労務の課題を解決するメディア労務SEARCH(サーチ)

Facebook twitter

70歳以上の従業員を採用、健康保険はどうなる?

超高齢化社会といわれる日本ですが、元気に働いている高齢者の方も増えてきました。働くうえでは、年を重ねて覚えてきた知識が役立つことも多いでしょう。しかし、70歳以上になると健康保険や厚生年金の都合上、別途手続きが必要です。従業員が70歳を超えた場合や、70歳以上の方を雇用した場合に必要な健康保険の手続きについて解説します。

70歳以上被用者とは

あなたの事業所が社会保険の適用事業所で、そこで働く労働者が70歳以上になった場合、「70歳以上被用者」という扱いになります。本来は60~65歳から年金の受給を開始できるため、65歳にもなると年金生活を送っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、その一方で70歳を超えてもまだ働きたいという、意志を持っている方もたくさんいらっしゃるでしょう。以前は60~69歳の労働者で、厚生年金の被保険者であり老齢厚生年金の受給権者である方には、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となる「在職老齢年金」が適用されていました。

その在職老齢年金の1つである60歳代後半(65~69歳)の在職老齢年金が、平成19年4月以降は70歳以上の労働者にも適用されるようになったのです。継続して働いていた労働者が70歳に達した、あるいは70歳以上の労働者を新たに雇用する場合は、「70歳以上被用者」として扱われるため、特別な手続きが必要になります。

ただし、このとき当該の労働者が過去に、厚生年金に加入していた時期があることが条件です。継続して働いている場合は心配ないかと思いますが、昔からずっと個人で働いていて厚生年金に加入していないという場合は、この違いに注意しなくてはなりません。

70~74歳の健康保険

70歳以上被用者を新たに雇用する場合、さまざまな手続きが必要です。特に社会保険関係は、必要な書類も多いため、しっかりと確認しておきましょう。まずは、健康保険の手続きから解説します。

健康保険では、70歳以上75歳未満の方は今までと同様に被保険者として扱われます。そのため、継続して働いている労働者が70歳を超えても、特別な手続きは必要ありません。新たに70歳以上の労働者を雇用する場合は、「健康保険被保険者資格取得届」と「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」を日本年金機構へと提出する必要があります。

75歳以上の健康保険

75歳になると、健康保険の被保険者資格を失います。これは後期高齢者医療制度の被保険者となるからです。退職をし、健康保険の任意継続被保険者であった場合も同様です。

事業主は健康保険被保険者の資格を喪失する労働者に健康保険被保険者証、および健康保険高齢受給者証が交付されている場合は、その健康保険被保険者証と健康保険高齢受給者証を回収し保険者に返納しなければなりません。返納期限は資格を失った日(75歳の誕生日の前日)から5日以内と短いので、あらかじめ周知しておきましょう。

また、労働者に扶養家族がいるという場合は、その被扶養者も同時に健康保険の被保険者から外れますので、そちらも合わせて周知しておく必要があります。この場合、扶養家族は自身で別の医療制度(国民健康保険など)に加入する必要があることを、しっかりと伝えてください。

厚生年金はどうなる?

このように、健康保険では労働者や扶養となっていた家族が手続きをすべきことがありますが、これが厚生年金保険となると原則として事業主が手続きを行います。もともと、厚生年金の加入期間は原則70歳までとなり、70歳になった時点で被保険者の資格を失うこととなります。そのため、70歳以上の方は、厚生年金保険料の徴収はなく、年金額計算の基礎にもなりません。

このように、厚生年金の被保険者とはなりませんが、在職老齢年金制度の年金調整の対象となるため、「厚生年金被保険70歳以上被用者該当・非該当届」に係る手続きが必要となります。

もし、継続して働いている労働者が70歳を超えた場合は、「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」、および「被保険者資格喪失届」を提出する必要があります。こちらは70歳の誕生日の前日から5日以内に、管轄の年金事務所へと提出してください。

新たに70歳以上の労働者を雇用する場合は、同じく「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」と「健康保険被保険者資格取得届」を、雇い入れ日から5日以内に年金事務所へと提出します。また、70歳以上被用者が退職する場合も「厚生年金保険70歳以上被用者非該当届」が必要になりますので、合わせて確認しておきましょう。

まとめ

時代も変わり、70歳以上になっても退職せず、働くことが普通になってきました。ベテランの労働者が持っている知識や経験は、事業所にとっても大きな財産になることでしょう。若い人たちと一緒にバリバリと仕事をしてもらえば、周囲にとっての刺激にもなります。

しかし、70歳以上被用者という特別な扱いになる分、事業主としてはきちんと手続きをしなければなりません。多くの手続きを行わなければなりませんが、ひとつずつしっかりと確認して、もれなく届け出るようにしたいですね。

萩原 修|萩原労務管理事務所

アンケート

ホームページの運用・方針の参考とさせていただきますので、是非ご協力ください!

サイト満足度

利用しているSNS

所属している部署

あったらいいなと思う記事 入力自由


いいね!していただくと毎日更新している最新の情報をお届けします