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会社にとって厚生年金に加入することのメリットってなんだろう?


企業に入社すると当然のように加入する厚生年金ですが、厚生年金がどういったものなのか実はよく分からないという方も意外と多いのではないでしょうか ?

もしかしたら労務担当者のなかにも「社会保険の1つで、会社側に負担がかかるもの」といった認識を持っている人もいるかもしれませんね。今回はそんな厚生年金に関して、加入の条件から特徴、企業にとってはどのようなものなのか、詳しく紹介していきます。

厚生年金に加入しなくてはならないのはどういうとき?

まずは、厚生年金に加入する際の条件について確認していきましょう。厚生年金は事業所単位ごとに適用されます。この事業所とは株式会社などの法人のことであり、法人であればたとえ社長1人しかいない事業所であっても厚生年金に加入することになります。この厚生年金が適用される事業所のことを「強制適用事業所」といいます。

ちなみに、法人のほかにも、5人以上の従業員を雇っている個人の事業所に関しても一部業種を除き強制適用事業所として厚生年金に加入する必要があります。厚生年金の適用事業所になっている事業所の従業員は、70歳未満で常時使用されていれば国籍や性別、年金受給の有無に関係なく全員が被保険者となります。

常時使用されている人とは、雇用契約書の有無に関係なく、常用的に働いたことに対して給与をもらっている人のことです。

また、アルバイトやパートとして働いている従業員も1週間の所定労働時間、1ヶ月の所定労働日数が、一般社員の4分の3以上であれば被保険者となります。さらに、この4分の3を下回っていたとしても一定の条件を満たすことで被保険者になります。このように厚生年金はほとんどの会社に適用され、加入義務が伴うことになります。

厚生年金に加入することの金銭的なメリットは?

多くの事業所が加入することになる厚生年金ですが、会社にとっては金銭的なメリットなどはあるのでしょうか?残念ながら厚生年金が適用される事業所にとって、厚生年金への加入は義務であるため、加入に伴う金銭的なメリットというのはありません。

厚生年金は給料の18.30%を保険料として支払う必要があり、これは企業と従業員との折半となります。企業は半分の9.15%を負担しなければいけないため、負担も決して小さくはありません。

また、厚生年金に加入して受けられる恩恵は被保険者である従業員が保険事故(老齢・死亡・障害)にあった際に受ける保険給付のみなので、企業にとっては負担をするだけというのが実情です。

もしも厚生年金の加入の手続きを怠っていたら?

一見すると企業にとって厚生年金に加入するメリットはないと感じた方もいるかもしれません。では、適用事業所でありながら厚生年金に加入しないとどうなるのでしょうか?先ほども触れたように、厚生年金の適用事業所となっている事業所には加入の義務が伴います。

厚生年金に関する法律である「厚生年金保険法」の102条には事業主が正当な理由もなく厚生年金に加入しなかった場合、6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金刑になるとされています。そうならないためにも、適用事業所となっている事業所は必ず厚生年金に加入するようにしてください。加入までの流れとしては、事業所管轄の年金事務所へ『厚生年金・健康保険 新規適用届』を提出し加入する流れとなります。

もし、手続きが漏れていた場合には、年金機構から厚生年金加入に関する加入勧奨状や来所通知書が届くので、届いたら年金事務所へ赴き加入、となります。また、保険料の支払いは適用事業所設置届を出した月からとなりますが、厚生年金保険法には遡って最大で2年分を徴収することができると記載されています。

実際にこの法律どおりに徴収されるケースは多くはありませんが、法律上では遡っての徴収が認められているため、労務担当者の方はこのことを覚えておくようにしてください。

事業主にとっても負担になるだけではない!

ここまで、厚生年金は企業にとってメリットがなく、加入義務があり、義務を怠るとペナルティが生じることを説明してきました。この点だけを見ると厚生年金は企業にとってあまり望ましいものではありません。しかし、企業は従業員が気持ちよく働くことができる環境を整えていく必要があります。

その点を考慮すると厚生年金は環境整備の1つだといえます。企業にとっての直接的なメリットはなくても、そこで働く従業員にとってはメリットとなるため、結果的に企業の利益へと繋がっていく可能性もゼロではないのです。

また、老齢年金1つをとってみても厚生年金加入者は国民年金のみに加入していた者と比べて受給できる年金額が多いため、老後の不安を感じずに働けるという安心感を従業員に与えることができます。従業員が将来に不安を感じることなく、気持ちよく今の職場で働いていくという点において、企業が厚生年金にしっかりと加入するということは非常に重要です。

まとめ

今回は、厚生年金に関して加入条件から事業主側にとってのメリットなどを紹介しました。ブラック企業や働き方改革という言葉を耳にする機会が多くなった現代において、求職者が求人に応募する際、社会保険の有無などを気にするというケースは決して少なくありません。

直接的なメリットはありませんが、環境の整備は会社の将来につながります。厚生年金への加入を怠ることのないように労務担当者は注意していくようにしましょう。

佐藤 安弘|ワイエス社会保険労務士事務所

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