労務の課題を解決するメディア労務SEARCH(サーチ)

Facebook twitter

雇用保険の加入義務の対象範囲 ~特殊なケースの判断基準~

雇用保険法は昭和49年に制定されて以来、原則として適用事業所に雇用される労働者を被保険者としてきました。

しかし時代の流れとともに雇用形態や労働者の属性も多様化し、本定義になじまない、あるいは判断に困難をともなう事例が散見されるようになったため、別途「雇用保険に関する業務取扱要領」に細かくその基準が示されています。

本稿ではそのような特殊なケースの適用につき、主なものを解説していきます。

接客業または娯楽場の事業に雇用される場合

夜の飲食業、スナックやクラブなどで働かれる方も雇用保険の対象になるとご存知でしょうか。雇用保険における労働者とは、適用事業に雇用される労働者であって雇用保険法6条各号に掲げる者以外の者をさします。この意味での労働者に該当する者が雇用保険に加入する義務が生じるのです。

雇用関係については、「民法第 623 条の規定による雇用関係のみでなく、労働者が事業主の支配を受けて、その規律の下に労働を提供し、その提供した労働の対償として事業主から賃金、給料その他これらに準ずるものの支払を受けている関係」と規定されています。この雇用関係について判断が難しい場合が雇用保険業務取扱要領に定められています。

接客業や娯楽場の事業に雇用されている場合、雇用関係の存在する限りは被保険者となります。この場合の賃金について、固定給だけでなくチップやチケット代等の名目であっても一度事業主の手を通して再分配されるものは、その額の多少を問わず賃金とみなされます。
(ようするに、旅館の仲居さんが貰うようなチップでも、いったん経営者の元で集金して、再び渡される物は賃金として見なされます)

生損保・金融・証券・商社等の外務員等の場合

生命保険や損害保険のセールス担当は雇用保険の対象なのでしょうか?

保険等の外務員の場合は、委託しているだけなのか、雇用関係があるかどうかで判断されることになります。具体的には、生命保険会社や損害保険会社、証券会社等の外務員等については、その職務の内容や服務の態様、給与の算出方法等の実態により判断して雇用関係が明確である場合は、被保険者となります。

これらの人に雇用関係が明確であるといえるためには、就業規則の範囲や出勤義務があること等だけで判断されるべきではないとしています。

職務の内容として、一般社員と同じ扱いを受ける方は雇用保険の被保険者となります。現在は、保険業法の改正により、雇用保険の対象となる方が多くなる傾向にあります。

自己の住所等において在宅で勤務する者の場合

近年、新しい働き方として在宅勤務者(テレワーク等)を認める企業が増えてきています。在宅勤務者とは、労働日の全部または大部分において事業所への出勤を免除され、かつ、自己の住所又は居所において勤務することを常とする者をいいます。

在宅勤務者は、事業所で勤務する労働者と同じような働き方が確認できれば原則として被保険者となることができます。事業所で勤務する労働者との同一性は、留意点も踏まえて総合的に判断することになります。

例えば、在宅勤務者に適用できない条項を除き、所属事業所において勤務する他の労働者と同一の就業規則等の諸規定が適用されることをいいます。

また、労働条件や福利厚生などについて事業所で勤務する者と同等以上の在宅勤務者用の規則が適用される場合も含まれます。

在日外国人・外国人技能実習生の場合

人手不足の企業も増えてきており、外国人労働者を雇用するケースも増えてきています。日本国に在住する外国人いわゆる在日外国人は、原則として雇用保険の被保険者となります。(外国公務員及び外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された者を除く)

外国人技能実習生は、定められた技能実習生として受け入れられ、技能等の修得をする活動を行う場合には、受入先の事業主と雇用関係にあるので、被保険者となります。

土木建築等の事業に雇用される場合

土木建築等の事業に雇用される労働者の場合、日雇いの場合から長期雇用の場合とさまざまな就業形態があるため、雇用保険のどの被保険者種別に該当するか判断が難しいことがあります。雇用保険の被保険者と判断するためには、その者の雇用の実態に即して取り扱うべきものとされています。

具体的には、雇用契約の内容が常用の労働者と同様のものであるかどうか、福利厚生や休日など常用労働者と同様の権利があるかどうか、健康保険など他の社会保険に加入する場合に常用労働者と取り扱われるかなどに留意して判断していくことになります。
(状況によっては、雇用保険日雇労働被保険者に該当するため、一般の被保険者と別の取扱いとなります

事業主に雇用されつつ自営業を営む場合

自営業者が他の会社でアルバイトをする場合や、適用事業の事業主に雇用されつつ自営業(いわゆるフリーランスを含みます)を営む者や、法人の役員など他の事業主の下で委任関係に基づきその事務を処理する者については、どうでしょうか。

これらの者については、当該適用事業の事業主の下での就業条件が被保険者となるべき要件を満たすものである場合には、被保険者として取り扱うことになります。

また、この場合において当該雇用によって得る賃金が、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金でないかどうかについても留意することが必要です。
(多くは、給与額の大きい方で被保険者となります)

まとめ

今後も経済のグローバル化や多様性の文化が労働の現場に根付くにつれ、さまざまな特殊ケースが生じてくることでしょう。疑義が生じた場合は自ら判断せず、ハローワークや都道府県労働局などの行政機関に意見を仰ぐことが肝心です。

こうした個々の照会が蓄積されていくことにより、特殊ケースが通例のものとして、認識されていきます。こうして、新たな働き方が容認されていくことにつながっていくのです。

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

アンケート

ホームページの運用・方針の参考とさせていただきますので、是非ご協力ください!

サイト満足度

利用しているSNS

所属している部署

あったらいいなと思う記事 入力自由


いいね!していただくと毎日更新している最新の情報をお届けします