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有期雇用契約とは?改正労働契約法や企業の対応、注意点まとめ

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人事労務管理人事労務管理の業務/手続き

2013年4月1日に施行された「改正労働契約法」により、有期雇用契約に関するルールが大きく変わりました。
この変更により、施行から5年後の2018年4月1日から、有期雇用契約者に無期労働契約への転換を申込む権利が発生する「2018年問題」が生じ話題になりました。
このように、契約社員やパートタイム・アルバイトなど、有期雇用契約者を雇用する場合に企業はどのような対応をとるべきなのか、雇用前に知っておきたい基礎知識や改正労働契約法で注意すべきポイントを解説していきます。

有期雇用契約とは

有期雇用契約とは、企業と労働者が労働期間を定めて労働契約を結ぶことをいいます。
労働基準法14条1項において、有期雇用契約の期間の上限は原則3年と定められています。
ただし、高度な専門的な知識や技術、または経験を有する者や、満60歳以上の者と有期労働契約を締結する場合、例外的に5年の契約期間が認められています。

【参考】改正労働基準法の概要 – 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/2003/11/dl/tp1111-1a.pdf

無期雇用との違い

有期雇用契約と無期雇用契約の違いは、以下のとおりです。

有期雇用契約 無期雇用契約
契約期間 原則3年 なし
給与 原則契約時に決めた給与のまま昇給しないことが多い 能力に応じて昇給の可能性がある
雇用の安定性 ×
契約更新月に打ち切られる可能性がある

契約更新する必要なし
福利厚生
正社員や無期雇用に比べて適応範囲が狭い

有期雇用の種類

契約期間が定められている有期雇用の種類には、以下のようなものが考えられます。

  • 準社員型契約社員
  • パートタイム・アルバイト型契約社員
  • 高度専門職型契約社員
  • 定年後の再雇用の場合の嘱託型契約社員

契約社員という名称ではなく、企業によっては「パートタイム・アルバイト」「臨時」「非常勤」「嘱託」という名称を用いるケースもあります。

【参考】「有期雇用契約」Q&A – 全労連・総合労働局
http://www.zenroren.gr.jp/jp/old/roudo/d_box/yuuki.html

試用期間と有期雇用契約の違い

有期雇用契約と試用期間は、明確に異なります。

有期雇用契約は、期間が満了したときに雇用契約が終了します。
しかしながら、契約期間中の勤務態度や勤務成績を鑑みて、無期契約社員や正社員として契約を結びなおすことができるため、優秀な人材を見極めることができるというメリットがあります。
ただし、求人の面では、雇用が不安定という理由から、そもそも優秀な人が集まりにくいというデメリットがあります。

一方、試用期間とは、正社員として採用されたが、社員の能力や適性を図るために設けられる一定の期間を指します。
問題がある社員の場合には、就業規則に試用期間中の解雇理由を定めておくことで、早期に本採用拒否の判断をしたり、もう少し様子を見たいという場合には試用期間を延長したりすることが可能です。

なお、有期雇用契約であっても、その契約が試用期間に相当すると判断された場合、通常の試用期間と同様の扱いとなり、期間満了という理由だけでは雇止めができなくなるケースがあります。(代表的な事例:神戸弘陵学園事件)
正社員の解雇と同様、「勤務態度に大いに問題があり、指導に反して改善が全く見られない」「業務命令や職務規律に重大な違反行為がある」などの合法的な解雇理由がない限り、本採用拒否は違法・無効となるので注意が必要です。

【参考】有期労働契約に関する判例・裁判例 – 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/07/s0712-4h.html

改正労働契約法による変更点

2013年4月1日に施行された「改正労働契約法」により、有期雇用契約に関するルールが3点変更されました。
改正労働契約法による変更点

【出典】労働契約法の改正について~有期労働契約の新しいルールができました~ – 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/index.html

以下、それぞれについて解説します。

無期労働契約への転換

2013年4月1日以後に開始した有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合、その契約期間の初日から末日までの間に、有期契約労働者には「無期労働契約への転換申込み」をする権利が発生します。
無期労働契約への転換

