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労災保険と雇用保険の加入条件とは?アルバイトは対象?それぞれの手続きの方法についても解説

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事業主のみなさま、労災保険の手続きはお済ですか?「うちは、忙しいときのアルバイトしかいない・・・」と言っても、労働者を一人以上雇用した場合は、原則として労災保険の手続きが必要になります。

また、週20時間以上雇用する従業員がいる場合は、あわせて雇用保険の手続きも必要になってきます。労災保険と雇用保険の手続きを合わせて労働保険の設立手続きといいます。ポイントを詳しく解説していきます。

この記事でわかること・結論

  • アルバイトの雇用保険と労災保険の加入条件について
  • 雇用保険の被保険者を雇った時の会社の対応
監修者
岡 佳伸

社会保険労務士法人岡佳伸事務所 代表 特定社会保険労務士
https://oka-sr.jp/

開業社会保険労務士として活躍。各種講演会(東京商工会議所練馬支部、中央支部、公益社団法人東京ビルメンテナンス協会)講師及び各種WEB記事執筆、日経新聞、女性セブン等に取材記事掲載、NHKあさイチ2020年12月21日、2021年3月10日にTVスタジオ出演。
特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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事業主が、一人でも人を雇った場合には、必ず労災保険に加入しなければなりません。

「労災保険」とは、雇用した労働者が業務上または通勤途中に災害に遭い、負傷・疾病、障害または死亡した場合に、労働者または家族に対する保護を目的とする保険で、手続きは「労働基準監督署」で行います。

また事業主は、雇用形態に関わらず31日以上の雇用見込みがあり、週の労働時間が20時間を超える労働者を雇用保険に加入させる義務も生じます。「雇用保険」とは、労働者が万が一失業した場合、また育児や介護で収入減の労働者への支援に備える社会保険の制度で、手続きは「公共職業安定所(ハローワーク)」で行います。

また、「労災保険」と「雇用保険」をまとめたものを「労働保険」と言い、この労働保険に加入する場合には、労働基準監督署または公共職業安定所に「保険関係成立届」を提出しなければなりません。


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労働保険の手続きとして、「保険関係成立届」を提出した後、適用事業所として毎年厚生労働省に労働保険料を納付することになります。

初回の労働保険料の算定基準は、保険関係が成立した日から該当年度の末日までに労働者に支払う見込の賃金総額に合わせて、労働保険料が決まります。

また、翌年度以降は、4月1日から3月31日までの1年間を単位とし、支払われた賃金をもとに保険料を精算し、新年度分の見込の賃金総額をもとに概算保険料を納付することになります。この確定保険料と見込の概算保険料の精算をし、労働局へ申告することを「労働保険の年度更新」と言います。

これは、毎年6月1日から7月10日までの間に行う必要があり、年度更新の時期になると、厚生労働省から「概算保険料申告書」が郵送されてきます。これを失念した場合には、政府が保険料を決定して、追徴金が課されることになりますので注意が必要です。

雇用保険の【適用事業所】になったらどうするの?

事業主は、31日以上の雇用見込みがあり、週の労働時間が20時間を超える労働者に対し、雇用保険に加入する義務があります。

初めて雇用保険の適用事業所になる場合には、「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を、労働者を雇入れた日から10日以内に、公共職業安定所に提出する必要があります。

その場合には、労働基準監督署に提出した「労働保険関係成立届」や出勤簿、労働者名簿、賃金台帳、雇用契約書などの提出も必要になってきます。


【雇用保険の被保険者を雇ったら】まずなにをするの?

2回目以降の雇入れで雇用保険に該当する労働者を雇入れた場合には、「雇用保険被保険者資格取得届」を雇入れ日の翌月10日までに提出する義務があります。

「雇用保険被保険者資格取得届」を提出すると、労働者に交付する「雇用保険被保険者証」、「雇用保険資格喪失届」と「雇用保険資格取得等確認通知書」、また事業主が保管するものとして「雇用保険被保険者資格取得確認通知書」が送られてきます。

「雇用保険被保険者証」は労働者が失業し、雇用保険の手続きを行う場合に必要になってくるので大切に保管するように説明してください。


【法人の場合は社会保険の手続き】も必要になるの?

公的年金制度である「厚生年金保険」と公的医療保険制度である「健康保険」をまとめたものを一般的に「社会保険」と呼んでいます。


この社会保険は、現在では、正社員ばかりでなく、パートやアルバイトの方でも、フルタイム労働者と比べ、1日の労働時間がおおむね4分の3以上かつ、月の労働日数が4分の3以上の場合、加入しなければなりません。

社会保険は、事業主と被保険者(労働者)が保険料をそれぞれ2分の1ずつ負担し、年金をもらえる時期、または保険証を使った医療の支払い等に給付が受けられる公的措置で、この手続きは年金事務所で行います。

また、全般的に労働保険、社会保険の手続きを自分でやる時間がない、知識がなく難しいなどの理由で社会保険労務士に一任し、報酬を支払って手続きしてもらう方も少なくありません。

まとめ

開業した際の手続きは多く、人事労務関連の手続きは忘れがちになります。しかし、労災保険の設立手続きを怠ると大変なことになる場合もあります。例えば、遡って労働保険料を徴収される他に、併せて追徴金を徴収されることもあります。

また、事業主が故意又は重大な過失により労災保険に係る保険関係成立届を提出していない期間中と認定されると、労働災害が起きて労災保険給付された場合には給付に要した費用の全部または一部を徴収されることもあります。忘れずに手続きをしましょう!



社会保険労務士法人岡佳伸事務所 代表 特定社会保険労務士 | 岡 佳伸
平成28年10月、社会保険労務士として開業。
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