この記事でわかること・結論
- 社会保険の加入条件を満たしている場合は、1か所もしくは2か所の社会保険に加入する必要がある
- 主たる給与103万円以上、もう片方が20万円以上の場合は確定申告が必要
- 個人事業主やフリーランスのダブルワークで所得48万円以上の場合も確定申告が必要
この記事でわかること・結論
収入面からダブルワークや仕事を掛け持ちしている方も多いと思います。そういったダブルワークや掛け持ちの場合、社会保険の加入はどのようにしたら良いのでしょうか。
実はダブルワークや掛け持ちをしている方は、社会保険の加入条件を満たしている場合は両方の職場で社会保険に加入することもあります。また、給料を2か所からもらっていることになるため税金や確定申告などで気をつけなければなりません。
本記事ではダブルワークや掛け持ちの社会保険について、加入するときや税金面で注意したいことなどを解説します。
目次
ダブルワークや掛け持ちの方は、どの社会保険に加入すべきなのでしょうか。
答えは「社会保険の加入条件を満たしている場合は、1か所もしくは2か所の社会保険(健康保険や厚生年金保険)に加入する」です。ちなみに、雇用保険については1か所のみ(生計維持するに必要な「主たる賃金を受けている会社)での加入になります。
ダブルワークや掛け持ちなどしている場合は、勤務先や働いている状況などから社会保険への加入条件を満たしているかどうかがポイントになります。シングルワークなのかダブルワークなのかは関係なく、条件を満たしている分の加入となります。
そのため、複数社で働いていてどちらも社会保険加入の条件下である場合は、健康保険と厚生年金保険について二重加入をする必要があります。これは健康保険法第13条や厚生年金保険法第6条などで定められています。社会保険の加入条件については次で解説します。
社会保険の加入条件をおさらいしておきましょう。まずは働いている職場が適用事業所(強制適用事業所もしくは任意適用事業所)であるかどうかを確認しましょう。
強制適用事業所
・国内の法人事務所(1人社長も含む)
・常に従業員を5人以上雇用する個人事業所
任意適用事業所
・非適用事業主※
・個人事業所(常に従業員を5人未満)
※農業・林業・水産業、サービス・自由業、宗教など
そのうえで各従業員における、社会保険の加入条件は以下です。
また、上記の条件を満たさなくても下記のすべての条件を満たしているパート・アルバイトなどの方は社会保険に加入することができます。
従業員規模に関しては、年々緩和されており次は2024年10月に51人まで緩和されることが決まっています。
ダブルワークがアルバイト・パート・契約社員などの場合でも、月の就業時間や賃金が条件に達している場合は社会保険への加入が必要です。
ただし、たとえば2社で働いていてどちらも社会保険の加入条件を満たしていないなどの場合は、加入できません。自身が社会保険の加入対象かどうか再度確認しておきましょう。
ダブルワークや掛け持ちをしている場合はその分収入が増えるため税金面に気を付ける必要があります。特に配偶者がいる主婦などは、自身の年収が配偶者の税金に影響しまうケースもあるため覚えておきましょう。
ここからは年収ごとに達するとどのような影響があるのかを解説します。
住民税はお住まいの地域によって年収93万~100万円の範囲からかかります。原則年収100万円を超えると住民税がかかると覚えておくと良いでしょう。
お住まいの市区町村によっては均等割を採用しているケースもあるため、年収100万円以下でも平均5000円程度の住民税を支払うこともあります。
年収が103万円を超えると所得税がかかります。アルバイト・パートの方などは年収103万円を超えた分の所得税が発生するためよく覚えておきましょう。
学生が103万円を超える場合は、親が扶養控除を利用できなくなるため親の税金負担分(所得税や住民税)が増えます。学生自身は勤労学生控除などを利用することで130万円までは免除されます。
ダブルワークや掛け持ちで確定申告をするのはどのような状況の時なのでしょうか。
ダブルワークや掛け持ちをしている場合は、多くもらっている方の給与が103万円以上であり副業など2つ目からもらっている金額が20万円以上である場合は確定申告が必要です。
