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在籍証明書(在職証明書)とは?必要になるタイミングや記載事項・注意点を解説

在籍証明書(在職証明書)とは?必要になるタイミングや記載事項・注意点を解説

監修者:労務SEARCH 編集部
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この記事でわかること・結論

  • 在籍証明書とは、対象の従業員が対象の会社所属であることを証明するための書類のこと
  • 子供を入園・入学させる際や、転職した際などさまざまなシーンで在籍証明書が必要になる
  • 在籍証明書の作成は義務ではないが従業員によって重要な書類なため、請求されたときは迅速に作成できるように記載事項など覚えておく必要がある

在籍証明書とは、自身が会社に所属しているということを証明する書類のことを言います。在籍証明のほかにも、無職ではないことや収入証明として利用する場合もあります。

在籍証明書は法律で定めのある書類ではありません。そのため企業への発行義務もありませんが、一部従業員にとっては必要不可欠な書類でもあります。

適切に作成してあげられるように、本記事では在籍証明書の基本内容や必要になるタイミング、および記載する事項について解説していきます。

在籍証明書(在職証明書)とは

在籍証明書(在職証明書)とは

在籍証明書とは、従業員がその会社に属していること証明する書類のことを指します。特別、法律などで定められた書類ではないため企業への作成義務は基本的にありません。

そのため正社員をはじめとしてパートタイムやアルバイトなど、どの雇用形態でも在籍証明書の作成を希望することができます。派遣社員の場合は、自身が所属する派遣元会社に依頼をしてください。

POINT
在職証明書は「従業員が在職しているという証明書」

在職証明書は従業員が会社の一員として在職しており、雇用関係および労働対価を得ている状態であるということを証明するものです。

在職証明書を作成してあげることで、対象の従業員は無職ではないことが証明できるほか、安定した雇用見込みおよび収入があるという証明にもなります。後述しますが各個人が在職証明書を必要とするタイミングがあり、希望するという場合は、企業は快く受け入れて作成してあげましょう。

在籍証明書と在職証明書との違い

似ている言葉である「在籍証明書」と「在職証明書」については、厳密には以下のように区分された書類であるとされています。

在籍証明書 対象従業員が特定の会社に在籍していることの証明書
在職証明書 対象従業員が主に働いていた期間の証明

在職証明書は雇用期間やポジションなど従業員について詳細に記載がされますが、会社によっては内容が似ているため、在籍証明書と在職証明書は同じ書面であることも多いです。

また、在籍証明書は法律で定められた書類ではないため会社によって名称が異なる場合があります。ほかにも「在職証明書」「雇用証明書」「就労証明書」などと呼ぶ会社もあるでしょう。

在籍証明書が必要になるタイミング

在籍証明書が必要になるタイミング

会社は在籍証明書について、発行義務はありませんが従業員が希望する場合は作成をしてあげましょう。では、従業員はどのようなタイミングで在籍証明書が必要になるのでしょうか。

主に以下のタイミングが挙げられます。

在籍証明書が必要になるタイミング
  • 転職先から要求されたとき
  • 副業をしている取引先から要求されたとき
  • 子供を保育園に入園させるとき
  • 賃貸契約や住宅ローンを組むとき

転職先から要求されたとき

従業員が転職活動などしており次の就職先がすでに決まっているという場合に、その転職先企業が、対象の従業員についての在籍証明書を必要としていることがあります。

在籍証明書で職務歴の確認ができる

理由は「職務歴を確認するため」です。職務経歴書および履歴書などと一緒に、働いていた期間について明確にするために在籍証明書が活用されることが多いです。特に公務員の募集要項には、必須書類として書かれていることもあります。

また、既に退職された従業員から在籍証明書の作成を要求された場合は、在籍証明書ではなく「退職証明書」を発行しましょう。退職時の証明については請求があった場合に発行することが、労働基準法第22条にて会社への義務として定められているため必ず発行が必要です。


