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社会保険の加入手続きと必要書類|手続きを無料で削減する方法とは

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2022年度に社会保険の適用範囲が拡大され、社会保険の加入条件が緩和されます。

今回の適用範囲の拡大で、従業員501人以上の企業が対象だった範囲が101人以上の企業に拡大され、パート・アルバイトの適用範囲も拡大されます。

その影響で、労務手続きのコストは大幅に上がってしまい加入対象者の漏れが発生してしまう可能性もあります。もし加入対象者が漏れていると罰金や罰則の対象になるだけではなく、過去2年分に遡及して未納分が徴収されます。

そういったことにならないように、この記事では社会保険の加入条件や必要な手続きの方法、手続き業務の効率改善の方法についても解説します。

この記事でわかること

  • 社会保険被保険者の適用範囲拡大と手続き方法
  • 社会保険加入手続きの必要書類とダウンロード先(リンクあり)
  • 社会保険加入手続きを無料で大幅に削減する方法
監修者
蓑田 真吾

みのだ社会保険労務士事務所 社会保険労務士
https://www.minodashahorou.com/

大学卒業後、鉄鋼関連の企業に総合職として就職し、その後医療機関人事労務部門に転職。 約13年間人事労務部門で従業員約800名、新規採用者1,000名、退職者600名の労務、社会保険の相談対応にあたる。 社労士資格取得後にみのだ社会保険労務士事務所を開設し、独立。

社会保険の加入手続き方法と必要書類

社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するなら、強制適用事業所は会社設立から5日以内、任意適用事業所は従業員の半数以上の同意を得た後速やかに日本年金機構に関連書類を届出なければなりません。

提出期限 提出先
強制適用事業所 会社設立から5日以内 日本年金機構
任意適用事業所 従業員の半数以上の
同意を得たあと

 

日本年金機構に提出する書類は、以下のとおりです。

各申請書類は、日本年金機構のWebサイトよりダウンロードが可能です。記入例を記したExcelファイルも入手できます。

健康保険・厚生年金保険 新規適用届を提出する際は、以下の書類を添付しなければいけません。

健康保険・厚生年金保険 新規適用届の添付書類
法人事業所 法人(商業)登記簿謄本
※コピー不可
事業主が
国・地方公共団体
または法人
法人番号指定通知書等のコピー
強制適用となる
個人事業所
事業主の世帯全員の住民票
※コピー不可、個人番号の記載がないもの

なお社会保険加入手続きでは従業員の状況に応じてそれぞれ申請書の様式が異なり、法改正や特例がある場合はその都度様式が変更されるため、注意をしましょう。

申請書類の提出方法は、各都道府県の事務センター、または所在地を管轄する年金事務所に郵送・窓口持参・電子申請のいずれかが可能です。

手続き業務を削減したいならAPI申請がおすすめ

e-Govによる電子申請は窓口への移動時間を削減できますが、API申請の方が圧倒的におすすめです。

その理由は、API申請だと帳票作成が7分に短縮できるからです(通常30分)。

多くの労務担当者は現状下記の課題を抱えており、限られた時間内で社会保険手続きを円滑に進めるためには、従業員の方々からできるだけ早く、正しい情報を集めることが重要です。

法改正や様式変更があった場合の従業員向けの説明資料作成や説明会開催など、管理部門の方々に大きな負担が生まれます。

社会保険の加入義務がある事業所の条件

社会保険に加入する事業所は、加入義務がある「強制適用事業所」と一定の条件を満たせば加入ができる「任意適用事業所」に分けられます。それぞれの条件を確認しましょう。

社会保険の「強制適用事業所」とは

社会保険加入義務とその手続き、加入条件を徹底解説!

社会保険の強制適用事業所とは、事業主や従業員の意思にかかわらず、健康保険や厚生年金保険などの社会保険への加入が義務づけられている事業所を指します。

適用義務を満たしているにもかかわらず社会保険の加入手続きを取らない場合、処罰の対象となるため注意をしましょう。

法人は個人事業所も含め、その大半が強制適用事業所となりますが、常時使用の従業員の数や業種によっては、適用対象外となることもあります。

条件を満たしていても適用対象外となる業種

例えば、

  • 常時使用の従業員が5人未満の個人事業所
  • 理美容業、飲食業などのサービス業
  • 農林水産業を担う5人以上の個人事業所

は強制適用事業所とはなりません。

しかしこれらの事業所は一定の要件を満たし、加入申請をすることで社会保険が適用されるようになります。

このような形で事業所が任意で社会保険に加入することを「任意適用事業所」と呼びます。

社会保険の「任意適用事業所」とは

社会保険の「任意適用事業所」とは?

