契約社員やアルバイト・パートタイムなどの有期雇用労働者は「一定条件」を満たしている場合に取得することができます。有期雇用労働者の育児休業は、育児・介護休業法によって権利が認められています。
産前産後休業や育児休業などの制度は、有期雇用労働者(契約社員や派遣社員、アルバイト・パートタイム)でも取得できます。産前産後休業は、出産を控えている女性労働者が請求することで取得できます。育児休業は、一定条件を満たしている労働者が取得できます。それぞれ労働基準法と育児・介護休業法にてその権利が認められています。
また、産休や育休を取得することで労働者を不当に扱うことは男女雇用機会均等法などで禁止されています。契約社員でも産休や育休を取得する権利があり、各種法令によって保護されています。
産休は「産前休業・産後休業」の両方を指します。冒頭でも触れたとおり、雇用形態にかかわらず取得ができます。それでは、産休の取得条件や取得期間について詳しく見ていきましょう。
産休の取得条件は、まず「会社と雇用関係にあること」です。そのため、契約社員やアルバイト・パートタイムの方でも取得可能です。雇用関係ではない個人事業主や経営者は対象外となります。
そのうえ、産前休業については「6週間以内に出産予定の女性労働者」が申請する場合に取得できます。胎児妊娠の場合は14週間以内に出産予定であれば取得可能です。この内容は労働基準法第65条にて定められています。
使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
また、使用者は「出産後8週間を経過していない女性労働者を就労させてはならない」という内容も定められています。この内容は産休のなかでも「産後休業」にあたります。
産休は労働基準法が定める女性労働者であれば取得可能であり、勤務年数には決まりがありません。そのため、入社1年目であっても産休を取得することができます。
産休を取得できる期間は、産前休業が出産予定日より42日前から(6週間前)であり、産後休業は出産翌日から56日後まで(8週間後)です。しかし、出産後6週間を経過した女性労働者が就労を求める場合、医師から支障がないと判断された業務をさせることは認められています。
また出産は、予定どおりに進まない可能性もあります。出産予定日よりも早い・遅いに合わせて「産前休業」の期間が短くなったり、長くなったりします。産後休業の期間については特に変わりません。
産休取得中の給料については企業によって異なりますが、「ノーワーク・ノーペイの原則」のもと支給しないところが多いです。ですが出産手当金などの関連する支援制度もあるため、利用することで出産そして育児をしながらも生活を保つことができます。
続いて育休について解説します。育休は産休とは異なり、契約社員はいくつかの一定条件を満たす必要があります。ここでは育休の取得条件と取得期間について解説します。
契約社員における育休の取得条件は、「子供が1歳6カ月に達する日までに労働契約期間が満了し、更新されないこと」が明らかでないことです。
子供が1歳6カ月に達する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである場合、つまり「育児休業中に労働契約期間が終わり次の更新がされない」ということであれば育休は取得できません。
育休を取得できる期間は「原則として子供が1歳になるまで」です。しかし、保育施設に入れないなどの場合は最長2歳まで延長可能です。また、育休とは別に「産後パパ育休制度」や「パパ・ママ育休プラス」などの制度もあります。育児に関連する休業制度は種類があるためまずは知ることが大切です。
先述のとおり契約社員でも産休や育休を取得することができますが、注意点もいくつかあります。
産休や育休を取得する場合、必然的に会社を長期的に休むことになります。会社側はその期間中の業務について、代わりの人材を見つけたり体制変更をしたりする必要があるため、契約社員でも妊娠が発覚した場合は速やかに上司や会社に相談しましょう。
会社側は出産を控える社員と、出産予定日や産休・育休の期間および復帰後の就労意思などをすり合わす必要があります。パートナーともよく相談しながら、スムーズに計画を立てていくことが大切です。
出産手当金や育児休業給付金など産休や育休関連で利用できる給付金制度について、スムーズに手続きを進めるために手続きの流れなどよく確認しておきましょう。
申請手続きには具体的なスケジュールや医師の証明書類など、取得者本人からもらう情報や書類などがあります。給付金には期限もあるため、取得者本人と連携を取りながら必要なモノの把握や管理もしっかりとおこないます。
産休や育休は正社員が取得するイメージがありますが、一定条件を満たしていれば契約社員でも取得することができます。特に育休については労働契約の条件があるためよく確認しておきましょう。
出産から子育ての期間について、取得期間や利用できる給付金などの情報もよく知っておく必要があります。産休・育休中は経済的支援を受けながら子育てができるように、パートナーと相談しながら計画をします。
また、使用者も産休・育休取得者の各種手続きや給付金について内容をしっかりおさえて、出産や子育てを適切にサポートしましょう。
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