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通勤災害は労災保険で対応! 通勤中の事故への対応や申請手続き、補償を解説!

通勤災害は労災保険で対応! 通勤中の事故への対応や申請手続き、補償を解説!

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通勤途中に交通事故に遭ってしまった場合、労災保険給付をうけることが可能です。
通勤災害が発生した場合、就業場所に通勤するための合理的な経路であったかが労災保険適用の焦点となります。

自動車通勤で交通事故に遭った場合も、同様の考え方で労災保険給付を受けることができます。

今回は人事・労務担当者が通勤災害(交通災害)で労災保険を適用する際の対応方法や申請手続き、補償内容を解説します。

この記事で分かること

  • 労災保険の請求に必要な事業者と従業員の手続き方法
  • 自動車事故を想定した自賠責保険と労災保険の補償内容の比較
監修者
難波 聡明

なんば社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士
https://www.namba-office.osaka.jp/

ワークスタイルコーディネーター。社会保険労務士
社会保険労務士の中でも10%に満たないと言われる助成金を専門に手掛けるの社会保険労務士。

通勤災害は労災保険で対応可能

通勤災害は労災保険で対応可能

通勤途中に事故に遭ってしまった場合、労災保険が適用されます。

労災保険を適用する場合、就業場所に通勤するための合理的な経路である必要があります。

対象者は正社員や契約社員、嘱託社員、アルバイトやパート、日雇い労働者を含むすべての従業員となります(海外派遣者・代表権・業務執行権を有する役員は適用外)。

労災保険の適用・不適用の事例
労災保険の
適用可否
事例
適用 ・会社に届け出ている通勤経路(就業場所と自宅の往復)で事故に遭った
・社用車で取引先に向かう途中で事故に遭った
・早退し、病院で診察を受けた帰りに事故に遭った 等
適用外 ・会社に届けている通勤経路から大幅に外れている場合
・休日中に事故に遭った場合
労災保険と自賠責保険の併用はできません

自動車事故の場合、相手が加入している自賠責保険を適用することができます。労災保険を適用する場合、支給調整が発生しますが、併用が可能です。

労災保険の申請手続き

労災保険の申請手続き

交通災害が発生し、労災保険を適用するためには、事業者、従業員双方の手続きが必要です。

労働災害(労働事故)が発生し、従業員が休業または死亡した場合、事業者は遅延なく労働者死傷者報告を労働基準監督署長に提出します。

一方で、労働者が療養補償給付や休業補償給付、そのほかの保険給付を受けるためには、従業員自身で労災保険を申請します。


 

労災保険と自賠責保険の補償内容

労災保険と自賠責保険の補償内容

労災保険と自賠責保険の補償内容はそれぞれ異なります。

労災保険と自賠責保険の補償額
保険 補償内容 休業が必要な場合
労災保険 上限なし
治療費を全額負担
休業補償が適用
自賠責保険 傷害事故:120万円が上限
死亡事故は上限3,000万円まで、後遺障害は等級により4,000万円が上限
損害額が上限を超えた場合、残額を加害者に請求
休業損害が適用

怪我による休業が必要な場合、労災保険では休業補償が適用され、自賠責保険では休業損害が適用されます。

休業補償と休業損害の補償内容
項目 労災保険 自賠責保険
適用 休業補償 休業損害
対象期間 休業開始の4日目から支給 交通事故が原因で休業した期間
医師の指示による休業期間であること(自己判断による休業は不可)
計算方法 給与基礎日額(事故前3カ月の1日あたりの平均給与)の60%×休業日数 1日あたりの基礎収入額×休業日数
ボーナス・有給休暇について 休業特別給付金(給与基礎日額の20%を加算)が支給
労働基準法第12条の賃金に該当する場合
休業によるボーナス減額や治療を目的に有給休暇を消化した場合、請求が可能

給付基礎日額とは、直近3カ月に支払われた給与を日数で割った金額

自賠責保険や任意保険では、保険会社による鑑定が入り、過去の交通災害の判例を参考に補償額を決定します。

また、被害者である従業員の過失が7割以上の場合、補償金が減額される恐れがあります。

そのため、交通災害に遭った場合は労災保険を活用しましょう。

労災保険は自賠責保険よりも補償内容が手厚い場合が多く、補償金の減額の心配が少ない
被災者にとって、必ずしも労災保険の方が有利なわけではありません


自賠責保険と休業特別支給金の併用は可能

自賠責保険と休業特別支給金の併用は可能

労災保険では、休業補償の「給付基礎日額の6割」に加えて、休業特別支援金(給付基礎日額の2割加算)を受給できます。

一方で、自賠責保険から保険金の支払いを受けた場合も、休業特別支援金の受給が可能です。

自賠責保険を適用させた場合、労災保険は控除扱いされますが、休業特別支援金は控除対象にならず、基礎給付日額の2割を受け取れます。

休業特別支援金を活用する場合、労働基準監督署で申請をおこないます。

通勤災害:まとめ

従業員が自動車事故を含む通勤災害(交通災害)に遭った場合、労災保険を適用しましょう。

任意加入の自動車保険や特約を付加している人身傷害保険に加入している場合、相手方の自賠責保険や任意保険から保険金の支払いを受けるか、または、労災保険給付を受けるかは被災者が自由に選択することができます。

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