この記事でわかること
- 傷病手当金の概要と申請の流れ
- 傷病手当金支給申請書のそれぞれの記入例
- 組合健保はAPI対応の人事・労務ソフトが必要
業務外の病気やケガで就業ができず、給与が受け取れない場合、傷病手当金の申請が可能です。傷病手当金の申請は、一般的に事業主がおこないます。そのため、労働者が傷病手当金の受給を希望した場合、適切に対応しなければなりません。
また、傷病手当金の申請は電子申請が可能です。今回は傷病手当金の申請の流れから傷病手当金支給申請書のすべての記入例、健康保険関連手続きの電子申請まで解説します。
この記事でわかること
なんば社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士
https://www.namba-office.osaka.jp/
ワークスタイルコーディネーター。社会保険労務士
社会保険労務士の中でも10%に満たないと言われる助成金を専門に手掛けるの社会保険労務士。
健康保険傷病手当金支給申請書とは、傷病手当金の受給申請に必要な書類です。
業務外での病気やケガによって、就業ができない労働者から報告があったら、事業主は傷病手当金支給申請書をダウンロードし、被保険者(労働者)に必要事項の記入をお願いし、加入する保険者(協会けんぽや組合健保)に申請します。
傷病手当金とは、病気やケガによる休業中に被保険者とその家族の生活を保障する制度です。会社を連続して休んだ3日間(待期期間)を経て、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます(任意継続被保険者には支給されません)。
最長1年6カ月の受給が可能で、以下の要件をすべて満たす健康保険の被保険者が受給できます。
傷病手当金の支給要件
傷病手当金の受給額は以下の計算式で算出します。
1日あたりの金額=直近12カ月の標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2(休業した日単位で支給)
傷病手当金の申請は、事業主(企業)がおこなうことが一般的です。申請は以下の流れでおこないます。
傷病手当金の申請の流れ
該当の傷病が「ケガ」の場合、負傷原因届が必要です。その他にも、以下の条件に該当する場合、それぞれ添付書類が必要です。
申請時に必要な書類に不備がないかを確認しましょう。
申請に必要な書類について | |
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必要書類 | ・傷病手当金支給申請書 ・療養担当者(医師)の意見書 ・年金証書のコピー(※) ・年金額改定通知書のコピー(※) ・休業補償給付支給決定通知書のコピー(※) 初回申請時および変更が生じた都度 |
添付書類 | ・外傷の場合:負傷原因届 ・交通事故等第三者行為の場合:第三者の行為による傷病届 ・被保険者死亡の場合:(除籍)戸籍謄本又は戸籍抄本 ・被保険者のマイナンバーを記載した場合:本人確認書類(マイナンバーカード) マイナンバーカードを持っていない場合は、住民票や住民票記載事項証明書、運転免許証・パスポートのコピーが必要です |
支給申請後、審査がおこなわれ、支給が決定した場合は支給決定通知書が送付されます。
傷病手当金の申請は電子申請が可能です(その他、窓口・郵送でも可)。
特定の法人は、健康保険の一部手続きにおいて、電子申請が義務化となっています。
大企業の利用比率が多い健保組合はAPIに対応した人事・労務ソフトの利用が不可欠です。「オフィスステーション」では、健保組合、協会けんぽともに電子申請で対応が可能です。
傷病手当金支給申請書は被保険者(2枚)、事業主(1枚)、療養担当者(1枚)が記入する用紙があります。
被保険者用記入用紙は全部で2枚あります。
1枚目には被保険者情報、振込先指定口座、受取代理人(被保険者が申請できない場合に記入します)
被保険者の記入項目(1枚目)
2枚目には申請内容、確認事項をそれぞれ記入します。
被保険者の記入項目(2枚目)
労災保険の休業補償給付や健康保険の資格を喪失している、公的年金(老齢退職年金、障害基本年金)を受給している場合、支給停止(支給調整)がおこなわれる場合があります。
事業主用記入用紙(3枚目)には、事業主が証明するべき項目(被保険者氏名や勤務状況、事業者情報)を記入します。
事業主の記入項目(3枚目)
療養担当者(医師)用記入用紙(4枚目)には、患者氏名や傷病名、発病または負傷の年月日を記入します。
療養担当者の記入項目(4枚目)
傷病手当金の申請は、一般的に事業主がおこないます。
労働者が傷病手当金の受給を希望する場合、傷病手当金支給申請書のダウンロードし必要事項の記入、申請まで適切に対応しましょう。
傷病手当金は、老齢基礎年金や休業補償給付、出産一時金を受給している場合、支給停止(支給調整)になる場合があります。
また、特定の法人は健康保険の一部手続きが電子申請義務化となっています。
健保組合はAPIに対応した人事・労務ソフトの利用の場合のみ、電子申請が可能です。