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雇用保険の加入条件~適用事業と適用除外労働者~

雇用保険の制度を定めた雇用保険法やその行政解釈において、労働者の雇用を法的に保護するに値する事業として「(暫定任意)適用事業」が、かえって保護になじまないものとして「適用除外」となる労働者が、それぞれ細かく定められています。原則としての適用対象=加入条件はいたってシンプルなものですが、現実の労働において必ずしも当てはまるケースばかりではありません。例外もあわせて、ここで一度整理しておきましょう。

「被保険者」の定義とその4類型

雇用保険の「被保険者」とは、法人の代表者以外の者で、適用事業所に雇用される一定の条件を満たした労働者をさし、事業主は雇用保険料の申告・納付が必要です。
また、被保険者の形態は4種類に分類されるので、具体的に見ていきます。

一般被保険者

下記の3類型に該当しない、一般的な正社員・パート・アルバイトの労働者をさします。

高年齢被保険者

65歳以上の高齢労働者をさします。平成29年1月1日の法改正前は、「高年齢継続被保険者」と呼び、65歳になる前の時点から継続雇用されている人しか加入することができませんでしたが、法改正後は、継続の有無にかかわらず加入条件が満たされていれば、新規でも雇用保険に加入できるようになりました。

短期雇用特例被保険者

期間を限定して雇用され、雇用契約が4か月を超え1年未満かつ週所定労働時間が30時間以上の労働者をさします。

日雇労働被保険者

日雇いで雇用されるまたは、30日以内の期間を定めて雇用される労働者をさします。

「適用事業」と「暫定任意適用事業」

雇用保険の「適用事業」とは、「労働者が雇用される事業」であり、原則、労働者を一人でも雇用していれば、業種にかかわらず雇用保険の適用事業となります。雇用する労働者に関して、保険関係が成立する事業をさし、保険料は事業主と労働者が負担します。また、労働者負担の比率は雇用保険料全体の3~4割程度が一般的です。

また、「暫定任意適用事業」とは、常時5人未満の労働者を雇用する個人事業の農林水産業のうち、一定の農林・畜産・養蚕・水産(一定の船員が雇用されているものは除く)業をさします。

保険料はその一部を労働者が負担することから、この暫定任意適用事業につき雇用保険が成立するには、その事業に使用される労働者の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣に雇用保険加入の申請を行います。また、厚生労働大臣から認可を受けた日に雇用保険関係が成立し、この認可の権限は、各都道府県の労働局長に委任されています。

「被保険者」となる者・ならない者

雇用保険の加入要件は、一般的には、雇用形態は正社員以外のパート・アルバイトにかかわらず、31日以上の雇用見込みがあり、週の労働時間が20時間以上となる労働者は、本人が希望するかどうかにかかわらず、「被保険者」となります。事業主は、雇用保険に該当する労働者を雇い入れた場合には、「雇用保険被保険者資格取得届」を雇入れ日の翌月10日までにハローワークに提出する義務があります。

「被保険者」とならない者は、次項の「『労働者性』の有無により被保険者の判断を要する例」で列挙します。

「労働者性」の有無により被保険者の判断を要する例

「労働者」の定義は、「使用される=指揮監督下の労働」であり、報酬が提供された労務に対するものであるかどうかということにより、労働者性の有無が判断されます。労働者性判断を要する場合の具体例は下記のとおりです。

  • 取締役及び社員、監査役、協同組合等の社団又は財団の役員
  • 企業組合の組合員
  • 有限責任事業組合の組合員
  • 農事組合法人等の団体の構成員、家族等
  • 森林組合に雇用される者
  • 生命保険会社の外務員等
  • 旅館、料理店、飲食店、その他接客業又は娯楽場の事業に雇用される者
  • 家事使用人
  • 同居の親族
  • 授産施設の作業員
  • 在宅勤務者

「労働者の就労状況」により被保険者の判断を要する例

「労働者の就労状況」により被保険者の判断を要する場合の具体例は下記のとおりです。

2以上の事業主の適用事業に雇用される者

原則、主たる賃金を受ける事業所で被保険者となる

引き続き長期にわたり欠勤している者

原則、労働者が長期欠勤している場合であっても、雇用関係が存続する限り賃金の支払いを受けているかどうかを問わず被保険者となる

  • 国外就労者
  • 在日外国人
  • 外国人技能実習生
  • 土木建築等の事業に雇用される労働者
  • 事業主に雇用されつつ自営業を営む者等
  • 競走事業従事者

「被保険者」になるかならないかは、それぞれに例外があるので、詳細は最寄りのハローワークに問い合わせてみるとよいでしょう。

まとめ

雇用保険は離職という、傷病や加齢に比べあまり身近でない保険事故が給付事由となります。したがって、場合によっては生涯活用することもなく保険料負担だけが続くという特殊性から、加入が敬遠されがちです。

しかしながら、現に離職が生じたとき、加入もれや保険料の納付もれによる補償の逸失利益たるや、決して無視はできません。何より、離職は労使ともにいつ起きるかわかりません。制度の趣旨を尊重し、適法・確実に加入手続をしましょう。

社会保険労務士事務所そやま保育経営パートナー

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