社会保険料特例軽減のポイント
- 賃金が3カ月連続で減少した労働者⇒1カ月に変更
- 提出先は管轄する年金事務所、電子申請は不可
- 特例を利用した際、翌月の5月から改定が可能
社会保険料特例軽減のポイント
新型コロナウイルスへの感染により、お亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上げると同時に、罹患された方々およびそのご家族、関係者の皆様、感染拡大により日常生活に影響を受けられている全ての皆様に心よりお見舞い申し上げます。
6月26日(金)、厚生労働省から、新型コロナウイルス感染症対策で休業を余儀なくされた事業者様、従業員の方々に対して、社会保険料の特例軽減の措置が発表されました。
人事労務担当者や働く人々に対して労務・人事関連の情報を発信している『労務SERACH』としても、今回発表されました「社会保険料の特例措置」は皆様への有益な情報になり得ると判断し、本記事を執筆いたしました。
本記事が読者の皆様にとって、有益な情報になれば、幸いです。
目次
今回の社会保険料特定軽減措置は、新型コロナウイルス感染症の影響により、現行の社会保険料の軽減対象者は「賃金が3カ月連続で減少した労働者」としていますが、今回の特例軽減措置では、「賃金1カ月減」の労働者も対象となります。
今回の特例改定において、対象者は以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
標準報酬月額の特例改定条件
1固定的賃金(基本給、日給等単価等)の変動がない場合も対象となります。
2被保険者本人の十分な理解に基づく事前の同意が必要となります。(改定後の標準報酬月額に基づき、傷病手当金、出産手当金及び年金の額が算出されることへの同意を含みます。)
また、今回の特例措置は、同一の被保険者について複数回申請を行うことはできません。
社会保険料特例軽減を利用するためには3つの書類を用意し、管轄する年金事務所に提出します。
必要書類は厚生労働省のホームページよりダウンロードいただけます。下記リンクは厚生労働省が公表している書式のダウンロードリンクです。
健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届(特例)/厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届(特例)[PDF]
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う標準報酬月額の改定に係る申立書[PDF]
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う標準報酬月額の改定に係る同意書(月額変更届(特例)用)[PDF]
他の様式での同意書を使用する場合、参考様式と同程度の内容の同意を求めます。
届出の際に添付は不要です。ただし、後日年金事務所の調査があった場合に確認を求められる可能性がありますので、届出日から2年間は書類の保管が必要です。
今回の特例改定が実施された背景には、新型コロナウイルス感染症対策の一環で、休業を余儀なくされた従業員の賃金減少があります。
記者会見で加藤勝信厚生労働大臣は「緊急事態宣言下で賃金が下がった現状を踏まえて、的確に反映する必要がある」と発言しており、影響を受けた労働者をより幅広く救済することが目的と考えられます。
通常、健康保険や厚生年金の保険料は毎年4月~6月の平均賃金を基に「標準報酬月額」によって算出されます。
【参考】加藤大臣会見概要 会見の詳細┃ 厚生労働省
新型コロナウイルス感染症拡大防止により影響を受けた事業者への特例措置は、社会保険料の特例軽減のほか、雇用調整助成金や働き方改革推進支援助成金が発表されています。
現在、雇用調整助成金の特例措置(令和2年4月1日から9月30日まで)では、助成率及び上限額の引き上げが行われています。1人1日15,000円を上限額として、労働者へ支払う休業手当等のうち最大10/10が助成されます。
注意点
【参考】雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)┃ 厚生労働省
社会保険料の特例軽減は従業員の雇用や生活を守るために効果的な支援となります。対象となる事業主様はぜひ活用をご検討ください。
社会保険労務士の中でも、10%に満たないと言われる助成金を専門に手掛ける特定社会保険労務士/ワークスタイルコーディネーター。なんば社会保険労務士事務所の所長。
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