この記事でわかること・結論
- 契約社員とは、有期契約および非正規雇用として働く労働者のことであり原則正社員と同じ労働時間で働く
- 契約社員でも社会保険の加入条件を満たしている場合は加入義務がある
- 原則正社員と同じような社会保険の適用ですが、短時間労働などで働く場合は別途加入条件があるため確認しよう
この記事でわかること・結論
契約社員は非正規雇用として働く社員のことであり、正社員が無期雇用契約であるのに対して契約社員は「有期雇用契約」で働きます。
また契約社員の社会保険については、正社員と同様に社会保険の加入条件を満たしている場合は被保険者となる義務があり、条件下でも未加入の場合は法令違反となってしまいます。
本記事では、契約社員の社会保険について加入義務の詳細や加入条件のおさらい、留意点などを解説します。質問に回答するだけで加入対象かわかる社会保険かんたんシミュレーターもぜひご活用ください。
目次
社会保険とは主に正規雇用・非正規雇用など事業主に使用される労働者が加入する保険制度であり、病気や事故などに対して一定の給付をおこないます。
正社員であれば入社時から加入していますが、契約社員の場合は社会保険に加入できるのでしょうか?まずは契約社員の基本からおさらいしましょう。
契約社員とは、非正規雇用のうちの一つであり企業と有期雇用契約を締結して働く社員のことを言います。法律で決められているわけではないため、企業によっては「パートナー社員」などと呼ぶこともあります。
基本的に正社員と同じフルタイム(1日8時間・週5日勤務)での労働時間が一般的です。また、1回の契約期間については労働基準法第14条1項に基づいて、原則3年以内・専門性の求められる職種である場合は5年以内で働くことができます。
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。
法律で定められているのはあくまで1契約での期間上限であるため、企業の判断で長期的に働いてもらうのであれば、3年が経ったあとに契約更新をすることで引き続き働くことも可能です。
ちなみに、契約更新で通算5年間継続して働いている方は「無期労働契約への転換申込み」をすることができます。適用後の待遇については企業の就業規則などによるため無期契約だからといって必ずしも正社員になるわけではないことを覚えておきましょう。
社会保険と聞くと、正社員が加入するものであって契約社員は加入義務がないという印象をもつ方が多いかもしれませんが契約社員でも社会保険に加入することができます。
各種社会保険は、雇用見込み期間や労働時間などの加入条件が設けられています。事業書単位で適用となる、その事業所に雇用される労働者が被保険者の対象となるものもあります。そのため契約社員であっても、正社員と同様に条件下で社会保険に加入する義務があります。
条件を満たしているのに未加入のままだと、事業所が6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金を科されてしまう可能性があるため注意しましょう。契約社員における社会保険について、それぞれの加入条件を次で解説します。
社会保険には、健康保険や厚生労働年金そして雇用保険や労災保険などがあります。ここでは各種社会保険における加入条件を解説し、契約社員が加入条件に当てはまるか確認していきます。
狭義での社会保険と呼ばれる健康保険と厚生年金保険において、加入は事業所単位でおこない、加入対象の事業所は「適用事業所」と呼ばれます。その適用事業所に常時労働者(フルタイム勤務など)として使用される労働者は、雇用形態にかかわらず被保険者となる義務があります。
フルタイムではない契約社員の場合でも、上記のとおり正社員の労働時間・日数の4分の3以上であれば社会保険に加入しなければなりません。
契約社員のなかでも、正社員の労働時間・日数の4分の3未満で働く方もいると思います。そのような短時間労働者の方であっても以下条件を満たす場合は社会保険への加入が必要です。
ちなみに社会保険が適用される企業規模要件である「101人以上」については、2024年10月から「51人以上」へと拡大されることが予定されています。
このように社会保険の加入条件はいくつかあります。もし「自分が加入対象か簡単に調べたい」「新たに雇用した従業員が加入対象となるのかわからない」といった場合は、以下の社会保険かんたんシミュレーターを参考としてご活用ください。
雇用保険とは、労働者の失業や再就職についての給付金などがもらえる保険制度であり、適用事業所に使用されるかつ以下をどちらも満たす労働者は加入対象となります。
31日未満の雇用見込みであっても、雇用契約書や就業規則などに契約更新の旨が明記されている場合は被保険者となるため必ず労使の双方が確認しておきましょう。
労災保険(労働者災害補償保険)とは、業務中や通勤途中に起こった事故などによって病気・障害・死亡を患ってしまった場合に給付をおこなう保険制度です。
労災保険は1人でも労働者を雇用する事業所であれば適用されるものとされており、保険料は全額事業主の負担となります。またここで言う労働者とは、雇用形態に関係なく事業主から使用される者かつ賃金を支払われる者です。
そのため契約社員であっても有期契約として企業に属しているのであれば労災保険の被保険者となり、万が一の事故に遭われてしまった場合は各種給付金を受けることができます。
企業は契約社員を雇用していくうえで、社会保険やその他の待遇についてよく理解しておく必要があります。
契約社員の中には「社会保険に加入したくない」と主張する方もいるかもしれません。ですが条件下の契約社員を未加入のままにさせると、罰則などを受けてしまいます。
罰則を受けるのは事業所であるため、契約社員の管理が大切です。もし罰則を受けてしまったらクライアントの信頼度や採用率などが下がるなどの影響が出るでしょう。具体的な罰則内容は「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
法令違反にならないためにも、社会保険に加入する義務があることやしっかりと伝えてあげることが大切です。
契約社員と正社員の違いについても理解しておく必要があります。大きく違うのは「無期契約か有期契約か」と「自主的な退社ができるかどうか」です。
特に退職について、正社員は事故都合で辞職することが可能ですが契約社員は原則としてやむを得ない事由が必要です。契約更新のタイミングで雇い止めなどがあれば、本人の意思を介さず退職する可能性もあるのが契約社員の特長です。
契約社員は、非正規雇用であり有期雇用契約で雇われる労働者のことを指します。数年単位での契約が一般的で、長期的に働く場合は都度契約更新をします。また、契約社員でも社会保険への加入義務が発生します。正社員と同様に各種条件を満たしている場合は被保険者となる必要があるため覚えておきましょう。
ただし短時間労働である場合がまた条件が異なるためそちらもチェックしておきましょう。契約社員を雇用する際、社会保険はもちろんそのほかの雇用形態との違いを明確に理解しておくと各種対応がスムーズに進められます。