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【社労士監修】雇用保険被保険者資格喪失届の記入と提出について!

雇用保険被保険者資格喪失届の記入・提出方法について解説

監修者:岡 佳伸 社会保険労務士法人|岡佳伸事務所
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雇用保険の手続きは雇い入れたときだけでなく、雇用保険の被保険者が離職・死亡した場合にも必要です。

その際は「雇用保険被保険者資格喪失届」を、所定の期間内に公共職業安定所(以下:ハローワーク)に提出しなければなりません。また提出には原則として、離職証明書の提出も必要です。

今回は雇用保険被保険者資格喪失届の概要と手続きについて解説します。

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雇用保険被保険者資格喪失届とは

雇用保険被保険者資格喪失届とは、雇っている従業員がその会社の被保険者でなくなった際に提出する書類です。

従業員が会社を退職(事業主都合による退職を含む)、または死亡した場合などの理由で雇用保険の資格を喪失した際に必要となります。

雇用保険被保険者資格喪失届はその従業員を雇っていた事業主が、ハローワークへ提出しなければいけません。

その他にも、雇用保険加入条件を満たさなくなった従業員()や労働者が法人の役員に昇格した(兼務役員として労働者としての立場でなくなった際)際にも雇用保険被保険者資格喪失届の提出が義務付けられています。

また、事業所に出向する場合も提出が求められる場合があります。一般的に雇用保険料の負担は、雇用関係を結んでいる事業主、または労働者に多く給与を支払っている事業主となります。

そのため、従業員が出向先と出向元のどちらの事業主と雇用契約を結んでいるかと、給与バランスの確認が必要です。

1週間の所定労働時間が20時間に満たない労働者、または31日以上の雇用が見込まれない従業員

雇用保険被保険者資格喪失届の記入方法とポイント

雇用保険被保険者資格喪失届の手続きにあたり、必要事項を記入しなければいけません。今回は雇用保険被保険者資格喪失届がどこで入手できるのかも含めて、記入方法やポイントを確認しておきましょう。

雇用保険被保険者資格喪失届はダウンロードできる

雇用保険被保険者資格喪失届は、ハローワークのホームページにアップロードされており、「様式のみの印刷」と「内容を入力して印刷」の2つの方法を選択し、ダウンロード・印刷できます。

しかし、ホームページ上で印刷をする際はいくつかの注意事項があります。

  • 印刷する用紙は白色の用紙であること
  • 倍率を変更せず、倍率100%で印刷すること
  • 印刷した際にフォーマットが傾いていないこと
  • 文字や枠線がかすれていたりしていないこと

上記のように、フォーマットが正しく印刷されていない場合、受理されないこともあります。事前に印刷機の設定を確認しましょう。

また、提出する届出は機械によって読み取られます。読み取る際には「⬛︎」のマークを基準とするため、この「⬛︎」がきちんと印刷されているかも確認してください。

記入方法

雇用保険被保険者資格喪失届の提出に必要な記入事項には、以下のような項目があります。

  • 被保険者指名
  • 生年月日
  • マイナンバー(個人番号)
  • 被保険者番号
  • 事業所番号
  • 資格取得年月日
  • 離職等年月日
  • 喪失原因
  • 離職票交付希望
  • 1週間の所定労働時間
  • 補充採用予定の有無

雇用保険被保険者資格喪失届は氏名変更届も兼ねているため、表題の氏名変更届の部分を必ず二重線で消すように気をつけましょう。

用紙のダウンロード方法を含む、詳しい記入項目は、ハローワークインターネットサービスの「雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届」をご参考ください。

平成28年以降はマイナンバーの記述が必須となっています。マイナンバー(個人番号)がない場合は受理されませんので、注意しましょう。

記入におけるポイント:「離職年月日」はいつか

雇用保険被保険者資格喪失届の離職年月日は、退職日など被保険者でなくなったことの原因が生じた日を記入します。

病気や怪我などが原因で、長期にわたり欠勤していた場合、労働者として拘束していた最後の日を、死亡による喪失の場合は、死亡年月日を記入します。

健康保険・厚生年金の資格喪失日は、退職日の翌日になります。雇用保険の離職等年月日は「退職日」ですが、退職日はまだ被保険者資格を保有しており、間違いやすいポイントでもあるので、覚えておきましょう。

雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限・確認書類

雇用保険被保険者資格喪失届を提出する際に押さえておきたいポイントが「提出期限」と「確認書類(添付書類)」です。

雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限

雇用保険被保険者資格喪失届の提出で、最も重要な点が提出期限です。

雇用保険被保険者資格喪失届は、その会社の被保険者でなくなった事実が発生した日の次の日から10日以内に提出しなければいけません(提出に必要な手数料はありません)。

「被保険者でなくなった事実が発生した日の次の日」とは、事業所に使用されなくなった日の次の日、死亡した日の次の日となります。また、該当の事業所で被保険者資格を喪失する前に、ほかの事業所で被保険者となった場合は、その日の時点で被保険者でなくなったことになります。

その他の確認書類(添付書類)

手続きには雇用保険被保険者資格喪失届以外にも、喪失を確認するための確認書類(添付書類)を提出しなければいけません。提出時には以下の書類も必要となります。

  • 出勤簿
  • 退職辞令発令書類
  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 離職証明書
  • 離職理由が確認できる書類等

提出する確認書類(添付書類)が多いことに加え、提出期限も短いので、必要な書類は事前に揃えておきましょう。

【参考】厚生労働省ホームページ

雇用保険被保険者資格喪失届は郵送・オンライン申請も可能

雇用保険被保険者資格喪失届は記入用紙で提出する他、郵送やインターネット上でのオンライン申請での提出も可能です。

郵送による申請

郵送での雇用保険被保険者資格喪失届は、事業所がある地域を管轄しているハローワーク宛に確認書類(添付書類)とともに郵送します。

オンライン申請

申請を行うのは電子政府の総合窓口「e-Gov」の電子申請システムから手続きが行えます。オンラインでの申請では、被保険者資格の喪失に関わる、離職票の交付や喪失届提出後の離職票交付申請、期間等証明票などの交付も可能です。

【参考】電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

直接ハローワーク窓口に行くことができない、一度に多くの従業員の申請をしなければならない場合は、オンライン申請の利用がおすすめです。

しかし、オンライン申請の場合、雇用保険被保険者資格喪失届と確認書類(添付書類)をデータ化しなければいけません。

まとめ

今回は雇用保険被保険者資格喪失届の記入方法や提出方法をご紹介してきました。

終身雇用体制の崩壊や労働市場の流動化にあたり、転職を希望する従業員が増えています。そのため、人材雇用や転職に関わる雇用保険被保険者資格喪失届を扱う機会もが多くなっています。

また、雇用保険被保険者資格喪失届は退職者が失業保険の申請に必要な重要な書類でもあります。

労働者の権利を尊重する上でも、雇用保険被保険者資格喪失届を申請する担当者は、手続き方法や、申請が必要なタイミング、申請時に必要な確認書類(書類)をしっかりと把握しておきましょう。

社会保険労務士法人|岡佳伸事務所 監修者岡 佳伸

社会保険労務士法人|岡佳伸事務所の代表、開業社会保険労務士として活躍。各種講演会の講師および各種WEB記事執筆。日本経済新聞女性セブン等に取材記事掲載。2020年12月21日、2021年3月10日にあさイチ(NHK)にも出演。
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