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入社手続きを速やかにするのが労務の基本、不可欠なポイントを押さえよう

従業員が入社したときの手続きを把握されていますか。
選考採用時や入社手続書類に記載された個人情報を元にして、各社の社会保険(健康保険や厚生年金)や雇用保険手続きを速やかに行っていかなければなりません。

また、年金手帳や雇用保険被保険者証、年金手帳、前職の源泉徴収票等、入社する従業員から預かる物もあります。重要性を確認しながらポイントを解説していきます。

社会保険(健康保険、厚生年金)の手続きとその期限

従業員が入社したときにまず行うのが、「社会保険(健康保険、厚生年金)」の手続きです。この手続きは年金事務所または健康保険組合・厚生年金基金に「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を提出することによって行われ、これをもって入社した従業員が健康保険と厚生年金保険の被保険者の対象となります。

提出の期限は雇用開始から5日以内となりますので注意が必要です。その際、「配偶者や子どもの有無」「年金受給の有無」を確認することが必要です。

配偶者や子どもがいる場合には「健康保険被扶養者(異動)届」を同時に提出し、また従業員の配偶者が国民年金の第3号被保険者になる場合は「国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届」を提出します。この2つの書類は一緒の様式となるので必要なものを使い分けましょう。

雇用保険の手続きとその期限、注意事項

雇用保険の手続きは、「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出して行います。期限は従業員を雇用した日の翌月10日までとなり、この手続きを行うことで従業員が失業した際の失業保険を受け取ることができます。

この際の注意点は、「賃金台帳」「労働者名簿」「出勤簿」などの添付資料が必要であることです。確認して準備を必ず行いましょう。前職がある従業員であり、雇用保険の被保険者だった場合には「雇用保険被保険者証」を本人から預かって提出しましょう。

雇用保険は1週間の労働時間が20時間未満、また継続して31日以上雇用する見込みがない場合には対象となりませんので注意しましょう。

前職の源泉徴収票を預かる意味と住民税の手続き

「源泉徴収票」は給与の他、退職手当や所得税額などを記載した書類です。従業員に前職があり、かつ12月31日よりも前に入社する場合には前職の源泉徴収票を預かりましょう。これは、所得税は一年間の収入により決まるため、前職の内容を参照して「年末調整」をする必要があるためです。

住民税の手続きは、従業員が「普通徴収」である場合、普通徴収を継続するかあるいは給与から「特別徴収」として控除するかを選ぶことができるのですが、この特別徴収への切り替えを希望する場合にのみ会社側に手続きが発生します。

従業員が居住する自治体に提出した「普通徴収から特別徴収への変更依頼書」をもとに、会社へは「納税通知書」が送られてきます。記載されている住民税額を毎月控除し、納付する形となります。

社会保険、雇用保険の手続きが遅れた場合と対応方法

社会保険の手続きが遅れてしまった場合、本来の届出日より60日以上過去に遡る場合には、賃金台帳や出勤簿などの根拠となる書類の提出が求められます。

雇用保険については、遡る全期間分の賃金台帳と出勤簿に加え、遅延理由書が必要です。遡ることができるのは原則として過去2年間となっていますが、平成22年より、雇用保険料が控除されていたことが確認できる場合は 2年以上遡ることができるようになりました。

その際には上記の書類に加え、「聴取書」の提出も必要になります。どちらも働く従業員にとって大変重要な手続きですので、怠らないようによく確認することが必要です。

年金手帳や雇用保険被保険者証等、必要な書類が無いとき

年金手帳を紛失した場合には、再交付の手続きが必要となります。
再交付には手数料はかかりません。

雇用保険被保険者証書が手元にない場合にも再交付が必要ですが、同時に雇用保険被保険者番号がわからなくなりますので、従業員となる人が前職の会社に問い合わせて記録を確認してもらうか、それでも分からないときには本人がハローワークに本人確認書類と前職の会社名や住所などが分かるものを持参し、手続きをする必要があります。

また、雇用保険被保険者資格取得届に履歴書等前職の会社名が分かる物を添付することにより、雇用保険被保険者番号が不明でも手続きできます。

まとめ

入社したばかりの従業員は、会社に慣れるまで多くの不安を抱いていると思います。そのようなときに例えば、健康保険被保険証が無く、家族が病院に行けなかったりすると会社に対して不信感を抱くことになりかねません。

入社手続きは法律で定められた期限より早く行う気持ちで、従業員本人に早く健康保険被保険者証が渡せる体制を作ることが重要と言えます。漏れの無いように手続きを進めていきましょう!

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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