平成29年1月1日から、雇用保険の被保険者となる対象者が拡大されました。どのように改正されたのかについて、会社の負担ともなる雇用保険料についても含めご説明します。
雇用保険は特に退職後の基本手当の受給など、従業員の方の退職後の生活を支えるために重要な役割があります。会社が正しく対処せず、不支給となるような状況を作らないためにもご一読ください。
日本大学卒業後、医療用医薬品メーカーにて営業(MR)を担当。 その後人事・労務コンサルタント会社を経て食品メーカーにて労務担当者として勤務。
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原則として雇用保険というのは、従業員を1人でも雇っていれば加入手続きが必要となります。平成29年1月に改正されるまで、65歳以降に雇用された従業員は雇用保険に加入することができませんでした。
また、同じ会社に65歳以前に加入していて、継続して雇用されている場合は「高年齢継続被保険者」という区分で位置づけられていました。しかし、近年高齢者の新規雇用者数が増加傾向にあり、継続雇用者との格差が生まれる状況となっていました。
そして、今回の改正により高年齢被保険者は
これらを受けることができるようになりました。
この度の改正によって企業が確認をしなければならないのは、現在雇用している65歳以上の従業員の雇用保険の加入状況です。
そのほかの従業員と同様に雇用保険への加入要件を満たしているのであれば、通常通りの手続きをするだけで問題ありません。
すでに高年齢継続被保険者となっている従業員に関しては、特に手続きの必要なく、新しい高年齢被保険者に区分されるようになります。
高年齢継続被保険者でない従業員に関しては、新たに高年齢被保険者になるための手続きが必要です。
従業員を採用する場合の手続きと同じく、通常どおり被保険者となった日の翌月10日までに雇用保険の加入届を提出しなければなりません。
また、上記の雇用保険の状況確認において(3)にあたる従業員は、特例として平成29年3月31日までに届出を提出することになっていました。まだ手続きが済んでいない、または遅れている場合は早急に提出しましょう。
雇用保険の被保険者となった場合、保険料の徴収が必要となります。これは、65歳以上の高年齢被保険者でも同様です。
しかし、当面の間は免除とされており平成31年度までは徴収する必要はありません。
また、保険料は個人が負担するだけではなく、会社負担分の保険料もあります。参考までに下記の令和5年度の雇用保険率をご参考ください。
雇用保険に関わる保険料は、個人負担額は比較的低いとされています。しかし、従業員のなかには、新たに保険料が徴収されることを良く思っていない人も出てくるでしょう。
ただし、今回の法律改正による高年齢者の雇用保険加入は強制加入であり、加入する以上は雇用保険料を納付する義務が発生します。
企業担当者としては、不満を言う従業員に対して義務だからと一蹴するのではなく、厚生労働省から配布されている資料の提示や、加入することによって得ることができるメリットなどについても、しっかりと説明をして従業員の理解を得る必要があります。
具体的には、離職をした後の高年齢求職者給付金や、育児休業給付金、そして介護休業給付金の対象になることといった情報を伝えるために、あらかじめこれらに対する知識を深めることが大切です。
平成29年1月1日に法律改正により雇用保険の取り扱いは大きく変化しました。また、平成31年度以降は、高年齢者でも同じように雇用保険への加入が必要となります。
企業担当者としては一本化されたことにより、ある意味手間がかからなくなるでしょう。しかし、依然として既存の従業員の雇用保険への加入手続きを忘れていないかの確認と、その従業員への周知を怠らないようにすることが重要です。