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給与支払報告書と総括表、提出先と記載内容、提出義務者とは

給与支払報告書とは、地方税法に基づく書類のことです。各従業員の1月1日の住民票上の各市区町村に、前年中の給与所得の金額、その他必要な事項を届け出る手続きとなります。

人事労務担当者としては毎年必要な手続きとなりますが、提出義務の範囲や提出しない際の罰則等知られていないことも多いかと思います。関連する住民税の特別徴収事務も含めて解説していきます。

提出する必要あり?給与支払報告書とは

毎年1月1日時点で給料の支払をしていて、所得税の源泉徴収をしなければならない事業主は、給与支払報告書を1月31日までに各従業員の1月1日時点で居住する区市町村の住民税担当課に提出することになります。その際に提出するのは「給与支払報告書個人別明細書」「給与支払報告書総括表」「普通徴収切替理由書兼仕切書」の3つです。

ちなみに「普通徴収切替理由書兼仕切書」は普通徴収の対象となる従業員がいる場合のみ提出することになっており、対象となる従業員がいない場合は提出しないので注意してください。

また、提出する際は「給与支払報告書個人別明細書」「給与支払報告書総括表」にも普通徴収に関する記入部分があるので、そちらも忘れないようにしてください。

自分のデスク上でできる給与支払報告書の電子申告とは

給与支払報告書はインターネットにて電子申告をすることができます。電子申告する際は地方税ポータルシステム(通称eLTAX:エルタックス)を用います。このサービスにより、事業所の担当者は申告の際、直接窓口に足を運ぶことなく自分のデスクで作業を行うことができます。
eLTAXの利用は土日祝、年末年始を除く平日の8時30分から24時までとなっています。ソフトウェアのバージョンアップは税制改正などがある度に行われます。

また、eLTAXの使用にあたっては利用者IDの取得が必要になります。1月になってから急いでやろうとすると、間に合わなくなる恐れがあるので、申告に必要な内容や作業環境を事前に整えてから申告するようにしてください。

住民税の特別徴収義務者の義務と普通徴収との違い

住民税の納付方法には特別徴収と普通徴収の2種類があります。

特別徴収とは簡単にいうと会社を対象とした制度で、事業主が従業員の税金を給与から差し引き、従業員に代わって納税するというものです。事業所(会社)は、特別徴収義務者となっています。
普通徴収は特別徴収以外の方の制度で、納税通知書が区市町村から送られてくるので、年4回に分けて納税するというものです。

特別徴収義務者である事業所は必ず従業員から税金を徴収しなければならず、たとえば、従業員から自分で税金を納付したいと言われたり、事業所での仕事が増えるから、担当できる人がいないから個人に任せたいと思っても、法律で決められているため特別徴収を避けることはできません。ただ、特別徴収をきちんと行えば、そのあとは税額計算は区市町村が行うので手間がかかりませんし、従業員の納付忘れもなくなります。

納付回数を減らせる住民税の納期の特例とは

特別徴収は、毎月の給料ごとに従業員の給与から税金を差し引き納税するので、基本的には給与ごと、つまり年12回行うことになります。

しかし、この年12回の納付を年2回にすることができる制度があります。それが「納期の特例」です。これは従業員の少ない事業所が利用できる制度で、従業員が常時10人未満の場合、市区町村への申請を行うことができます。

ただし、この特例を受けたからといっても、毎月の給与から税金を差し引く必要がないというわけではありません。これはあくまでも、特別徴収を納めるのが年2回になるだけで、従業員からの差し引き自体は通常と変わらず毎月行わなければいけません。半年分の税金をまとめて納付するための方法ということです。

給与支払報告書未提出や特別徴収しないときの罰則

先ほども説明したように、特別徴収は必ず行わなければなりません。また、給与支払報告書の提出も同様です。これらを行わなかった際には罰則が設けられています。

納付の放棄、滞納が発生した場合、まず納期限20日以内に特別徴収義務者に対して督促状が送られてきます。督促状を受け取っても納付しない場合は滞納処分を受けることになります。滞納処分によって事業所は不利益をこうむることになるので注意が必要なほか、従業員に関しても納税証明書を取得できないなど、様々な面でデメリットがあるので必ず行うようにしましょう。

まとめ

ここまで給与支払報告書とそれに伴う特別徴収についてその概要を紹介してきました。給与を支払う事業所にとって、避けては通れない手続きですし、この作業を行わないと様々な面で不利益をこうむることとなります。

一方で、しっかりと手続きを行うことができれば、税額計算の手間が省けるなどの利点があります。作業内容や申請に必要なものなどをしっかりと確認して、申請を行うようにしてください。

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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