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75歳以上の後期高齢者の値上げで保険料は毎月いくら?計算方法についてわかりやすく解説

75歳以上の後期高齢者の値上げで保険料は毎月いくら?計算方法についてわかりやすく解説

監修者:蓑田 真吾 みのだ社会保険労務士事務所
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この記事の結論

  • 2022年10月から、一部の後期高齢者(75歳以上)の保険料の自己負担割合が2割に
  • 今後は2024年・2025年と2年かけて、75歳以上の保険料が引き上げられる
  • 保険料引き上げの対象となるのは、2024年に年収211万超・2025年に年収153万超の方

75歳以上の後期高齢者は、それまで加入していた社会保険や国民健康保険から「後期高齢者医療制度」に自動的に切り替えられます。

そんな後期高齢者医療制度は法律改正に伴い、2022年10月1日から一部の加入者の保険料が引き上げられることが決定しました。そして2023年5月にも再び法改正が実施され、2025年までに保険料の段階的な引き上げが決定しています。

この記事では後期高齢者医療制度の改正内容をはじめとして、制度の概要や75歳以上の健康保険料の計算方法などを解説します。

後期高齢者医療制度とは?

後期高齢者医療制度とは?

後期高齢者医療制度とは

2008年4月から創設された、主に75歳以上の方を対象とした医療制度です。ただし、特定の障害をもつ方については65歳以上から対象となります。

75歳になった方は、これまで加入していた社会保険や国民健康保険から自動的に後期高齢者医療制度に移行されます。後期高齢者医療制度への移行のために、特別な手続きは必要ありません。

後期高齢者医療制度の目的

後期高齢者医療制度が創設された背景としては、日本国内の急速な高齢化が挙げられます。

日本では2010年に65歳以上の高齢者の割合が人口の23%を超え、超高齢社会を迎えました。また、2022年10月1日時点で75歳以上の人口が1,849万人と人口の14.7%に達しています。

高齢化が進み医療費が年々増加していくなかで、保険制度を持続していくために後期高齢者医療制度が創設されました。現役世代と高齢者世代の費用負担を明確にし、都道府県ごとの医療費水準に応じた保険料を高齢者全員で公平に分担することを目指しています。

また、保険料の徴収先と運営先を都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合に一元化し、財政・運営責任も明確化されました。

後期高齢者医療制度の財源

後期高齢者医療制度の財源は患者の自己負担を除くと、下記の3つで構成されています。

後期高齢者医療制度の財源

  • 現役世代からの支援(保険料)
  • 公費(国・都・区市町村)
  • 後期高齢者の保険料

なお公費については、国・都・区市町村がそれぞれ4対1対1の割合で負担しており、後期高齢者の保険料は所得に応じて、負担割合が1割・2割・3割にわかれます。

2025年までに後期高齢者医療制度の保険料の段階的な引き上げが決定

2008年4月から創設された後期高齢者医療制度ですが、2022年に法律の改正がおこなわれ保険料が見直されました。

2023年に再び法改正!2025年までに保険料引き上げ

そして2023年5月に改正健康保険法が成立したことにより、75歳以上も出産育児一時金の支給費用の一部を新たに負担することになりました。そのため2025年までに、75歳以上の高所得者の保険料を段階的に引き上げることが決まっています。

75歳以上の保険料が2年かけて引き上げに

後期高齢者医療制度の保険料の引き上げの対象となるのは、以下の条件を満たす75歳以上の方です。

2024年・2025年の保険料引き上げ対象者

  • 2024年度で年金収入が211万円を超える方
  • 2025年度で年金収入が153万円を超える方

これは、後期高齢者医療制度の被保険者のうち約4割の方が該当すると言われています。

たとえば年収200万円の方の場合、2024年の保険料引き上げ対象者の条件を満たさないため、保険料は現状と変わりません。しかし、2025年には対象者の条件を満たすため、保険料負担が約3,900円増えることになります。

年収400万円の方の場合は、2024年・2025年とともに条件を満たすため、保険料は年間約1万4,000円増えます。今回のこの法改正に伴い、保険料の年間の上限額もこれまでより14万円高い80万円となります。