【出典】有期契約労働者の無期転換サイト – 厚生労働省
https://muki.mhlw.go.jp/

有期雇用契約者が無期労働契約への転換を申込んだ場合、企業は申込みを承諾したものとみなされるため、無期労働契約の締結を拒否することはできません。

「雇止め法理」の法定化

有期労働契約は、企業が更新を拒否した場合、契約期間の満了により雇用が終了します。
これを「雇止め」といいますが、労働者保護の観点から以下のケースでは無効となります。

  • 過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
  • 労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの

何度も契約を更新しており、実質的には無期雇用契約している状態と変わらないケースや、有期労働契約者が「契約が更新されるだろう」と思うに足る理由があったにもかかわらず、契約更新が行われなかったケースでは、従前と同一の労働条件で有期労働契約が更新されます。

【参考】Ⅱ「雇止め法理」の法定化 – 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/pamphlet06.pdf

不合理な労働条件の禁止

同じ企業で労働契約を締結している有期雇用契約者と無期雇用契約者の間の、不合理な労働条件の相違は禁止されています。
賃金や労働時間はもちろん、災害補償や服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生など、すべての労働条件に適用されます。

労働条件の相違が不合理だと判断されるポイントは、以下の3点です。

  • 職務の内容(業務の内容および業務に伴う責任の程度)
  • 当該職務の内容および配置の変更の範囲(転勤や昇進などの人事異動の範囲)
  • その他の事情(通勤手当、食堂の利用、安全管理など)

【参考】Ⅲ 不合理な労働条件の禁止 – 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/pamphlet07.pdf

また、2020年4月1日(中小企業は2021年4月1日)から、正社員と非正規社員の待遇格差をなくす目的の「同一労働同一賃金」も施行されます。
社内で、どのような不合理な労働条件があるのか、ゼロベースで確認を行ったうえで、対策が必要になります。

【参考】同一労働同一賃金特集ページ – 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

有期雇用契約への対応方法

企業は有期雇用契約者に対して、安定的な雇用関係を確保するため、以下のような点に配慮しなければなりません。

契約期間や更新の有無の明示

有期雇用契約者の募集時、または契約時には、書面または電子メールによって、契約期間に関する事項を明示しなければなりません。

また、労働者に対して「自動的に更新する」「更新する場合があり得る」「契約の更新はない」と更新の有無を明示し、更新時にはその判断基準を明示しなければなりません。
更新の判断基準には以下のようなものがあります。

  • 契約期間満了時の業務量
  • 労働者の勤務成績、態度
  • 労働者の業務を遂行する能力
  • 会社の経営状況
  • 従事する業務の進捗状況

なお、上記の事柄について、無用なトラブルを回避するためには、明示だけではなく、使用者および労働者の双方で契約内容について合意した証として、雇用契約書を締結しておくことをお勧めします。

雇用契約の遵守

有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができません。
また、労働契約の締結に際して、退職に関する事項(解雇の事由を含む)を書面にて明示しなければなりません。
解雇しようとする場合は、少なくとも30日前にその予告する必要があります。
以下の場合、退職する際に退職証明を交付しなければなりません。

  • 試用期間、業務の種類、事業における地位、賃金、または退職の事由について証明書を請求された場合
  • 解雇予告日から退職日までの間において、解雇の理由について証明書を請求された場合

労働条件の明示

労働者の募集を行う際は、業務内容、賃金、労働時間、そのほかの労働条件を明示しなければなりません。
以下の項目について、書面または電子メールにて交付する必要があります。

  • 労働契約の期間
  • 就業の場所、従事すべき業務の内容
  • 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日
  • 賃金の金額
  • 健康保険などの適用

また、労働契約を締結する際は、以下の項目を書面または電子メールにて明示しなければなりません。

  • 労働契約の期間
  • 就業の場所、従事すべき業務の内容
  • 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換について
  • 賃金(退職手当および臨時に支払われる賃金、賞与、そのほかこれらに準ずる賃金を除く)の決定、計算および支払いの方法、賃金の締め切りおよび支払いの時期について
  • 退職に関して(解雇の事由を含む)

