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106万の壁を超えたらどうなる?130万・103万の壁との違いや意味を解説

106万の壁を超えたらどうなる?130万・103万の壁との違いや意味を解説

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パートタイム・アルバイトの方など、扶養内の労働者でも一定の条件を満たしている方は自身で社会保険に加入しなければなりません。その目安の年収として「106万の壁」などと呼ばれることがあります。

学生の時に同じく103万の壁という言葉を聞いたことある方は多いのではないでしょうか。今回の106万の壁は、特にパートタイム・アルバイトなど短時間労働者の方は覚えておきたいところです。

そこでこの記事では、社会保険の106万の壁とはなにか・106万を超えると保険料はどうなるのか、103万の壁との違いなどを解説していきます。

みのだ社会保険労務士事務所 監修者蓑田 真吾

1984年生まれ。社会保険労務士。
都内医療機関において、約13年間人事労務部門において労働問題の相談(病院側・労働者側双方)や社会保険に関する相談を担ってきた。対応した医療従事者の数は1,000名以上。独立後は年金・医療保険に関する問題や労働法・働き方改革に関する実務相談を多く取り扱い、書籍や雑誌への寄稿を通して、多方面で講演・執筆活動中。
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106万の壁とは

106万の壁とは

106万の壁とは、主にパートタイム・アルバイトなどの短時間労働者向けの言葉であり、扶養を外れて自身で社会保険に加入しなければならない年収のボーダーラインとしてこの「106万の壁」が使われています。

「○○万の壁」という言葉は、学生アルバイト時に103万円を超えたら親の控除が外れて税金がかかる、という意味で聞いたことがある方も多いでしょう。

社会保険に加入している被保険者が家族にいる場合、扶養条件を満たしている学生や配偶者は被扶養者として、保険料を払わずに社会保険に加入することができます。パートタイム・アルバイトで働いている方は、まさにパートナーの扶養内であるという方も多いでしょう。

しかし、短時間労働者のなかでも年間収入が106万円を超えるかつ、後述する条件を満たしている方は健康保険と厚生年金保険の被保険者になる義務があります。そうなれば保険料の支払う必要があるため、手取りが減ります。

では、106万円以上収入のある短時間労働者のなかでもどんな条件を満たす方に加入義務が発生するのでしょうか。次の項で紹介します。

106万の壁を超えて加入義務が発生する条件

パートタイム・アルバイトなどの短時間労働者でも、以下の条件を満たしている方は社会保険の加入が義務づけられます。

上記のなかでも「厚生年金被保険者数が101人以上の企業」というのは特定適用事業所とも呼ばれています。

この特定適用事業所としてみなされる範囲が、年によって拡大しています。今後の適用拡大予定もすでにあり、2024年10月から「厚生年金被保険者数が51人以上の企業」へと変更予定です。

今後の社会保険の適用範囲拡大

より小規模な事業者で、パートタイム・アルバイトとして働いている人も社会保険の加入義務が発生します。

106万円はどこまで含まれる?

実際に、106万円以上の収入にならないように気をつけていきたい場合、どこまでを106万円にカウントされるのかを理解しておくことが必要です。

先述したように、基本は所定内賃金(基本給や各種手当)が月額8.8万円を超えるかどうかを目安としますが、下記の手当・報酬はカウントされないため覚えておきましょう。

また、社会保険加入義務が発生するタイミングについては、実際に月額8.8万円を超えたときではありません。労働契約書などで、月額8.8万円を超えるという確約がされた時点で社会保険の加入が必要になるため注意しましょう。

106万の壁を超えたらどうなる?

106万の壁を超えたらどうなる?

