この記事でわかること
- 退職手続きの全体の流れ
- 従業員の退職時に必要な社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続き
- 人事・労務担当者が把握すべき提出・回収書類について
従業員から退職の意思表明を受けた場合、迅速に退職手続きをおこないます。
人事・労務担当者は社会保険・雇用保険の喪失届の提出と、住民税の徴収方法の変更手続きをおこないます。
今回は人事・労務担当者がおこなうべき退職手続きの流れや社会保険(健康保険・厚生年金保険)の喪失手続きを解説します。
この記事でわかること
なんば社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士
https://www.namba-office.osaka.jp/
ワークスタイルコーディネーター。社会保険労務士
社会保険労務士の中でも10%に満たないと言われる助成金を専門に手掛けるの社会保険労務士。
従業員が退職の意思を表明した場合、速やかな対応が必要です。
人事・労務担当者は退職希望者と管理者の双方とコミュニケーションを取りながら、以下のスケジュールで退職手続きをおこないます。
退職手続きの流れ
所属する部署が混乱しないように、人事・労務担当者としてサポートをおこないます。
会社が指定する退職届の記入依頼と退職後に社会保険・雇用保険の喪失手続き、住民税の徴収方法に関する手続きが人事・労務担当者のおこなう退職手続きとなります。
事業主は従業員が退職する場合、社会保険(健康保険・厚生年金)および雇用保険の喪失届の手続き、住民税の退職に伴う徴収方法の変更手続きが必要です。
社会保険・雇用保険喪失の手続き | |
健康保険・厚生年金保険 | 退職日の翌日(資格喪失日)から5日以内に健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を管轄する年金事務所に提出 |
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雇用保険 | 離職者の退職日の翌日から10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届と雇用保険被保険者離職証明書(離職証明書)を管轄するハローワークに提出 |
住民税 | 退職日を含む月の翌月10日までに従業員が居住する市区町村に給与支払報告に係る給与所得異動届を提出 |
源泉徴収票の発行 | 通常、最後の給与支払日の前後で交付。中途退職者は退職日から1カ月以内に交付 |
全国健康保険協会の場合、健康保険被保険者証(本人分・被扶養者分)を添付。その他、高齢受給者証や健康保険特定疾病療養受給者証、健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証、源泉徴収票が交付されている場合も添付が必要です。
その際、離職票の発行希望を退職者に確認します(一般的には雇用保険被保険証とともに発行する企業が多い)。
雇用保険に加入しておらず、雇用保険被保険者証を持っていない労働者
従業員の退職において、国民保険や国民年金の切り替え手続きはすべて退職者がおこなうため、人事・労務担当者がおこなうことはありません。
国民健康保険及び国民年金に加入する場合、資格喪失から14日以内に各市区町村での手続きが必要な旨を伝えます。
退職手続きで発行・回収する書類 | |
発行する書類 |
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回収対象 |
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退職者が次の会社に再就職した場合、再就職した会社で新たに雇用保険に加入する際に必要となります。
転職者が以前の事業主から退職して7年以上経過している場合(雇用保険未加入は、退職の場合に限りません)、転職先の事業主が新たに雇用保険被保険者証を発行します。
離職票は退職者が失業給付を受ける、または失業保険を受け取るために必要です。
また、退職者が退職証明書の交付を請求した場合には、企業には退職証明書の交付が義務付けられています(労働基準法第22条1項)。
請求の拒否および理由ない遅延においては、労働基準法違反として30万円以下の罰金が科せられます。
従業員が退職の意思を表明した際、人事・労務担当者は迅速に退職手続きをおこなわなければなりません。
中でも社会保険の喪失届は提出期限が決まっているため、退職の事実が判明したら、すぐに退職手続きをおこないましょう。
雇用保険被保険者資格喪失届は電子申請が義務化されている帳票です(特定の法人が対象)。
e-Govまたは「オフィスステーション 労務」をはじめとした人事労務クラウドソフトを利用して、提出しましょう。