この記事でわかること
- 再就職手当がもらえる人の条件
- 再就職手当の支給金額の求め方・計算方法
- 事業主が対応する再就職手当支給申請書の書き方
この記事でわかること
失業手当の受給資格者が、早期に安定した職業への再就職を決めた場合などにもらえる「再就職手当」。
この記事では、再就職手当がもらえる人の条件や、支給金額がいくらになるのかの計算方法、受給にあたり再就職手当申請書への記入内容などについて解説します。
目次
再就職手当とは、雇用保険の加入者が基本手当(失業手当)の受給資格の決定を受けた後に、早期に安定した職業に就いたり、事業を開始した場合に支給される手当のことです。
再就職手当の目的は、離職者に早く安定した職業に就いてもらうため。早期再就職を促進するために、離職から再就職までの期間で支給金額が変わります。
ちなみに、再就職手当はハローワークで所定の手続きをしたら受給できることから、別名「ハローワーク就職祝い金」とも呼ばれています。
会社を退職すると、雇用保険の被保険者のうち条件を満たす方は、所定の手続きを行うと失業手当(基本手当)を受給できます。
しかし早期再就職を促すために、再就職手当は早く再就職すると給付率が高まるようになっています。
再就職手当の給付率は、下記の表の通り、失業の認定を受けた後~再就職等をする前日までの、基本手当の支給残日数により異なります。
早期再就職による支給額 | |
支給残日数 | 支給額 |
3分の2以上 | 基本手当の支給残日数の70%の額 |
3分の1以上 | 基本手当の支給残日数の60%の額 |
具体的に再就職手当としてもらえる金額は、以下の計算式で算出します。
再就職手当額=基本手当日額×所定給付日数の支給残日数×60%又は70%
なお、再就職手当に係る基本手当日額には、上限額があります。就職時年齢が60歳未満の方は6,190円、60歳以上65歳未満の方は5,004円です。
令和5年4月時点の上限額です。
また再就職先の給料が離職前よりも低い場合、再就職手当と同じ就業促進手当の1つである「就業促進定着手当」を受給できます。
再就職手当を受給した方が再就職先に6カ月以上雇用され、再就職先での6カ月間の賃金が、離職前の賃金よりも低い場合に支給される手当です。
基本手当日額は、雇用保険受給資格証で確認が可能です。
その他の就業促進手当としては、就業手当や常用就職支度手当があります。常用就職支度手当については、以下の記事で詳しく説明しているのでぜひ参考にしてみてください。
再就職手当をもらうためには、以下の条件をすべて満たさなければなりません。
再就職手当の受給条件
待期期間とは、受給資格の決定を受けた日から失業の状態が通算7日間経過するまでの期間です。
採用した労働者が再就職手当の受給を希望した場合、事業主は入社前に採用証明書を発行します。また、入社後に事業主の手続きが必要です。
再就職手当受給希望者が持参した再就職手当支給申請書の「事業主の証明」区分に、以下の項目を記載します。
名称、事業所番号、所在地、事業の種類、雇入年月日、採用内定年月日、職種、1週間の所定労働時間、賃金月額、雇用期間、事業主氏名、捺印
再就職手当支給申請書に限らず、雇用保険の手続きは電子申請が可能です。特定の法人に至っては、一部手続きの電子申請が義務化されておりますのでご注意ください。
65歳以上の労働者も高年齢被保険者として雇用保険の加入対象となります。そのため、65歳以上の労働者からも雇用保険料を徴収できます。
65歳以上の労働者が退職する際は、再就職手当を含む失業手当が受給できるよう、必要書類(離職票や退職証明書)を発行する必要があります。
また2022年4月より、65歳以上複数就業者の雇用保険特例適用が始まります。2つ以上の事業主の適用事業における1週間の所定労働時間の合計が、20時間以上となると対象となります。
再就職手当の手続きは、労働者がおこないます。
事業主は入社前に採用証明書を発行し、入社後に再就職手当支給申請書の「事業主の証明」区分に必要事項を記入します。
再就職手当の受給を労働者が希望を申し出た場合、迅速に対応してあげましょう。
社会保険労務士の中でも、10%に満たないと言われる助成金を専門に手掛ける特定社会保険労務士/ワークスタイルコーディネーター。なんば社会保険労務士事務所の所長。
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