労働基準法第22条

労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。


従業員から請求があるにもかかわらず退職証明書を交付しない場合は、労働基準法第22条違反となり、30万円以下の罰金が科されます。

副業をしている取引先から要求されたとき

ダブルワークを許容している会社では、副業をしている従業員もいるかもしれません。そういった副業をしている従業員は、在籍証明書を請求してくる可能性があります。

理由は、副業として取引しているような企業から各個人へ在籍証明書を要求することがあるからです。タイミングは主に取引先との労働契約を締結する際です。本業を加味して、可能な稼働時間やスキルなどを考慮するために提出を求められることがあるでしょう。

子供を保育園に入園させるとき

授業員は子供を保育園などに入園させる場合は、基本的に在籍証明書の提出が必要となります。

在籍証明書は保育が必要な証明になる

理由は、保育が必要であるという家庭状況を証明するためです。そのため、母親も働いているのであれば在籍証明書の提出を求められます。

また保育園だけでなく、一部小学校や高等学校の入学時にも在籍証明書の提出が求められるケースがあります。両親共働きであれば、パートナー分の在籍証明書が必要なこともあります。

賃貸契約や住宅ローンを組むとき

賃貸契約で家を借りる時や住宅ローンなどを組む際に、在籍証明書の提出が求められます。

  • 借りる本人に返済能力があるのか
  • 勤務先はどのような企業であるのか

などが見られるため必要とされます。

在籍証明書の記載事項・書き方

在籍証明書の記載事項

会社が在籍証明書を作成については法的なものではないため、記載事項やフォーマットなどに指定はありません。ですが、従業員が必要になるタイミングや用途に応じた項目を記載してあげることが理想です。

一般的に在籍証明書に記載される事項には、以下のようなものがあります。

在籍証明書の記載事項
  • 氏名、住所、生年月日など基本情報
  • 入社年月日
  • 勤続年数、雇用期間
  • 雇用形態
  • 勤務時間帯
  • 業務内容
  • 役職や年収
  • 発行の日付
  • 会社概要(会社所在地・代表者名など)

上記の項目はあくまで一般的な例ですが、あらかじめなぜ在籍証明書が必要になるのかを尋ねてから作成すると親切でしょう。

たとえば子供を保育園に入園させる際の在籍証明書には、日中の勤務時間帯などが必要です。賃貸や住宅ローン審査のために在籍証明書が必要という場合には、年収などが必須項目となるでしょう。

在籍証明書を作成するときの注意点

在籍証明書を作成するときの注意点

在籍証明書を作成するときは、従業員が必要としている記載事項の確認をおこないましょう。なぜ在籍証明書が必要なのかを明確にすることによって、証明書として効果のある書類を作成してあげられます。

また、作成にあたり収集した従業員の個人情報管理を徹底しておこなうことも大切です。従業員情報については、労務管理システムなどを導入することで安全かつ正確に個人情報管理をしている企業も昨今では多いです。

在籍証明書に関するよくある質問

在籍証明書とはなんですか?
在籍証明書とは、従業員がその会社に在籍しており労働対価を得ている状態であるということを証明するための書類です。在籍証明書の作成は法的義務がありません。ですが従業員にとっては在籍証明書が必ず必要というタイミングもあるため、要求されたら発行することが一般的です。
在籍証明書が必要になるタイミングとは?
在籍証明書は、自身が無職でないことや安定収入があることなどの証明にも利用できます。そのため住宅ローンを組む際に必要とされることがあります。また、母親が日中労働しており子供を保育園に入れたいという場合でも、日中勤務していることを証明するために提出を求められることがあります。
在籍証明書作成時の注意点はなんですか?
必ず従業員が希望する内容であるかどうかを確認することが大切です。住宅ローン審査で在籍証明書を利用するのに年収などの記載がない、など証明書として効果のないものを作成しないように心がけましょう。集めた個人情報を漏れのないように管理することも重要です。

まとめ

在籍証明書は、従業員が会社に属しているということを証明するための書類のことを言います。法的な決まりはなく会社によっては「雇用証明書」「就労証明書」などとも呼ばれます。

在籍証明書は、たとえば従業員が転職するときにその転職先に提出を求められたり、子供を入園させる際に母親の勤務状況確認のために要求されたりすることがあります。

義務ではないですが、従業員より請求されたときはスムーズに作成します。その際は、必ず在籍証明書で証明したい内容を確認してから、必要事項をちゃんと記載してあげるということを忘れないようにしましょう。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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