この記事でわかること・結論
- 社会保険は2年まで遡って加入することができる
- 社会保険に新規で加入する際は法人登記簿謄本と健康保険、厚生年金保険の新規適用届が必要
- 社会保険へ遡って加入する場合は、社会保険料を一旦事業所が一括で支払う
この記事でわかること・結論
実は社会保険は2年まで遡って加入することができます。ですが、どのタイミングで社会保険への訴求加入をするのでしょうか。また、遡って加入するための手続きやその場合の支払いなども知っておきたいポイントです。
そこで、本記事では社会保険を遡って加入することができるのか、遡って加入するための手続きなどについて詳しく解説します。
目次
健康保険や厚生年金保険などの加入が漏れてしまっている場合など、社会保険は遡って加入できるのでしょうか。
事業所が適用事業所や任意適用事業所などであり、加入条件を満たしているのに社会保険への加入をしていない従業員がいる場合は、遡って加入することが必要です。
ただし、遡る時期までは指定できず法律上、社会保険への加入条件を満たした時より訴求加入となります。
「最初は短時間労働であり社会保険への加入条件を満たしていない状態で適用事業所に勤めていいたが、途中から勤務時間が増えて社会保険への加入条件を満たしていた、そして数年加入していなかった」という場合はたとえ期限以内であっても、入社時から遡るのではなく、社会保険加入の条件を満たしたときより訴求加入となります。
あくまで社会保険に遡って加入するときは、「その当時に条件を満たしているかどうか」がポイントになるということです。
社会保険に遡って加入するためには、社会保険への加入条件を満たしているときから遡ります。そのため、自身で遡る時期などを指定することはありません。
社会保険の加入条件についておさらいしておきましょう。
まずは上記の社会保険加入条件を満たしている期間があるかどうかを確認しましょう。仮に数年間、社会保険の加入条件を満たす状態でかつ、未加入であった場合は2年まで遡れます。
対象の労働者は、実際に社会保険の遡及加入ができるのかを確認する必要があります。具体的な当時の雇用関係書類などがあれば、証明することが簡単です。
社会保険へ遡って加入したい労働者は、会社へ申し出る際にあらかじめ上記のような書類を用意しておくとスムーズに話を進めることができるでしょう。
実は社会保険だけではなく、自営業者などが加入する国民健康保険についても未加入時期があれば遡って加入ができます。
ただし、全額免除や半額免状などや学生納付特例期間などを利用している場合に可能です。その際は被保険者自身が近くの役所などで手続きをする必要があるため忘れずにいましょう。
社会保険を遡って加入する場合、社会保険該当したときより2年間までとなります。つまり、社会保険の遡及加入である場合は最高で2年分の社会保険料を支払います。
これは厚生年金保険法という法令で決まっているため、事業所ごとに異なるという内容ではありません。
保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したとき、保険給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から五年を経過したとき、当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる
そのため、たとえ数年間の未加入期間があったとしても、条件を満たしているなかの2年分しか遡及加入できないため覚えておきましょう。
対象の従業員が加入していなかった、という訳ではなく会社全体として社会保険へ加入していなかった際には以下のような対応がある場合があります。
適用事業所である場合は、通常会社として社会保険加入の申し出をします。未加入のままであると年金事務所より加入指導が入ります。このタイミングで加入することでまだ新規加入と認められるため訴求加入安堵・保険料2年分を支払いにはなりません。
しかし、加入指導後それでも未加入でいる場合は立入検査があり、そこで強制的に遡及加入をさせられます。状況によっては、刑事罰なども用意されているため案内があるならば速やかに社会保険へ加入しましょう。
社会保険へ遡って加入する際は、事業所が必要書類を用意して管轄の年金事務所へ提出します。特定の従業員だけのケースと、会社全体が遡及加入をするケースで必要書類が異なります。
対象の従業員の基本情報にくわえ、当時社会保険に加入する条件を満たしていたかどうかを証明する書類が必要です。これらを会社に出します。会社は受け取ったら年金事務所へ提出・申請をします。
続いて会社全体が社会保険に未加入だった場合、かつ新規で加入する場合は以下の書類が必要です。
上記が必要なのは「新規で会社が社会保険へ加入する場合」です。年金事務所などの強制加入である場合には、手続きなどは不要です。
社会保険へ遡って加入する場合は、社会保険料について一旦事業所が一括で支払います。そして各従業員へ請求するというフローです。
そのため会社の担当者や会計、または会社代表は社会保険の訴求加入をする際にまとまったお金が必要であることを頭に入れておくと良いでしょう。
社会保険は時効である2年間までは遡って加入ができます。しかし、対象期間は社会保険への加入条件を満たしている必要があるため、当時の雇用契約書などがあると申請のときに証明ができて良いです。
また、国民健康保険でも自身で役所にて手続きをすることで遡及加入ができます。ただし一定条件や例外措置を利用している場合に限ります。
社会保険を遡って加入するためには、必要書類などを持参して所管の年金事務所に行きましょう。また、対象期間中の保険料を一旦会社側が一括で支払う必要があるため、まとまったお金を用意することも忘れずにいましょう。
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