この記事でわかること・結論
- 試用期間であっても加入条件を満たしている従業員は社会保険への加入義務がある
- 短期アルバイトなどの契約期間が2カ月以内の有期雇用契約の場合、社会保険の適用が除外される
- 社会保険への加入条件を満たしているのに未加入の場合は「追徴金・延滞金」などが発生する可能性がある
この記事でわかること・結論
多くの企業が導入している3ヶ月程度の「試用期間」。入社・転職時まずはこの試用期間から入る従業員も多くいますが、社会保険への加入はできるのでしょうか。
実は試用期間であっても加入条件を満たしている従業員は社会保険への加入義務があります。未加入のままでいると罰則など受けてしまう可能性もあるためよく理解しておきましょう。
本記事では試用期間について、社会保険の加入はそもそも必要かどうかという内容から、加入条件など詳しく解説していきます。
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目次
会社のおける「試用期間」とは、新しい従業員が採用された後に設けられる期間のことで通常は雇用の初めの数カ月間のことを指します。この期間は、一般的に従業員がその職務に適しているかどうかを評価するために使用され、同時に従業員にも会社の環境や文化に適応する機会を提供されます。
試用期間の長さは会社によって異なり、通常は3カ月から6カ月程度です。ですが、これには法的な規制や労働契約の規定が大きく影響しており、試用期間の長さにかんしては会社によって異なります。法的な規制が存在していないため事業所が自由に決めています。
試用期間中について従業員は原則、フルタイムの従業員と同じ労働条件下で働きますが、試用期間の終了時には評価に基づいて正式な雇用が決定されます。またその評価の結果で、ミスマッチと判断されれば労働契約法第16条に則り、客観的に合理的な理由である存在し、社会通念上相当として認められる場合にのみ解雇が成立します。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
正式には試用期間中、労働者と使用者の間には「権留保付労働契約」があるとの解釈がされており、試用期間満了後に事業者が解約権行使を利用するのは通常解雇よりは広い裁量が認められるケースが多いです。
試用期間中の給料についても、法令で規定などがないため事業者側が自由に設定できます。よくあるのは「試用期間中は時給換算、そして本採用から月給制になる」などがあります。
しかし、試用期間中も雇用契約ではあるため都道府県別の最低賃金を下回ってはいけません。不当に賃金を下げて設定しているといった解釈になってしまうため注意しましょう。
通常3カ月から半年間ある試用期間中でも、出社して労働をします。社会保険への加入はできるのでしょうか。実は、試用期間であっても雇用契約を締結しているため社会保険に加入しなければなりません。
社会保険に適用される事業所を「適用事業所(詳細には強制適用事業所と任意適用事業所に分かれる)」と呼ばれ、該当する適用事業所側は社会保険へ加入をする必要があります。
社会保険への加入は労働者であれば原則必須とされていますが、加入対象外であるケースもあります。
上記のなかでも覚えておきたいのは、臨時で雇われているケースや高齢者が採用されたケースなどは社会保険への加入対象にはならないということです。健康保険・厚生年金保険へ加入させる従業員については基本ないと思いますがよく確認しておきましょう。
試用期間であっても社会保険への加入条件は通常時と同じです。ここでは社会保険の加入条件についておさらいしておきましょう。
企業は社会保険への適用しているところを「適用事業所」と呼びます。そして、適用事業所に雇用されている、且つ社会保険の加入条件を満たす労働者は原則社会保険へ加入する義務があります。
上記の条件を満たす事業所は適用事業所となるため、社会保険への加入義務が発生します。条件を満たしているのに社会保険へ未加入である場合は追徴金・延滞金などを支払わなければなりません。
事業者側は、適用事業所であるのかどうかをまずは確認したいポイントです。そして試用期間であっても社会保険の加入条件を満たす場合は、従業員の社会保険の加入手続きを忘れないようにしましょう。
社会保険への加入条件を満たしているのに未加入などである場合は「追徴金・延滞金」などが発生する可能性があります。
基本的は、社会保険に未加入のままでいると厚生労働省や年金事務所から案内や立入調査などがあります。加入案内などがされるため、このタイミングで社会保険へ加入することで遡及加入ではなく、新規加入として扱ってくれます。つまり保険料の未加入期間分を支払いなどがありません。
その後のまだ未加入であった場合は、強制的に社会保険へ加入させられて未加入であった時期のうち時効である2年間分の保険料を追徴されます。
事業主が、正当な理由がなくて次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
また、それだけではなく所要期間中に未加入にさせている場合、上記のように健康保険法第208条に準じて罰則を受けることもあります。
試用期間中は本採用までのお試し労働期間になります。試用期間であっても雇用されており給料が支払われているため社会保険への加入は必要です。
また、試用期間について詳細(長さ・給料など)は、法令で決められていないため企業によって異なりますが、通常は3カ月〜6カ月ほど設けられており、その間に正式に働いてもらうかの評価がされます。
事業所側は、ミスマッチがあり労働契約法に準じた理由などがあれば解雇することも可能です。新年度時期など試用期間になる前に、社会保険加入の内容をもういちど確認しておきましょう。
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