後期高齢者医療制度の保険料を引き上げる背景

後期高齢者医療の保険料を引き上げる背景

後期高齢者医療制度の保険料を引き上げる理由としては、2022年より第一次ベビーブームに生まれた団塊の世代が75歳以上になり始めることが挙げられます。

今後さらに75歳以上の後期高齢者が増えていくなかで、医療費が右肩上がりで増加し、反対に保険制度を支える現役世代の人口が減少していくことが予想されています。

そのため、このままでは保険制度を維持することが困難です。より公平な制度の構築を目指すために、政府は余裕のある高齢者の負担を引き上げることを決定しました。

現在の後期高齢者医療保険の自己負担割合は2割

現在の後期高齢者医療保険の自己負担割合は2割

2022年9月までは、後期高齢者医療制度においては後期高齢者の所得に応じて自己負担する割合(1割または3割)が決定されていました。

しかし同年に見直しがおこなわれたことで、2022年10月1日より既に3割を負担している方を除き、一定の所得がある方の負担割合が2割に引き上げられました。2022年に保険料の負担割合の引き上げの対象者となったのは、以下の条件に当てはまる方です。

年金収入+その他の合計所得金額 自己負担割合(改正後)
200万円未満
(世帯内に後期高齢者が2人以上の場合は320万円未満)
1割
200万円以上383万円未満
(世帯内に後期高齢者が2人以上の場合は320万円以上520万円未満)
2割
383万円以上
※現役並み所得者
(世帯内に後期高齢者が2人以上の場合は520万円以上)
3割

課税所得とは、収入から経費と各種所得控除を差し引いた金額です。なお負担引き上げの対象者には、新たな負担割合が記載された保険証が交付されます。

後期高齢者医療制度の保険料はいくら?

2022年・2023年の被保険者1人あたりの平均月額保険料は、6,472円となる見込みです。保険料は2022年・2021年と比較して、114円増加しています。

それぞれの被保険者が納める保険料がいくらになるか分かる保険料の計算方法については、後ほど詳しく解説します。

2025年9月まで!75歳以上の保険料引き上げに伴う配慮措置とは

2022年10月1日より75歳以上の医療保険料が改正

保険料引き上げの対象となる方に対しては、急激な負担の増加を抑え受診の抑制を招かないために、2025年9月30日まで配慮措置が設けられています。

具体的な内容としては、影響が大きい外来医療の1カ月間の負担引き上げに伴う負担増加額を3,000円までに抑えます

例:窓口での自己負担額が1万円だった場合

たとえば、これまで窓口での自己負担額が1万円(1割負担)だった方は、負担引き上げによって2万円(2割負担)となります。つまり、負担引き上げに伴う負担増加額は1万円です。しかし、配慮措置が適用されることにより、負担増加額の1万円が3,000円に抑えられます。

よって、自己負担額の合計はもともとの支払額である1万円 + 3,000円=1万3,000円となり、負担を軽減する狙いです。

後期高齢者医療制度の保険料の計算方法

最後に、後期高齢者医療保険料の計算式について解説します。なお保険料は都道府県ごとに異なり、保険料率も2年ごとに見直されるため、ここでは2022年の東京都における保険料の計算式を参考としています。

後期高齢者医療の保険料は「所得割額」と「均等割額」を合計した額です。

所得割額の計算方法

所得割額は、公的年金収入から公的年金控除と基礎控除を差し引き、所得割率をかけて算出します。

公的年金控除は国税庁のWebサイトで確認できます。また、2022・2023年の東京都の所得割率は9.49%です。計算式に表すと、下記のようになります。

所得割額の求め方

所得割額=基礎控除後の総所得金額等×所得割率

「賦課のもととなる所得金額」は、前年の総所得金額及び山林所得金額並びに株式・長期(短期)譲渡所得金額等の合計から、地方税法に定める基礎控除額(合計所得金額が2,400万円以下の場合は43万円)を控除した額です。

均等割額の計算方法

均等割額は一人ひとりが均等に負担する保険料で、各後期高齢者医療広域連合の議会が収支バランスを見て設定しています。2022・2023年の東京都の均等割額は、4万6,400円です。

前述した所得割額と均等割額の4万6,400円を合計することで、後期高齢者医療の保険料を算出できます。

まとめ

この記事では、後期高齢者医療制度の改正内容や制度の概要について解説しました。

2022年の改正により、一部の対象者は負担割合が1割から2割と倍増するため、生活に大きな影響を及ぼす可能性が高いです。後期高齢者医療制度の被保険者や関わっている方は、改正内容や配慮措置をよく理解して備えておきましょう。

みのだ社会保険労務士事務所 監修者蓑田 真吾

1984年生まれ。社会保険労務士。
都内医療機関において、約13年間人事労務部門において労働問題の相談(病院側・労働者側双方)や社会保険に関する相談を担ってきた。対応した医療従事者の数は1,000名以上。独立後は年金・医療保険に関する問題や労働法・働き方改革に関する実務相談を多く取り扱い、書籍や雑誌への寄稿を通して、多方面で講演・執筆活動中。
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