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【社労士監修】雇用保険の適用範囲拡大! 複数事業主に雇用される65歳以上の適用とは?

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65歳以上の労働者の雇用保険の適用が拡大され、2022年には複数事業主に雇用される65歳以上の労働者にも雇用保険が適用されます。
また、特定の法人を対象に一部の雇用保険手続き(被保険者資格取得・喪失届など)は電子申請が義務付けられています。

今回は、雇用保険加入対象である65歳以上の労働者と、2022年4月施行予定の複数事業主に雇用される65歳以上の労働者の取り扱いについて、解説します。

こんな疑問を解決します

  • 65歳以上の労働者の雇用保険の手続きと提出書類
  • 複数事業主に雇用される65歳以上の労働者の取り扱い

65歳以上の雇用保険適用要件と手続きについて

65歳以上の雇用保険適用要件と手続きについて

雇用保険の法改正により、65歳以上の労働者も「高年齢被保険者」として雇用保険の適用対象となります。そのため、65歳以上の労働者も適用要件を満たせば、雇用保険の加入対象となります。

65歳以上の従業員の適用要件

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがあること

上記の適用要件を満たす場合、対象者が入社した翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を管轄のハローワークへ提出します。

また、雇⼊れ後に労働条件の変更(所定労働時間の変更など)があり、適用要件に該当することになった場合は、労働条件の変更となった⽇の属する月の翌月10日までに雇用保険被保険者資格取得届を提出しなければなりません。

特定の法人(資本金1億円以上の大企業)は雇用保険被保険者資格取得届の電子申請が義務付けされています
特定の法人以外はハローワーク窓口への提出や郵送が可能です

資格取得の手続きでは以下の書類が必要です。

個人番号(マイナンバー)の取り扱いは十分に注意しましょう。

満65歳以上の従業員も雇用保険料の徴収対象です。
雇用保険料率は毎年見直しが入ります。厚生労働省が発表している雇用保険料率をご確認ください。

事業主は毎年6月1日時点での高齢者雇用の状況を報告するために高年齢者雇用状況報告をハローワークに提出しなければなりません。

65歳以上の労働者が雇用保険の加入要件を満たしているにもかかわらず、未加入が発覚した場合は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。


65歳以上の複数事業主に雇用される労働者の取り扱い

65歳以上の複数事業主に雇用される労働者の取り扱い

2022年4月から複数就業者等に関するセーフティネットの整備の一環で、複数の事業主に雇用される65歳以上の労働者について、労働者の申し出があれば、雇用保険への特例加入が認められます。

2つ以上の雇用保険適用事業所で勤務する65歳以上の労働者で、1つの事業所において、65歳以上労働者の雇用保険適用要件を満たすことができない場合でも2つ以上の事業所の合算で「週の所定労働時間が20時間以上」となれば、雇用保険の被保険者となります。

労働者の申し出があって初めて雇用保険が適用されます。自動的に対象者全員が雇用保険加入対象にはなりません

対象となる労働者からの雇用保険の加入申し出に対して、事業主は申し出を不当に拒むなど、労働者への不利益な取り扱いを禁じられています。

雇用保険被保険者資格取得届は、特定の法人に限り、電子申請義務化の対象帳票です。
「オフィスステーション 労務ライト」では、雇用保険被保険者資格取得届の電子申請にも対応しており、ず~っと無料でご利用いただけます。

65歳以上の失業手当について

65歳以上の失業手当について

65歳以上の労働者も雇用保険に加入するため、失業した際には失業手当にあたる高年齢求職者給付金が受給できます。

失業手当の受給手続きは雇用保険被保険者がおこないます。企業は対象の従業員が退職する際に退職者が失業手当を受給できるように必要な書類を発行します。

高年齢求職者給付金とは

高年齢求職者給付金とは、65歳未満の雇用保険加入者に支給される基本手当に変わる失業手当です。

また、規定された受給要件を満たせば、何度でも受け取れます。

65歳以上の高年齢求職者給付金と65歳未満の基本手当(失業手当)は、以下の点で違いがあります。

高年齢求職者給付金と基本手当の違い
項目 高年齢求職者給付金 基本手当の違い
受給要件 6カ月以上の雇用保険の加入 12カ月以上の雇用保険の加入
支払方法 一時金として一括支給 28日分ずつを分割支給
一括支給の日数 30日もしくは50日 90日~330日
年金との併給 不可

高年齢求職給付金は年金との併給が可能です。

高年齢求職給付金には、以下の受給要件があります。

高年齢求職給付金の受給要件

  • 離職日以前1年間に雇用保険に加入していること
  • 心身ともに健康な状態(心身ともに健康な状態とまではいえなくても、就職できる能力があれば可能)でいつでも再就職できること
    1.就職したいという積極的な意思があること
    2.いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があること
    3.積極的に求職活動をおこなっていること
  • 求職の申し込みをおこない、再就職の意欲があること

また、高年齢求職者給付金は一時金として一括支給されます。また、給付日数は雇用保険の加入期間によって、異なります。

雇用保険の加入期間 給付日数
6カ月以上1年未 30日分
1年以上 50日分

高齢者求職者給付金の支給金額は基本手当日額の30日分、または50日分となります。基本手当日額は現在受給している給与の5割~8割程度になることが一般的です。具体的には、賃金日額に給付率を乗じて基本手当日額を算出します。

高年齢求職者給付金の手続き

高年齢求職者給付金の手続きは失業者本人がおこないます。そのため、企業は65歳以上の従業員が退職する際には離職票の発行をおこないます。

失業した65歳以上の高年齢被保険者は所管するハローワークに求職登録用紙と以下の書類を提出することで、受給できます。

65歳以上の雇用保険適用拡大によるメリット

65歳以上の雇用保険適用拡大によるメリット

雇用保険の適用拡大は、企業・従業員双方にメリットがあります。

企業・従業員のメリット
企業のメリット ・人手不足の解消に効果的
・高年齢労働者は若年労働者に比べて、長期間働いてくれることが期待できる
・安定的な労働力確保にもつながる
従業員のメリット ・満65歳以上の従業員も雇用保険の各種給付金の支給対象となる
・高年齢求職者給付金(失業時に需給)のほか、育児休業給付金介護休業給付金、教育訓練給付金を受けとれる
・健康であれば、失業時の心配をすることなく、働くことができる
・高年齢求職者給付金は年金との併給が可能であり、何度でも受給できる

雇用保険の適用範囲拡大は慢性的な人手不足の解消と、健康であれば、末永く働き続けられ、給付金も充実しています。

雇用保険の適用範囲拡大:まとめ

事業主は65歳以上の労働者の方を雇い入れ、以下の要件を満たす場合、雇用保険への加入が義務付けられます(65歳以上の高年齢保険者雇用保険加入手続きは通常の手続きと変わりません)。

また、2つ以上の雇用保険適用事業所で勤務する65歳以上の労働者で、1つの事業所において、雇用保険適用要件を満たすことができない場合でも2つ以上の事業所の合算で「週の所定労働時間が20時間以上」となれば、雇用保険の被保険者となります。

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