この記事でわかること・結論
- 2024年10月から従業員数51人以上の企業で働くパート・アルバイトの方も社会保険への加入義務が発生する
- 人事・労務担当者は加入対象者の把握と社内周知をする必要がある
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ニュースこの記事でわかること・結論
2024年10月から、社会保険の適用範囲が拡大されました。この変更は、多くの企業にとって重要な転換点となり、人事・労務担当者にとっても新たな対応が求められます。本記事では、今回の改正の内容や企業と従業員への影響、そして人事・労務担当者が取るべき対応策について詳しく解説します。
目次
これまで、従業員101人以上の企業で働く、週の所定労働時間がフルタイム従業員の4分の3以上などの要件を満たすパートタイム・アルバイトの方は、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入が義務づけられていました。
2024年10月からは、従業員数51人以上の企業などで働くパートタイム・アルバイトの方も新たに社会保険の加入対象になります。
具体的には、以下の条件をすべて満たすパートタイム・アルバイト従業員は、社会保険に加入しなければなりません。
なお、休学中や定時制、通信制に通う学生の方は加入対象となります。
フルタイムで働く従業員の週所定労働時間が40時間の企業などの場合
今回の社会保険の適用拡大に伴い、企業の人事・労務担当者は従業員への周知や、必要であれば社会保険の加入手続きをおこなわなければいけません。下記の流れで対応を進めていきましょう。
社会保険適用拡大に関する最新情報を収集し、制度内容を正確に理解します。適用拡大によって、自社の従業員のうち誰が新たに社会保険の加入対象となるのかを把握します。加えて社会保険料の増加額を算出し、今後の予算計画に反映させます。
適用対象者の増加に伴い、社会保険に関する手続きや書類作成などの事務処理が増加します。そのため、必要に応じて担当者を増員したり、業務分担を見直したりするなど、社内体制を整備しましょう。社会保険の手続きを効率化するためには、給与計算ソフトの導入、社会保険労務士などの専門家への依頼などの方法があります。
適用拡大によって社会保険に加入することになる従業員に対して、制度の内容やメリット・デメリットを丁寧に説明します。
社会保険加入することで病気やけが、出産、育児、失業、老後などのリスクに備えることができます。また、健康保険組合などを通じて、さまざまな福利厚生を受けることも可能です。そして年金受給資格を得ることができ、老後の生活設計に役立ちます。
社会保険料を負担する必要が生じます。社会保険料が控除されるため、手取り収入が減少します。
説明会や個別面談などを実施し、従業員からの質問に答えられるよう機会を設けることも重要です。また、改正内容は社内ポータルサイトや社内報などに掲載し、従業員がいつでも確認できるようにしましょう。
弊サイトでは、新たに社会保険の対象となった企業が、社会保険の適用拡大について社内に周知するための文書(案内文)テンプレートを公開しています。Word形式なのでご自由に編集が可能です。下記から無料ダウンロードのうえ、ぜひご活用ください。
社会保険適用拡大のお知らせテンプレートを無料ダウンロードする>>
新たに加入対象となる従業員の社会保険加入手続きをおこないます。加入後は従業員から毎月給与から天引きする形で社会保険料を徴収し、納付します。従業員の労働時間や賃金などの状況が変わった場合は、速やかに社会保険事務所に届け出ましょう。
社会保険が適用拡大される背景としては、主に次の4つの理由が挙げられます。
現在、日本は深刻な少子高齢化社会に直面しており、労働人口の減少が続いています。企業は人材確保のために、これまで以上に多様な働き方を認め、非正規雇用者やパートタイマーなどの活用を進めてきました。
しかし、これらの労働者は、正社員と比べて福利厚生が十分に保障されていないケースが多く、社会的な格差拡大や労働意欲の低下が懸念されていました。
社会保険制度は、現役世代が保険料を負担し、高齢者や病気・けがなどで働けなくなった人への給付をおこなうという世代間の支え合いの仕組みです。しかし、少子高齢化が進むにつれて、保険料を負担する現役世代が減少し、給付を受ける高齢者世代が増加するため、社会保険制度の財政状況は厳しさを増しています。
より多くの労働者を社会保険に加入させることで、保険料収入を増やし、社会保険制度の持続可能性を高めることが求められています。
政府は、働き方改革の一環として、ワークライフバランスの実現を推進しています。
長時間労働の是正や柔軟な働き方の導入などが進められていますが、非正規雇用者やパートタイマーの中には、社会保険に加入できないために、十分な福利厚生を受けられないまま長時間労働を強いられているケースも少なくありません。
社会保険の適用拡大は、これらの労働者の待遇改善にもつながり、働き方改革の推進にも寄与すると考えられています。
社会保険は、病気・けが、出産、育児、失業、老後など、人生におけるさまざまなリスクに備えるためのセーフティネットです。すべての労働者が社会保険に加入することで、より多くの人が安心して生活を送ることができ、社会全体の安定につながります。
また、正社員と非正規雇用者との間の社会保障格差を是正し、より公平な社会を実現するためにも、社会保険の適用拡大は重要な課題となっています。
2024年10月の社会保険適用拡大は、企業と従業員双方にとって大きな影響を与える変更です。人事労務担当者は、事前にしっかりと準備をおこない、スムーズな制度導入を実現する必要があります。従業員への丁寧な説明、社内体制の整備、適切な手続きなど、対応すべきことは多岐に渡ります。
本稿で紹介した内容を参考に、早めに対策を進め、従業員が安心して働ける環境を整備しましょう。