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休業補償とは?基礎知識や給付の内容・手順・注意点などを解説します!

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人事労務管理人事労務管理の業務/手続き

業務上のけがや病気で出勤できなくなった場合、従業員は休業補償を受けることができます。
従業員に「もしものこと」があったとき、どのような場合に休業補償が受けられるのでしょうか。
この記事では、給付の要件や手続きの流れなど、休業補償に関する基礎知識を解説します。

休業補償とは

休業補償とは、業務または通勤による負傷・疾病の療養のため、仕事に就くことができなくなった従業員に対して支払われる補償のことです。企業は、労働契約を保ったまま従業員を休業させることが可能です。

「労働災害補償保険(以下、労災保険)法」の保険給付制度では、正社員や契約社員、パートタイム・アルバイトを含むすべての労働者が補償対象です。
ただし派遣社員の場合、派遣元事業主が加入する労災保険法の適用対象となります。

休業の定義・意味

休業とは、従業員がなんらかの理由で業務を休むことをいいます。業務または通勤による休業についての補償を含めて、以下の4つに分類できます。

休業手当・傷病手当・傷病手当金との違い

業務や通勤とは関係性がないけがや病気による休業の場合、従業員は各社会保険による補償や手当を受けることができます。
「休業手当」、「傷病手当」、「傷病手当金」などがあり、「休業補償」との違いは以下のとおりです。

休業補償 休業手当 傷病手当 傷病手当金
保険 労災保険
(賃金としての扱い)
雇用保険 健康保険
受給額 給付基礎日額の80%
(内休業特別支援金部分20%)
平均賃金の
60%以上
賃金日額の
45~80%
標準報酬日額の
3分の2
受給期間 休業の4日目から
休業が続く間
休業期間中 本来基本手当を
受けられる日数
支給開始日から
最長1年6か月
従業員側
の申請
必要 不要 必要 必要
所得税 対象外 対象 対象外 対象外

休業手当とは

休業手当とは、経営悪化やストライキなど、使用者の責任により休業が発生した場合に、使用者から労働者へ支給される手当のことです。近年、頻発している自然災害などによる従業員への自宅待機命令や帰宅命令も同様に、会社命令で休業させた場合は手当の支給が必要となります。
休業期間中であっても、以下の期間は対象外となります。

  • 休業期間中の休日(公休日や就業規則で定められた休日)代休日
  • 解雇予告期間中(自宅待機や解雇予告期間中は労働をさせない)
  • 使用者が労働者への労務拒否(ロックアウト:作業所の閉鎖)

傷病手当とは

雇用保険の傷病手当は、離職後ハローワークへ求職の申し込みをした後、けがや病気のために15日以上続いて職業に就くことができないときに支給されます。
支給額は、賃金日額(※1)の45~80%です。

1:原則、離職した日の直前6か月に毎月決まって支払われていた賃金の合計÷180

傷病手当金とは

健康保険の傷病手当金とは、業務外の傷病のため仕事ができず、収入が減少したときに支給されます。
支給額は1日につき、標準報酬日額(※2)の3分の2に相当する金額です。

2:標準報酬日額とは、従業員の保険料を決定する基礎となる標準報酬月額(※3)の30分の1に相当する金額

3:4〜6月の3か月間に支払われた給与の平均額を、「標準報酬月額表」の等級区分にあてはめた金額

傷病手当金が支給される期間は、休業開始後4日目から休業が終了するまでです。
休業開始1〜3日目は「待機期間」といい、傷病手当金は支払われません。待機期間は継続した3日間である必要があり、休日もカウントされます。

支給を開始した日から最長で1年6か月支給されますが、1年6か月の時点で障害が残っている場合、国民年金や厚生年金の障害年金を申請できることがあります。

休業補償の給付内容

ここまで、勤務時間外のけがや病気による休業に対する補償として「休業手当」、「傷病手当」、「傷病手当金」を解説しました。
ここからは、勤務時間中のけがや病気による休業に対する補償としての「休業補償」について、詳しい内容を解説します。

休業補償の給付制度には、以下2種類があります。

  • 「休業補償給付」:業務中に起こった災害が原因の場合
  • 「休業給付」:通勤中に起こった災害が原因の場合

ここでは、従業員が業務上の負傷・疾病による療養で、業務に携わることができない場合、生活保障として一定額が支給される「休業補償給付」について詳しく解説します。

支給の要件

休業(補償)給付は、以下3つの要件をすべて満たした場合のみ支給されます。

  • 療養していること

    休業補償は、療養のために休業をしている期間を補償する制度です。
    療養中は支給対象ですが、負傷や疾病が治った後、外科後処置のために休む期間は補償期間に含まれません。