短時間労働者でも特定条件を満たしている方は、社会保険に加入する義務が発生することが分かりました。

では実際に106万円を超えて、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入しなければなくなったときに実影響的にはどうなるのでしょうか。具体的には下記のような影響があります。

30歳が106万の壁を超えた場合をシミュレーション

社会保険に加入するとどのくらい保険料が増えるのか、以下のペルソナを設定してシミュレーションしてみました。健康保険料・厚生年金に関しては、協会けんぽの2023年度保険料月額表から参照しています。

条件
住所 東京都
年齢 30歳
雇用保険 なし
(第2号被保険者該当なし)
月額 8.8万円

この場合の健康保険料と、厚生年金保険料はそれぞれ以下となります。

支払う保険料
健康保険 4,400円(8,800円の折半額)
厚生年金保険 8,052円(16,104円の折半額)
合計社会保険料 12,452円

今回は加入義務の発生する最低賃金額の8.8万円として計算しましたが、収入があがれば社会保険料も増えていきます。お住まいの居住区によって保険料率が異なるため、協会けんぽのWebサイトで確認しておきましょう。

106万の壁を超えるメリット

106万を超えるメリット

106万円の年間収入を超えると社会保険への加入が必要になり、保険料の支払い義務が生じます。これだけ見ると、手取りが減るためデメリットに感じますが106万円を超えるメリットはあるのでしょうか。

ここでは、社会保険に加入するメリットを紹介します。

手厚い保障を受けられる

106万円を超えると、社会保険の健康保険と厚生年金保険に加入します。そのため、医療保険や年金の面で手厚い保障を受けることができます。たとえば、以下のような手当・年金に加入できます。

病気やけがで働けない期間がある場合や、出産される場合などの手当金も健康保険に加入している状態であれば利用できます。

年金に関しても、障害年金・遺族年金の2階層目である「障害厚生年金・遺族更生年金」に加入できるため、将来に対する備えとしても大きなメリットとなるでしょう。

103万の壁・130万の壁との違い

103万の壁・130万の壁との違い

“106万の壁”と同様に、「103万の壁」「130万の壁」という言葉もあります。どれも所得税や扶養、社会保険料など直接的に生活に関わるため区別して覚えておきましょう。

103万の壁との違い

103万の壁は主に「所得税が発生するボーダーライン」であり、学生・パートタイム、アルバイトで異なります。まずは学生のケースから解説します。

学生の頃に「年間103万円以上アルバイトで稼ぐと、親の税金が増える…」という認識を持ったことある方も多いのではないでしょうか。

そのとおり、子供が年間103万円を稼ぐと親が扶養控除を利用できなくなり、親の所得税・住民税などが増えてしまいます。学生自身の所得税発生については「勤労学生控除」を利用すれば130万円までは免除できます。

対して、学生以外のパートタイム・アルバイトの方は103万円を超えた分に自身の所得税が発生します。

130万の壁との違い

ほかにも130万の壁という言葉があります。これは「社会保険の扶養から外れるボーダーライン」のことを指します。社会保険の扶養でいるには、以下の条件下である必要があります。

社会保険の扶養条件

上記の条件を満たす方が、被保険者として保険料負担なしに社会保険に加入することができます。しかし、130万円を超えてしまうとすべての人が自身での社会保険加入が義務づけられます。
60歳以上および障がい者、75歳以上は除く

お勤め先の健康保険・厚生年金に加入が難しい場合は、自身で国民健康保険と国民年金に加入する必要があることを覚えておきましょう。

ほかにも150万・201万の壁がある

106万の壁以外には、ほかにも以下のような年間収入の壁があります。ついでに覚えておきましょう。

意味
150万の壁 配偶者のパート年収が150万円までなら、配偶者特別控除を満額受けられる
201万の壁 配偶者の所得が201万円を超えると、配偶者特別控除を受けられなくなる

まとめ

106万の壁は、パートタイム・アルバイトなどの短時間労働者に対して、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入義務が発生する年収のボーダーラインです。

特定条件を満たしており加入義務のある方は、保険料を支払うため手取りが減ります。しかし、保険や年金など将来のための保障はより手厚い内容となるメリットもあります。

扶養から外れて自身で加入する判断などは、世帯でバランスを取って選択できるように106万の壁について内容をしっかりと理解しておきましょう。

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