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休業補償とは? 休業手当・傷病手当・傷病手当金との違い、給付要件・期間・手順から注意点までを徹底解説!

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業務上のケガや病気で出勤できなくなった場合、従業員は休業補償を受けることができます。この記事では、給付の要件や手続きの流れなど、休業補償に関する基礎知識を解説します。

この記事でわかること

  • 休業手当・傷病手当・傷病手当金との違い
  • 休業補償給付制度の支給要件・支給額・期間、手続きについて

休業補償とは

休業補償とは、業務または通勤による負傷・疾病の療養のため、仕事に就くことができなくなった従業員に対して支払われる補償全般です。企業は、労働契約を保ったまま従業員を休業させることが可能です。

「労働災害補償保険(以下、労災保険)法」の保険給付制度では、正社員や契約社員、パートタイム・アルバイトを含むすべての労働者が補償対象です。

ただし派遣社員の場合、派遣元事業主が加入する労災保険法の適用対象となります。

休業とは、従業員がなんらかの理由で業務を休むことを指します。業務または通勤による休業についての補償を含めて、以下の4つに分類できます。

休業の種類
労働災害による休業 勤務中の事故、または通勤中の事故などの療養により、業務をおこなうことができないことによる休業
自己都合による休業 上記以外の事故や病気による療養、産前産後の休暇や出産による育児休業、家族に要介護者が発生したことによる介護休業など
会社都合による休業 経営難による自宅待機や操業停止、設備不良など、会社側からの申し立てによる休業
天災事変による休業 地震や火事、水害、台風の影響など、会社を休まざるを得ない状況に陥ることによる休業


雇用調整助成金の活用について

会社都合や天平事変などやむを得ない事情による休業補償は、雇用調整助成金を活用します。

雇用調整助成金とは、景気の変動や消費動向の変化より事業の縮小を検討する企業が、余剰従業員に対して、休業・教育訓練・出向の3つの雇用調整をおこなうときに支給される助成金です。

2020年時点では、雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)が適用されています。


休業手当・傷病手当・傷病手当金について

業務や通勤とは関係性がないケガや病気による休業の場合、従業員は各社会保険による補償や手当を受けることができます。

休業手当、傷病手当、傷病手当金と休業補償との違いをまとめました。

休業補償 休業手当 傷病手当 傷病手当金
社会保険 労災保険 (賃金としての扱い) 雇用保険 健康保険
受給額 給付基礎日額の80%
(うち休業特別支援金部分20%)
平均賃金の60%以上 賃金日額の45~80% 標準報酬日額の3分の2
受給期間 休業の4日目から休業が続く間 休業期間中 本来基本手当を受けられる日数 支給開始日から最長1年6カ月
従業員側の申請 必要 不要 必要 必要
所得税 対象外 対象 対象外 対象外

休業手当とは

休業手当とは、経営悪化やストライキなど、使用者の責任により休業が発生した場合に、使用者から労働者へ支給される手当です。近年、頻発している自然災害などによる従業員への自宅待機命令や帰宅命令も同様に、会社命令で休業させた場合は手当の支給が必要です。

傷病手当とは

傷病手当とは、離職後ハローワークへ求職の申し込みをした後、ケガや病気のために15日以上続いて職業に就くことができないときに支給される手当です。

傷病手当の支給額

賃金日額の45~80%
原則、離職した日の直前6カ月に毎月決まって支払われていた賃金の合計÷180

傷病手当金とは

傷病手当金とは、業務外の傷病のため仕事ができず、収入が減少したときに支給される手当です。

傷病手当金の支給額

支給額は1日につき、標準報酬日額の3分の2に相当する金額です。

標準報酬日額とは、従業員の保険料を決定する基礎となる標準報酬月額の30分の1に相当する金額です。
標準報酬月額とは、4〜6月の3カ月間に支払われた給与の平均額を、「標準報酬月額表」の等級区分にあてはめた金額です。

傷病手当金の支給期間

休業開始後4日目から休業が終了するまで
休業開始1〜3日目は「待期期間」といい、傷病手当金は支払われません。待期期間は継続した3日間である必要があり、休日もカウントされます。

傷病手当金の支給を開始した日から最長で1年6カ月支給されますが、1年6カ月の時点で障害が残っている場合、国民年金や厚生年金の障害年金を申請できることがあります。

休業補償給付制度について(支給要件・支給額・期間)

勤務時間中のケガや病気による休業に対する補償としての休業補償給付制度を解説します。

休業補償の給付制度

  • 休業補償給付:業務中に起こった災害が原因の場合に給付
  • 休業給付:通勤中に起こった災害が原因の場合に給付

今回は従業員が業務上の負傷・疾病による療養で、業務に携わることができない場合、生活保障として一定額が支給される休業補償給付について詳しく解説します。

すべての要件を満たした場合にのみ支給されます

休業補償は、療養のために休業をしている期間を補償する制度です。
そのため、療養中は支給対象ですが、負傷や疾病が治った後、外科後処置のために休む期間は補償期間に含まれません。

また、休業補償は働くことができない状態に陥っている期間に適用されます。
休業前の業務ができなくても、軽易な作業が可能で出社できる場合は、給付を受けることができません。

さらに休業中の従業員に対して、企業が賃金を支払っていない状況でなければなりません。
賃金支払いがまったくない期間に加え、全部労働不能の期間(平均賃金の60%未満の金額を支払った期間)も含む

休業補償の支給金額は、1日単位で計算され、「全部労働不能」と「一部労働不能」とで異なります。

休業補償の支給額について
全部労働不能の場合 所定労働時間のすべての業務に就労できない場合、一日あたり給付基礎日額の60%が支払われます。
一部労働不能の場合 病院への通院など、所定労働時間の一部分に就労できない場合、給付基礎日額から労働した部分に支払われる賃金額を引いた金額の60%が支払われます

給付基礎日額とは平均賃金(直前3カ月間の賃金÷3カ月間の歴日数)に相当する金額
同時に一定金額が上乗せ支給される休業特別支援金として20%が支給されます。

休業補償給付の支給期間

休業補償給付の支給期間は、休業開始後4日目から休業が終了するまで
傷病補償年金の受給に切り替わった場合、傷病補償年金の支給がおこなわれるため、休業補償給付は支給されません。

休業開始1〜3日目は「待期期間」といい、休業補償および休業特別支援金は支払われません。
待期期間は継続した3日間である必要はなく、休日はカウントされません。
待期期間中、企業は従業員に対し、給付基礎日額の60%を支払う必要があると労働基準法第76条で定められています。

休業補償給付の手続き

休業補償給付を受けるまでの手続きには1~2カ月程度かかります。

休業補償の注意点

休業補償給付は、休業補償給付の受給資格者が指定された条件に該当する場合、支給の制限または支給額が減額されます。

そのほかにも、休業補償給付と有給休暇による賃金の併用はできません。
有給休暇を取得した場合、休業補償給付は支給されません。

従業員が受任者払い制度を利用する場合、手続きに必要な委任状や届出書は、必ず立て替え払いが終わってから記入してもらいます。
手続きが前後すると、労働トラブルに発展する可能性があります。

休業補償給付:まとめ

休業補償給付は労働災害だけでなく、会社都合や天変地異など休業を余儀なくされる場合に活用できる、労働者の雇用保護を目的とした給付制度です。

事由などにより、日本政府が特例措置を実施することもあります。休業補償だけでなく、労働者の休業事由に応じて、適切な補償制度を活用しましょう。

記事監修
ソビア社会保険労務士事務所 代表社労士/ホワイト財団 代表理事|五味田 匡功

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