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雇用保険と社会保険の違いとは?加入条件と保障内容を比較して解説!

雇用保険と社会保険の違いとは?加入条件と保障内容を比較して解説!

監修者:労務SEARCH 編集部
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社会保険やその総称のなかに含まれる雇用保険は、会社勤めの方や公務員などが加入する保険です。会社側は労働者を社会保険・雇用保険に加入させることが義務づけられています。

その証拠に、会社員の方は毎月の給与から社会保険料が差し引かれているでしょう。では社会保険や雇用保険とはどういった内容なのでしょうか。また、社会保険や雇用保険それぞれの違いについても知っておきたいところです。

この記事では社会保険や雇用保険の違いについて、基本的な概要から加入条件と保障内容を解説していきます。

雇用保険とは

雇用保険とは

雇用保険とは、社会保険に含まれる保険のひとつであり、主に失業した労働者の再就職支援を目的とした保険です。狭義での社会保険を説明する際は、雇用保険と労働者災害保険を合わせて「労働保険」と呼ばれることもあります。

雇用保険のなかには失業給付金はもちろん、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するための傷病手当金も含まれており、総合して被保険者が就労困難になったときにサポートしてくれる保険という位置づけになります。

厚生労働省のWebサイトでは、雇用保険の概要や目的について以下のように記載しています。

働いている人が失業したときや、職業訓練を受けている場合は失業給付を受けることができます。また、子供の療養で育児休暇を取得している場合、雇用保険の被保険者であれば一定範囲内で「育児休業給付金」を受けることが可能です。

そうすることで、労働者が再就職するための能力開発や向上が図れます。保険者である会社側は、公共職業安定所(ハローワーク)へ届出を提出する必要があるため忘れずに対応しましょう。

社会保険とは

社会保険とは

社会保険とは加入している労働者や被扶養者の生活を保障するための公的な制度です。「相互扶助」の理念に基づいて、国民同士がお互いに助け合えるような仕組みの制度として設けられています。

もっと細かく言うと、国民の安心や生活の安定を支えるセーフティネットである「社会保障制度」というなかに社会保険が含まれます。ほかには、社会福祉・公的扶助・保険医療/公衆衛生などが社会保障制度に含まれます。この制度は生涯にわたり私たちをサポートしてくれるため覚えておきましょう。

社会保険は、具体的に以下のようなあらゆる労働災害で被る困難に対しての支援を目的としています。

病気やけがなどをはじめとして、失業に関しても社会保険の範囲内となります。つまり、実は先述した雇用保険は社会保険のひとつに含まれていることになります。ほかにも種類があるため、社会保険に属する保険をまとめて紹介します。

社会保険には、上記5つの種類があります。社会保険を広義・狭義で説明する場合は以下のように分類されます。

広義での社会保険:5種類
狭義での社会保険 労働保険
医療保険(健康保険)
介護保険
厚生年金保険
雇用保険
労働者災害保険

労働者災害保険以外の社会保険料に関しては、加入している被保険者と使用者である会社が折半するかたちで負担します。給与明細で社会保険料や厚生年金保険料という表記を見たことがある人は多いでしょう。

雇用保険と社会保険の違い

雇用保険と社会保険の違い

雇用保険と社会保険は、どちらも私たちをあらゆる困難から支援してくれるという制度という意味では共通しています。

しかし、雇用保険と社会保険の基本的な性質を理解すると大きく異なっていることが分かります。両者の違いを見ていきましょう。

雇用保険と社会保険は、似たような意味合いではありますがそもそも制度としての目的が異なります。目的が異なるため、保険の対象者も異なります。

「社会保険」はすべての国民に対して年金・医療費などの支援をする目的があります。対して「雇用保険」は労働者に対して失業・労働災害などの支援をする目的があります。

また、雇用保険は社会保険の5種類に含みますが、前項の表で説明したようにどちらかと言えば労働保険に分類されます。雇用保険は「失業・休業に関連する保障」であるため、「医療介護・年金」などを含む社会保険とは補償内容が異なります。

雇用保険と社会保険の加入条件

雇用保険と社会保険の加入条件

雇用保険と社会保険の加入条件について、それぞれ詳しく見ていきます。

雇用保険の加入条件

労働者のなかでも、以下2つが雇用保険の加入条件となります。ちなみに、パートタイム・アルバイトの方でも条件を満たしていれば雇用保険への加入が可能です。

上記を満たしている場合は雇用保険で受けられる給付金を受給することができます。雇用保険でもらえる給付金には種類があるため簡単に紹介します。

退職から再就職までの支援や、そのあいだの職業訓練での支援、そして就労継続の給付金まで用意されており労働に関する手厚い保障内容となっています。

それぞれの給付金ごとにもさらに給付条件があります。気になることがある場合は、ハローワークに行くことで教えてもらえるため積極的に訪れてみても良いでしょう。

社会保険の加入条件

社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入義務は事業所単位で適用が決まり、そのうえで条件を満たしている労働者が社会保険の被保険者となります。

社会保険の加入を義務づけられている事業所は特長によって、

に分けられます。簡易的にそれぞれの事業所の特長を見ておきましょう。

強制適用事業所
・すべての法人事業所
・個人事業所(ただし対象事業であり、常時5人以上従業員を使用する場合)
任意適用事業所
強制適用事業とならないもので、厚生労働大臣(日本年金機構)の認可のもと厚生年金保険・健康保険の加入が適用される事業所。

社会保険への加入を検討している場合は、まず上記どちらかの適用事業所に所属しているかどうかを確認しましょう。もし適用事業所に所属しているとなった場合は、次に労働者個人に対する社会保険の加入条件を見ていきます。

正社員や法人役員の場合
以下をすべて満たすことが条件
・週の所定労働時間が20時間以上
・勤務期間が1年以上見込まれること
・月額賃金が8.8万円以上
・学生以外
・従業員501人以上の企業に勤務していること
アルバイトなど短時間労働者の場合
・週30時間未満であっても、同じ事業所の正社員の1週間の所定労働の4分の3以上働いていること

基本的に正社員であれば、ほとんどの方が社会保険に加入します。パートタイム・アルバイトの方は、条件を満たしていれば社会保険への加入が認められます。

社会保険の被保険者を希望するならば、まずは自身が働いている企業が適用事業所かどうかを判断するところから始めましょう。

まとめ

雇用保険は社会保険のひとつとして分類されているため、意味合いはとても似ています。しかし、雇用保険は失業や労働に関する保障内容であり、社会保険は年金や医療などの保障内容であるため大きく異なります。

また、加入条件や加入対象なども違うためよく確認しておきたいポイントです。パートタイム・アルバイトの方でも社会保険に加入できるケースがあります。

雇用保険や社会保険でもらえる給付金はとてもありがたく、いざというときの生活保障になります。正しく理解して、雇用保険と社会保険の制度をきちんと活用しましょう。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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