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常勤や非常勤役員は社会保険の加入対象になる?加入義務や条件について詳しく解説

常勤や非常勤役員は社会保険の加入対象になる?加入義務や条件について詳しく解説

監修者:労務SEARCH 編集部
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この記事でわかること・結論

  • 常勤役員は報酬をもらっていれば原則として社会保険への加入義務が発生
  • 非常勤役員は基本的に社会保険への加入義務はありません

条件を満たした労働者であれば基本的に社会保険に加入しますが、会社の常勤・非常勤役員については社会保険への加入義務があるのでしょうか。

実は常勤役員は報酬をもらっていれば原則として社会保険への加入義務が発生します。非常勤役員はさまざまな判断材料から労働者とみなされる場合は社会保険に加入することになるため基本的に社会保険への加入義務はありません。

本記事では常勤・非常勤の会社役員について、社会保険それぞれの加入条件や例外、常勤・非常勤で加入義務の違いなどを解説します。

常勤・非常勤の役員は社会保険に加入できる?

常勤・非常勤の役員は社会保険に加入できる?

会社に属しており、社会保険の加入条件を満たす場合は被保険者となります。ですが会社役員(常勤・非常勤)の場合は加入するのでしょうか。

社会保険は「健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険労災保険」の5つがあり、それぞれ役員についての扱いが違うため解説します。

健康保険・厚生年金保険

社会保険のなかでも健康保険や厚生年金保険については、各種法律で被保険者について定められておりどちらも「適用事業所に使用される者」とされています。


健康保険法第3条

この法律において「被保険者」とは、適用事業所に使用される者及び任意継続被保険者をいう。



厚生年金保険法第9条

適用事業所に使用される七十歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者とする。


上記に関して会社役員の扱いを、厚生労働省や日本年金機構などの公式Webサイトで公表されている疑義照会の内容を参考にしてみます。

疑義照会とは、日本年金機構における業務に際して、法令、諸規程等の解釈又は取扱方法が不明確である場合に、年金事務所等から機構本部に対して問い合わせを行うことをいいます。

通達(保発第74号)や疑義照会では会社の役員について「これら法人の代表者又は業務執行者であっても、法人から労務の対償として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保険者の資格を取得させるよう致されたい。」としています。

POINT

会社役員でも社会保険の加入ケースがある

つまり役員報酬などもらっている常勤役員の場合は社会保険の加入義務があることになります。また、非常勤の会社役員であっても実際の経営への関わり方や働き方などで社会保険の被保険者となる場合があります。

通達や疑義照会のなかの「労務の対償として報酬を受けている者」に該当するかどうかは、いくつかの判断裁量があります。会社役員が社会保険の資格対象かどうかの判断材料は以下となります。

会社役員の社会保険資格
実際の判断材料

  • 当該法人の事業所に定期的に出勤しているかどうか
  • 当該法人における職以外に多くの職を兼ねていないかどうか
  • 当該法人の役員会等に出席しているかどうか
  • 当該法人の役員への連絡調整又は職員に対する指揮監督に従事しているかどうか
  • 当該法人において求めに応じて意見を述べる立場にとどまっていないかどうか
  • 当該法人等より支払いを受ける報酬が社会通念上労務の内容に相応したものであって実費弁償程度の水準にとどまっていないかどうか

上記を総合的に判断し「実態において法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供であること」や「対価として報酬を受けている」という場合は社会保険の加入義務が発生します。

しかし、この判断材料はあくまで例であるため、実際は非常勤の会社役員でも社会保険の加入対象となるケースも多くあります。

介護保険

介護保険は、「40歳以上の医療保険加入者」がもれなく全員加入対象となります。

そのため、健康保険・厚生年金保険の部分で解説した社会保険の加入条件を満たしている役員は被保険者になることができます。

労働保険(雇用保険・労災保険)

雇用保険法第4条厚生労働省が公表している基発(通達)では、被保険者を適用事業所に雇用される労働者としています。


雇用保険法第4条第1項

この法律において「被保険者」とは、適用事業に雇用される労働者であって、第六条各号に掲げる者以外のものをいう。


どちらも「労働者」を加入対象としているため原則として会社役員は対象外になります。

しかし雇用保険には例外が、労災保険には条件下でなくでも特別加入があります。以下の条件を満たす会社役員の方は、それぞれの社会保険に加入することになります。

雇用保険に加入できる
会社役員の条件

  • 取締役などで同時に部長、支店長、工場長等の従業員としての身分を有する者かつ、雇用関係があると認められる場合
  • ちなみに代表取締役は対象外

労災保険に特別加入できる
会社役員の条件

  • 中小事業主等である場合
  • 当該事業に使用される労働者について労災保険の保険関係が成立している場合
  • 労働保険事務組合に事務処理を委託している場合
  • その事業に従事する者を包括して加入する場合
  • 特別加入を申請したうえで、労働局長の承認を得ている場合

上記の条件を満たしている会社役員は、公共職業安定所や労働保険事務組合に必要なものを提出するなどの手続きが必要です。

常勤・非常勤の役員は社会保険の加入義務がある?

常勤・非常勤の役員は社会保険の加入義務がある?

役員は社会保険のなかでも雇用保険や労災保険について、例外はありますが原則加入することができません。ですが、健康保険や厚生年金保険などは会社の報酬形態など場合によって社会保険の扱いが異なります。

ここでは、常勤役員と非常勤役員について社会保険の加入義務の違いを解説します。

常勤役員の場合

常勤している会社役員の場合は、役員報酬が支払われていることがほとんどであり、原則として社会保険への加入義務があります。

代表取締役や取締役などでも報酬が支払われていない場合は、社会保険の加入義務は発生しません。

非常勤役員の場合

非常勤役員の場合は、役員報酬の有無に関係なく社会保険の加入義務はありません。

また、常勤なのか非常勤なのかの判断は先述した項目を確認しましょう。非常勤役員は実際の業務や働き方を総合的に判断され社会保険に加入できるかどうかが決まるということを覚えておきましょう。

常勤・非常勤の役員の社会保険に関するよくある質問

常勤・非常勤の役員の社会保険に関するよくある質問

役員と授業員について、社会保険の扱いの違いを教えてください。
従業員は社会保険の加入条件を満たしている場合に被保険者となります。会社役員の場合は、常勤で役員報酬など受け取っている場合は加入義務があります。対して非常勤役員の場合は報酬の有無にかかわらず社会保険への加入義務はありません。
非常勤の会社役員の場合、社会保険への加入義務がある?
非常勤役員は社会保険への加入義務がありません。ですが、非常勤でありながら社会保険への加入を選択できるケースもあります。

まとめ

会社役員の場合は、報酬を少しでも受け取っている常勤役員は社会保険への加入義務が発生します。

反対に非常勤役員である場合は、社会保険への加入義務は発生しません。ですが「経営に関わる経常的な労務の提供であること」や「対価として報酬を受けている」と判断される場合は社会保険に加入することができます。

また、社会保険のなかでも労働保険(雇用保険労災保険)については役員が原則として加入することはありません。ただ例外などに該当する場合は特別加入などすることも可能です。

本記事を参考に常勤役員・非常勤役員の社会保険についての理解を深めておきましょう。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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