転勤は新たな環境への一歩ですが、その際には「雇用保険被保険者転勤届」の提出が必要になることがあります。この記事では、転勤時の雇用保険の手続きに必要な書類、提出方法、そして注意点をわかりやすく解説します。
転勤をスムーズに進め、新しい職場でのスタートを安心して切るための必読のガイドです。雇用保険の手続きを忘れずに行い、転勤の準備を万全にしましょう。
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そもそも転勤とは「同じ会社に勤務しながらも勤務先が別の事業所に変わること」とされています。ですが事業所が変わるといっても、出張や一時的な駐在などは転勤に該当しません。
そして実際に従業員の転勤が発生した場合、事業主は「雇用保険被保険者転勤届」などを提出しなければいけません。
基本的には、上記の転勤が発生した際に雇用保険被保険者転勤届を提出することになるのですが、なかには転勤として認められない以下のような例外なケースもあります。
転勤として認められない例
反対に1つの事業所が2つに分かれる場合や、事業の譲渡に伴って新しい事業主と雇用契約を結ぶ場合(新事業主が旧事業主と同一であると認められる場合)は転勤があったものとして扱われます。
このように、ひとえに転勤といっても事業内容によっては転勤になるケース・ならないケースがあるので、まずは転勤に当てはまるのかどうかを事前に確認することが必要です。
では雇用保険被保険者転勤届は、どのような書式で・どのように・どこに提出すればいいのでしょうか?
雇用保険被保険者転勤届はハローワークのホームページからダウンロードできるので、これを印刷して使用します。
印刷する際の注意点として、2枚にわたるものに関しては2枚とも印刷すること、印刷用紙は白色、等倍(倍率100%)で印刷することなどが挙げられます。また、印刷が極端に傾いている場合は受理されない可能性があるので、合わせて注意してください。
転勤先の事業所の所在地を管轄しているハローワークに提出します。
直接ハローワークに提出する以外に、インターネット上で電子申請による申請もできます。
ハローワークが遠くて提出が困難である場合や、一度に多くの従業員が転勤することになった場合は電子申請を利用するなど、ご自身の事業所にあった方法で申請してください。
雇用保険被保険者転勤届には提出期限が決められており、届出のほかにも申請に必要な書類があります。
転勤の事実が発生した翌日から10日以内に提出しなければいけないので、遅れないように注意してください。
準備する書類が多くて大変かもしれませんが、全ての書類が揃わなければ、従業員の転勤が完了しないだけでなく、場合によってはトラブルにつながる可能性もあります。
このような事態を防ぐためにも必要な書類を確認し、提出に抜けや漏れのないようにしましょう。
ここまで、雇用保険被保険者転勤届について紹介してきました。これらは、従業員が転勤する可能性のある会社にとって必要になる手続きです。
提出期限が決められているほか、転勤を確認するために複数の提出書類が必要なため、直前になって準備しようとすると間に合わない可能性があります。特に、担当者が初めての場合は余裕を持って準備に取り掛かることができるようにしておきましょう。
また、現在ではインターネットでの電子申請もできるので、作業効率を高めるためにも利用することをおすすめします。
社会保険労務士法人|岡佳伸事務所の代表、開業社会保険労務士として活躍。各種講演会の講師および各種WEB記事執筆。日本経済新聞、女性セブン等に取材記事掲載。2020年12月21日、2021年3月10日にあさイチ(NHK)にも出演。
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