強制適用事業所の対象外となる事業所でも、従業員の半数以上が社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用事業所になることに同意した上で事業主が適用の申請をし、厚生労働大臣の認可を受けると「任意適用事業所」になります。

任意適用事業所は、強制適用事業所と同じく社会保険適用となります。そこで働く従業員にも強制的に、健康保険や厚生年金などの社会保険が適用されます。

社会保険の加入義務がある労働者の条件

社会保険適用対象者の加入条件とは?

会社・商店などの法人および個人事業所といった、社会保険の適用事業所に常時使用される70歳未満の人は、報酬額・国籍・性別・年金受給の有無にかかわらず、法律に基づき強制的に健康保険や厚生年金保険に加入することとなります。

この従業員の総称を「社会保険の強制加入対象者」または「70歳以上被用者」と呼びます。

「常時使用される」とは、雇用契約書の有無にかかわらず、適用事業所で常時勤務し、給与や賃金などの報酬を支給されている従業員を指します。試用期間中に報酬が支払われている場合も含まれます。
原則として70歳以上の方は健康保険のみの加入。

次の加入条件を満たす人が、社会保険の強制加入対象者(被保険者)となります。

なお、パートタイムやアルバイトは、労働時間や労働日数が所定の割合以上であること、または次項で記載する要件をすべて満たす場合に社会保険の加入条件が満たされ、被保険者となります。

2022年10月より社会保険適用範囲が拡大

2022年10月よりパートタイム・アルバイトの社会保険適用範囲が拡大

パートタイムやアルバイトの方も、適用事業所に常時使用されている雇用形態の場合、社会保険の加入条件を満たしているため強制加入の対象者となります。

パートタイム・アルバイトの方が社会保険に加入するためには、以下の条件を満たしていなければいけません。

2022年10月からの
パート・アルバイト加入条件

  1. 週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同じ事業所で同じ業務をおこなっている正社員など一般社員の4分の3以上
  2. 上記1の要件を満たしていなくても、次の「短時間労働者の要件」すべてに該当する
    ・週の所定労働時間が20時間以上であること
    ・勤務期して2カ月を超えて雇用見込みがあること
    ・月額賃金が88,000円以上であること
    ・学生でないこと
    ・従業員101人以上の事業所に勤務している

短時間労働者の要件

2024年10月より事業所の要件が変更予定

2024年10月以降、短時間労働者の要件のひとつである事業所の要件が「従業員501人以上の事業所に勤務している」から「従業員51人以上の事業所に勤務している」に変更されます。

パート・アルバイトの社会保険の適用範囲のポイント

パートタイム・アルバイトの社会保険の適用範囲について、以下のポイントに注意しましょう。

1.被保険者資格取得の基準について

社会保険が適用されるのは「1週の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上」労働する、パート・アルバイトです。

2.特定適用事業所

同一事業主※1の適用事業所の被保険者数※2の合計が1年で6カ月以上、101人を超える(2022年10月より)ことが見込まれる事業所は「特定適用事業所」の指定を受けます。

法人番号が同一
短時間労働を除き共済組合員を含む

3.特定適用事業所に勤める短時間労働者の社会保険適用

パートタイム・アルバイトで被保険者資格を持たない方でも、前述2で新たに指定された「特定適用事業所」に勤め、一定の短時間労働者の要件を満たす従業員は社会保険が適用されます。

パート・アルバイトが
社会保険の被保険者になる条件

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 雇用期間が2カ月以上見込まれる
  3. 月の賃金が88,000円以上であること
  4. 学生でないこと

社会保険の扶養に含まれたい方は注意!

社会保険の適用範囲が広がったと同時に、社会保険の扶養条件も緩和されています。

社会保険の扶養条件

  • 年130万円未満の収入
  • 被保険者の年収の2分の1以下

また、収入計算にも注意しなければいけません。

年130万円未満は1年間の収入の合計ではありません。社会保険の扶養に入る直近3カ月の平均に対して、12カ月を掛けた金額が130万円未満の場合、被保険者の被扶養者になります。

もし扶養条件の年130万円を超える場合は、社会保険への加入義務が発生する可能性がありますので、現時点で社会保険の扶養者の方は注意しましょう。

健保組合はこの考え方を採用していますが、協会けんぽでは採用されていません。

まとめ

社会保険は従業員の健康や将来の生活を守るために必要不可欠、かつ条件によっては事業主の義務となります。そのため、事業主は社会保険の加入条件を十分に理解しておかなければなりません。

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