パートタイム労働者を雇い入れた場合は、上記の事項に加え、下記も明示しなければいけません。

  • 昇給の有無
  • 退職手当の有無
  • 賞与の有無
  • 相談窓口

「契約期間や更新の有無の明示」と同様、明示事項は書面にまとめて、雇用契約書という形で契約を取り交わすことがトラブル回避につながります。

就業規則や制度の整備

有期雇用契約者を含め常時10人以上の労働者を雇用する企業は、就業規則を作成し、労働監督署に届け出なければなりません。
就業規則の作成・変更を行う際は、その事業場の過半数労働組合、または過半数代表者の意見を聞き、就業規則の届け出の際に添付する必要があります。

【参考】有期契約労働者を雇用する事業主の皆様へ- 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/other25/dl/01.pdf

有期雇用契約の注意点

有期雇用契約の雇用契約書には、契約期間を記載する必要があります。
期間を明示せず雇用した場合、「雇用期間の定めなし」ととらえられ、一定期間が過ぎたあとの雇用終了は認められません。
また、契約を更新する場合の条件など、明確な基準を示しておかないと、不法な契約打ち切りとして起訴される可能性があります。
企業は以下の点に注意して有期雇用契約を結びましょう。

契約期間中の解雇(契約解除)

契約期間中は、労働者の雇用を継続しなければなりません。
ただし、倒産や店舗閉鎖などにより雇用を維持する場所がないなど、やむを得ない理由があり契約を解除する場合は、労働基準法第20条に従って、30日前の予告、もしくはそれに代わる解雇予告手当を支払う必要があります。

【参考】「有期雇用契約」Q&A – 全労連・総合労働局
http://www.zenroren.gr.jp/jp/old/roudo/d_box/yuuki.html

契約の自動更新

契約を更新する際は、基本的に契約更新の有無を従業員に対して通知しなければなりません。
ただし、「期間満了時に異議がない場合は自動的に更新される」といった条項が契約に盛り込まれている場合、自動的に契約が更新されます。
このような契約がなくても、契約期間経過後に更新の手続きをすることなく働き続けていた場合、「黙示の更新」として契約が更新されたものとして扱われます。(民法第629条1項)
注意しなければならないのは、契約の自動更新の繰り返しです。
従業員に「同じ労働条件で期間の定めのない雇用契約が締結された」と誤解を与え、万が一の際の「雇止め」がしづらくなってしまいます。
トラブルを回避するためには、自動更新の条項にプラスして「ただし、労働条件見直しの可能性がある」という文言を追記しておくとよいでしょう。
また、自動更新であっても、更新の都度面談を行い、従業員と会社との意思確認の場を設けることも有効です。

雇止め

有期労働契約を更新しない場合、少なくとも契約期間満了の30日前までに、その予告をしなければなりません。
ただし、対象となる有期労働契約とは次のとおりです。

  • 有期労働契約が3回以上更新されている場合
  • 1年以下の契約期間の労働契約が更新または反復され、最初に労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合
  • 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合

社会保険などへの未加入

通常、雇い入れ日から社会保険への加入が必要となります。
例外として、週の所定労働時間および月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3未満、また、加入条件を満たしている場合であっても、業務の特性により繁忙期など、2カ月以内の期間を定めて臨時で雇用される有期雇用契約者であれば、社会保険などへ加入させる必要はありません。
なお、2カ月以内の雇用契約でも、「自動的に更新する」「更新する場合があり得る」など雇用継続を期待させる文言が更新条項にある場合は、社会保険に加入させる必要が出てきます。

まとめ

  • 有期雇用契約の期間の上限は原則3年と定められている。
  • 改正労働契約法により、「無期労働契約への転換」「雇止め法理の法定化」「不合理な労働条件の禁止」に関するルールが変更された。
  • 企業側は「契約期間や更新の有無の明示」「雇用契約の明示」「労働条件の明示」「就業規則や制度の整備」が求められる。
  • 契約期間中の解雇(契約解除)や契約の自動更新、雇止め、社会保険などへの未加入には注意が必要である。
ソビア社会保険労務士事務所 代表社労士/ホワイト財団 代表理事|五味田 匡功

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