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法人は一人でも加入義務あり!社会保険加入義務とは?

社会保険の未加入問題が、現在話題になっております。社会保険の適用事業所が法人数に比較して大幅に少ないため、「社会保険未適用事業所」が多くあると考えられています。

「法人は設立したが、独立開業したばかりであるため、私一人なので加入しなくてもいいのではないか」と思っていると、年金事務所の調査等によって、強制的に加入手続きが取られるかもしれません。ここでは、強制適用の条件、複数の会社を経営しているときや非常勤役員の扱いなどを解説して行きます。

法人は一人でも加入、強制適用とは?

社会保険の強制適用の事業所についてご紹介します。法人の事業所の場合は、規模・業種に関係なく全ての企業が対象となります。

個人事業所の場合には、従業員を5人以上常時雇用している事業で、製造業、鉱業、土木建築業、電気ガス事業、清掃業、運送業などが強制適用の対象となります。美容業や飲食店等のサービス業、弁護士等の士業は従業員数に関係なく強制適用にはなりません。

副業で会社を作ったら?「二以上事業所勤務届」

世の中において、給料をいくつかの会社からもらっている人は結構います。
夜間や休日に副収入をアルバイトで獲得している人や、いくつかの会社を経営したりして報酬を獲得している人などです。

このような場合は報酬を2ヶ所以上から獲得していますが、このようなときは二つの会社で加入手続きを取る「二以上事業所勤務届」の対象になるのは後者の人がほとんどです。社会保険が適用される事業所に勤めている場合、基本的に社会保険に加入する必要があるのは、一般従業員の1日あるいは所定の1週間の労働時間および所定の1月間の労働日数の3/4以上仕事をしている場合になります。

つまり、1日の労働時間が8時間、週40時間勤務の会社の場合には、週に30時間以上くらいであれば社会保険に加入する必要があります。基本的に、勤務時間が30時間未満の場合は社会保険の対象にならないため、社会保険の対象になるのはメインで仕事をしている会社だけになります。

非常勤役員も加入義務はあるの?

役員の場合でも、社会保険は加入できます。一方、非常勤役員の場合には、社会保険に加入する義務がないということをよく言われます。しかし、「非常勤」だからといって社会保険に加入する義務が免除されるということではなく、一般従業員と同じように実際の勤務の状態で判断されます。

では、社会保険上、どのような条件をクリアすると非常勤役員になるのでしょうか?社会保険の場合には、被保険者になるのは常時適用事業所に雇用される人であるため、一般従業員では週30時間以上の労働時間という基準で加入対象かどうかを判断します。

しかし、役員の場合は従業員ではないので、基本的に労働時間という考え方がありません。そのため、一般的に、経営に関係しているか、業務執行権を役員として有しているか、役員報酬を受け取っているか、役員会議へ出席しているかどうか、などの基準で判断されます。非常に抽象的な基準であると思うかもしれませんが、だいたいの目安であると考えておきましょう。

もし、加入していなかったら?「遡及適用」

社会保険に加入する手続きを従業員に対して行わなければ、遡及して社会保険に加入できます。社会保険の資格取得手続きや確認請求をした日から最大で2年間遡ることができます。この間、従業員負担分の毎月の給料から控除しなかった保険料については、会社が一旦全額払うようになります。

この従業員負担分に関しては、従業員に対して会社が請求することができますが、一括で従業員の給与から天引きはできません。社会保険料として控除できるのは、前月分の保険料に限られています。遡及適用分の保険料を給与や賞与から控除する場合には、従業員の同意が必要です。

個人事業主が従業員を加入させたいときは?

強制適用でない個人事業主が事業所を社会保険に加入させることができます。これを任意包括適用事業所といいます。加入するためには、申請書類を準備して年金事務所に行って手続きをします。

申請する際の必要書類は、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、源泉徴収簿、総勘定元帳・現金出納帳、事業主の確定申告書、事業主の住民票、建物を賃貸している場合は建物賃貸借契約書、加入する従業員の年金手帳、給与規定・就業規則、などです。

注意点として、個人事業主は社会保険に加入できない、加入申請は従業員を雇用した後に行う、雇用した従業員が複数の場合は全員が加入する必要がある、ことが挙げられます。

まとめ

社会保険労務士への問い合わせによくあるのが、「会社を二つ経営しているが、社会保険には一つの会社でしか加入していない。そうすると、調査の手紙が年金事務所から届いた」というものです。法人で代表者を兼ねている場合には、加入の手続きを二つの会社で行う必要があるため注意が必要です。

このことは、ダブルワークで週30時間以上2社で働いているときも同じです。ただし、標準報酬は2社分の給与を合算され計算されますので将来の厚生年金額には反映されます。忘れがちな手続きですが注意して行きましょう!

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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