ひとつ目もふたつ目も上記の金額に達していない場合は確定申告が不要です。ひとつ目の会社側で年末調整をした場合でも、翌年に20万円を超えている分は自身で確定申告をする必要があるため忘れないようにしましょう。
ダブルワークや掛け持ちのなかでも、自営業者など給与所得でない場合は、事業所得(売上から経費を差し引いた額)が48万円以上の場合は確定申告が必要になります。
ダブルワークや掛け持ちでも社会保険に加入するメリット解説します。
ダブルワークや掛け持ちで両方の社会保険に加入することで、社会保険料は合計の給与から算出されてそれぞれの毎月の給与から差し引かれます。
しかし社会保険料を支払っている分、将来の年金受給額が増えるため現在の家計簿的に両方から社会保険料が引かれても大丈夫であれば長期的にメリットと言えるでしょう。
ダブルワークや掛け持ちの場合は、そもそもアルバイトであるケースも多く社会保険に加入しないパターンも多いです。条件を満たしており、片方でも社会保険に加入しておくことで給付金を受けることができます。
たとえば、育児休業給付金や出産手当金などの給付金が得られます。これにより、家族がいる場合や将来的に家庭をもつ予定がある場合などは経済的なサポートが得られるというメリットもあります。
社会保険への加入は精神的な安心感をもたらします。健康保険や年金制度へ参加することは社会的信用的にも安定感を与えるため、仕事に対してもモチベーションアップ繋がるでしょう。
次にダブルワークや掛け持ちで社会保険に加入するデメリットについて解説します。
社会保険に加入することで保険料の負担が増えます。両方の職場で社会保険に加入する場合はさらに負担することになります。
ダブルワークや掛け持ちのなかでも副業などをしている場合は、収入が不安定になることもあるでしょう。そのような場合、継続して社会保険料を支払っていけるのかどうかにも注意しなければなりません。
このデメリットは、先述したように将来もらえるお金などが増えるため長期的に見ればメリットとも考えられます。しかし、現在の生活のなか保険料負担をすることで厳しい状況になってしまう場合はデメリットとなるでしょう。
ダブルワークや掛け持ちで2か所の社会保険に加入する際は、それぞれの手続きになるためそれが面倒に感じるかもしれません。収入によっては確定申告をする必要もあります。
電子申請でなければ年金事務所や税務署などに行く手間もかかります。手続きそのものでかなり提出書類作成など時間がかかるのもデメリットのひとつです。
社会保円料がかかるため、毎月の給料から手取りが減少します。これもひとつめのデメリットと同様に将来のためを取るか、現状の生活を取るかでメリットにもなり得ます。
ダブルワークや掛け持ちをしていて、さらに両方の社会保険に加入している場合はどちらの給料からも差し引かれるため家計簿などに注意しましょう。
ダブルワークや掛け持ちで社会保険に加入する場合には以下の点に注意しましょう。
ダブルワークや掛け持ちをしている場合、パートナーの扶養内で社会保険に加入していることを継続したいというのであれば自身の年収に気をつけましょう。
被扶養者自身の年収が130万円を超えてしまうと、自分で社会保険に加入する必要があり、保険料を支払うことになります。
また、自身の年収が106万円以上でも条件を満たしている場合は、社会保険への加入が必要です。
扶養に入っている方は106万の壁や130万の壁を意識して収入をコントロールしましょう。
会社のなかには、情報漏洩などを考慮して副業などを禁止しているある所もあります。その場合は、トラブルにも繋がってしまうため雇用契約書などを必ず確認しておきましょう。
ダブルワークや掛け持ちで社会保険に加入する場合は、条件を満たしていれば両方の職場での加入が必要になることもあります。アルバイト・パートの方も就業時間などによっては社会保険に加入する必要があるためよく確認しておきましょう。
ダブルワークや掛け持ちをしていて、パートナーの扶養内でいたい場合などは年収130万円の壁・106万円の壁などにも気をつけましょう。一定の条件を満たしている場合は自身での社会保険加入が必要になります。
また、ダブルワークや掛け持ちで収入が増えることや社会保険の加入によって、確定申告の必要や保険料負担などが発生することも忘れないようにしましょう。
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