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退職証明書とは?離職票の代用?会社が拒否した場合は労働基準法違反で罰則あり!

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労働基準法第22条では「労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを発行しなければならない」と定められております。

ここでは退職証明書の発行と記載事項について解説していきます。

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監修者
岡 佳伸

社会保険労務士法人岡佳伸事務所 代表 特定社会保険労務士
https://oka-sr.jp/

開業社会保険労務士として活躍。各種講演会(東京商工会議所練馬支部、中央支部、公益社団法人東京ビルメンテナンス協会)講師及び各種WEB記事執筆、日経新聞、女性セブン等に取材記事掲載、NHKあさイチ2020年12月21日、2021年3月10日にTVスタジオ出演。
特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

退職証明書とは

退職証明書とはその名の通り、会社を退職していることを証明するための書類となります。退職証明書が必要になる場合は、主に転職先の会社から提出を求められた場合か、失業手当や再就職手当などの受給・国民健康保険の手続きをする際に、離職票の代わりとして使用する場合のいずれかとなります。

この退職証明書は公文書ではなく、従業員の申請に対して事業主が発行する文書となります。書式や様式の指定もなく、従業員から請求がなかった場合は発行する必要はありません。

退職証明書の発行と記載事項について

従業員が退職する際、退職についての事由や従事していた職務の内容などについて証明を求められたとき、事業主は退職証明書を発行することが義務付けられています。そのため、退職する従業員から退職証明書を請求された場合は、早急に発行する必要があります。

事業主側は、退職証明書の請求を拒否することができないとされており、拒否した場合は労働基準法違反になってしまいます。罰則もありますので、しっかりと対応をするようにしましょう。事業主が退職証明書において証明しなければいけないのは次の事項となっています。

  • 使用期間
  • 従業員が従事した業務の種類
  • 会社における従業員の地位
  • 従業員の給与額等
  • 退職に至る理由(解雇の場合は理由も記入する)

ただし、この退職証明書で証明しなければならないのは従業員が請求した事項のみであり、請求されていない事項については記載してはならないとされています。

退職証明書の記載事項である退職の事由とは

従業員から退職証明書の請求を受けて、その中に退職の事由について記載を求められた場合、どのようなことを記入すればいいのでしょうか?

まず、従業員の退職の理由によって記載する内容が変わってきます。従業員の自己都合退職の場合、一般的には「自己都合」と書き、その退職事由については詳しく記載しないことが多いです。そして、事業主は従業員が再就職する際に不利になるような事項を意図的に記載してはならないとされています。

しかし、退職の事由が解雇であった場合、その従業員を解雇するに至った理由について、退職した従業員本人から請求のあった際には、詳しく記載する必要があると行政から通達されています。さらに、その解雇理由が就業規則に則ったものだった場合は、解雇理由に該当すると判断した事実関係について退職証明書にしっかりと記載しなければならないと通達されていますのでご注意ください。

従業員に請求される可能性のある解雇理由証明書とは

解雇理由証明書というのは、記載する内容自体は退職証明書における退職の事由についてと同じ内容となることが多いです。ですが、解雇理由証明書は、退職証明書とは違って退職日前においても従業員は請求することができるといわれています。

一般的に、事業主は従業員を解雇する際には解雇予告をしていなければなりませんので、解雇予告をしてから退職するまでの間に従業員は解雇理由証明書を請求することができるということです。ただし、ここで従業員が請求することができるのは、あくまでも解雇の理由についてのみとなっており、そのほかの内容については請求することができません。

その他の退職時に発行する物について

従業員が退職する際に請求される可能性のある書類が退職証明書ですが、それ以外にどのような書類を発行しなければいけないのかを確認しておきましょう。

まずは、雇用保険の離職票です。従業員が退職をした後に、事業所の所轄のハローワークに離職証明書を提出する手続きを行って、ハローワークより離職票の発行を受ける必要があります。手続きの期限は、離職日の翌日から10日以内とされています。退職者本人から不要との希望がない限り、離職票は必ず発行する必要があります。

また、事業主は従業員の退職日から1ヶ月以内に、従業員の給与や賞与に関する源泉徴収票を発行する必要があります。源泉徴収票は従業員が再就職先に提出を行ったり、確定申告をしたりするために必要となります。

また、退職金の支給がある場合は、それとは別に源泉徴収票を発行しなければなりません。さらに、従業員の雇用保険被保険者証を会社が預かっている場合については、それを返却する必要がありますので確認しておきましょう。

まとめ

今回は、退職証明書や解雇理由証明書、そしてそのほかの退職の際に従業員に発行する書類についてご紹介させていただきました。退職証明書や解雇理由証明書については、従業員からの請求がなければ発行する必要性はありません。

また、従業員が自主退職することを決定した場合は、解雇理由証明書を発行する必要性はありませんので、間違えないよう気をつけてください。従業員が退職する際に必要な書類も含めて、社内管理表などでもれなく処理できるようにルール化をしておくとよいでしょう。

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