  • 労務不能であること

    休業補償は、働くことができない状態に陥っている期間に適用されます。
    以前の業務ができなくても、軽易な作業が可能で出社できる場合は、給付を受けることができません。

  • 賃金の支払がないこと

    休業中の従業員に対して、企業が賃金を支払っていない状況(※4)でなければなりません。

    4:賃金支払いがまったくない期間に加え、全部労働不能の期間(平均賃金の60%未満の金額を支払った期間)も含む

支給金額

休業補償の支給金額は、1日単位で計算され、「全部労務不能」と「一部労務不能」によって異なります。

  • 全部労務不能の場合

    所定労働時間のすべての業務に就労できない場合、一日あたり給付基礎日額(※5)の60%が支払われます。

  • 一部労務不能の場合

    病院への通院など、所定労働時間の一部分に就労できない場合、給付基礎日額から労働した部分に支払われる賃金額を引いた金額の60%が支払われます。

    5:平均賃金(※6)に相当する金額

    6:直前3か月間の賃金÷3か月間の歴日数

また同時に、一定金額が上乗せ支給される「休業特別支援金」として、20%が支給されます。

支給期間

休業補償給付が支給される期間は、休業開始後4日目から休業が終了するまでです。
傷病補償年金の受給に切り替わった場合、傷病補償年金の支給が行われるため、休業補償給付は支給されません。

また、休業開始1〜3日目は「待機期間」といい、休業補償および休業特別支援金は支払われません。待機期間は継続した3日間である必要はなく、休日はカウントされません。
待機期間中、企業は従業員に対し、給付基礎日額の60%を支払う必要があると労働基準法第76条で定められています。

【参考】休業(補償)給付 傷病(補償)年金の請求手続-厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-13-02.pdf

給付を受けるまでの手順

休業(補償)給付を受けるまでの手順は、以下のとおりです。

  1. 企業が「休業補償給付支給請求書(兼休業特別支給金支給申請書)」に会社情報や被災労働者の情報、事故時の状況、平均賃金の算定内訳を記入し、被災従業員へその請求書を送付します。
  2. 被災従業員が、診察を担当する医療機関の証明を受け取り、委任状とともに労働基準監督署へ送付します。
  3. 一定期間後に、監督署からの支給決定通知が届きます。
  4. 休業(補償)給付として、いくら支払われるかが判明します。
  5. 厚生労働省より、給付金が支払われます。

なお、手続きには1~2か月程度かかります。

休業補償の注意点

休業補償に関して、注意すべき点をいくつか紹介します。

支給を制限する条件がある

休業(補償)給付の受給資格を持つ従業員が以下の状態に陥った場合、支給を制限されます。

  • 刑務所や相当する施設などに拘禁されている状態
  • 少年院や準ずる施設に収容されている状態

また、以下の場合には支給金額が減額されます。

  • 故意に犯罪を起こそうとした際に発生した病気やけが、死亡事故の場合:30%減額
  • 療養中に正当な理由なく、医師の指示に従わずに病気やけがが悪化するなど、療養が長引いている場合:休業補償1件につき10日分減額

休業補償と有給の賃金は二重取りできない

休業(補償)給付と有給の賃金は二重取りできません。

休業(補償)給付は、休業特別支援金と合わせても、給付基礎日額の80%までの補償です。
給与を下げたくない場合、有給を利用することもよいでしょう。
しかし、有給を取得した場合、休業補償はもらえません。
有給はいざというときに残しておき、労災による療養中は休業補償をもらうのが無難です。

書類の作成手順に注意

従業員が労災保険から受け取る給付金を、企業が従業員に立替払いをする「受任者払い制度」を利用する場合、手続きに必要な「委任状」や「届出書」は、必ず立て替え払いが終わってから書いてもらうようにしてください。
「お金を受け取っていないのに、書類を書かされた」など、従業員の不信感が募り、労働基準監督署に通報されるケースもあります。
くれぐれも書類には嘘がないよう注意しましょう。

まとめ

  • 休業補償は、正社員や契約社員、パートタイム・アルバイトを含むすべての労働者が対象である。
  • 休業補償の給付は、業務中に起こった災害が原因の「休業補償給付」と、通勤中に起こった災害が原因の「休業給付」がある。
  • 休業補償給付の手続きには、1~2か月程度がかかる。
  • 休業補償給付と有給の賃金は二重取りできない。
ソビア社会保険労務士事務所 代表社労士/ホワイト財団 代表理事|五味田 匡功

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