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障害者雇用の重要性、法定雇用率と障害者雇用に関する各種支援措置について

障害者の雇用意欲が高まるとともに、企業(事業主)に対してもさまざまな受け入れ策を考えることが重要になっています。

今回の記事では、障害者の雇用に関してのルールを知るとともに、障害者雇用についてのさまざまな制度(障害者雇用率制度、障害者雇用納付金制度、各種助成制度)や、企業が障害者を雇用するうえで配慮しなければいけないこと、各種届出についてご説明します。

障害者雇用促進法に基づく障害者雇用率制度とは

障害者雇用率制度とは、身体障害者および知的障害者について、一般労働者と同じ水準において常用労働者となり得る機会を与えることとし、常用労働者の数に対する割合(以下:障害者雇用率)を設定して、事業主に障害者雇用率達成義務を課すことにより、それを保障するものです。

この障害者雇用率は、次の算定式による割合を基準として設定されています。

<雇用率設定基準の算定方法>
(身体障害者・知的障害者の常用労働者数+失業中の身体障害者・知的障害者数)÷(常用労働者数+失業者数)=障害者雇用率

<障害者雇用率>
現行の障害者雇用率をご紹介しますと、一般の民間企業では2.0%となっています。また、特殊法人、国および地方公共団体の法定雇用率については、一般の民間企業の障害者雇用率を下回らない率をもとに以下の割合となっています。

  • 特殊法人 2.3%
  • 国、地方公共団体 2.3%
  • 都道府県等の教育委員会 2.2%

なお、障害者雇用率については平成30年度より引き上げられることが決まっています。詳しくは、厚生労働省のホームページ「障害者雇用制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaisha/04.html)のページをご確認ください。

障害者雇用納付金制度とは(徴収、調整金、報奨金)

障害者を雇用する場合、作業環境の改善などで事業主の経済的な負担が大きくなります。その経済的負担を調整するとともに、障害者雇用の推進を図るため設けられたのが、事業主の共同拠出による「障害者雇用納付金制度」です。ここでは、障害者雇用納付金制度に関する以下3つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 納付金

    常用労働者が100人以上の障害者雇用率(2.0%)未達成の事業主は、不足する障害者数に応じて1人あたり月額5万円の「障害者雇用納付金」を徴収します。また、常用労働者が100人以上200人以下の事業主については、平成27年4月1日から平成32年3月31日まで、障害者雇用納付金の減額特例(不足する障害者1人あたり月額4万円に減額)が適用されます。

  2. 調整金

    常時労働者100人以上の事業主で雇用する障害者数が障害者雇用率より多い場合、超えて雇用している障害者数に応じて1人あたり月額2万7千円の「障害者雇用調整金」が支給されます。

  3. 報奨金

    常時労働者100人以下の事業主で、雇用している障害者の数が一定数を超えている場合、超えて雇用している障害者に応じて1人あたり月額2万1千円の報奨金が支給されます。

また、障害者雇用納付金申告もしくは障害者雇用調整金申請事業主、報奨金申請事業主であって、在宅就業障害者または在宅就業支援団体に対し仕事を発注し業務の対価を支払った場合、「在宅就業障害者特例調整金」や「在宅就業障害者特例報奨金」が支給されます。

障害者雇用に関する各種助成の概要について

事業主がハローワーク等の紹介により障害者を雇用した場合や、設備の設置等のために一時的に多額の負担をした場合など、国から以下のような助成が受けられます。ここでは各助成制度を活用するにあたり、その概要について確認しましょう。

<障害者を雇用した場合>

  1. 「特定求職者雇用開発助成金」

    ・特定就職困難者コース
    高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(以下:一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成されます。

    ・発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
    発達障害者や難治性疾患患者をハローワーク等の紹介により、一般被保険者として雇い入れる事業主に対して助成されます。

    ・障害者初回雇用コース
    障害者の雇用義務制度の対象となる労働者数50~300人で、障害者雇用経験のない中小企業が障害者を初めて雇用し、当該雇入れによって法定雇用率を達成した際に助成されます。

  2. 「トライアル雇用助成金」

    ・障害者トライアルコース/障害者短時間トライアルコース
    障害者を試行的に3ヶ月間雇い入れた場合、または週に20時間以上の勤務が難しい精神障害者、および発達障害者を3~12ヶ月間かけて20時間以上の勤務を目指して試行雇用を行う場合に助成されます。

  3. 「障害者雇用安定助成金」

    ・障害者職場適応援助コース
    支援計画に基づき、職場適応や定着に課題を抱える障害者に対し、職場適応援助者による支援を実施した事業主に助成されます。

  4. 「中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金」

    障害者の雇入れに係る計画を作成し、当該計画に基づき障害者を新たに5人以上雇用。また、その雇い入れ後に障害者を10人以上継続雇用するとともに、障害者の雇入れに必要な事業所の施設・設備等の設置・整備を行った中小企業事業主に対して助成されます。

<施設整備を行った場合>
「障害者作業施設設置等助成金」
企業が障害者を雇い入れる、もしくは継続して雇用している場合、対象障害者が障害を克服し作業を容易に行えるよう配慮された施設、または改造等がなされた設備の設置や整備を行う際に費用の一部が助成されます。

<職業能力開発をした場合>
「障害者職業能力開発助成金」
障害者の職業能力の開発や向上を目的とした、対象障害者に対して障害者職業能力開発訓練事業を行うための施設、または設備の設置や整備、更新を行う事業主および対象障害者に対して障害者職業能力開発訓練事業を行う事業主に対して助成されます。

<職場定着のための措置実施を行った場合>
「障害者雇用安定助成金」

  • 障害者職場定着支援コース

    障害特性に応じた雇用管理、または雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫等の措置を講じる事業主に対して助成されます。

ご紹介した各助成については、厚生労働省のホームページより「障害者を雇い入れた場合などの助成」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/intro-joseikin.html)に詳しい内容が記載されています。

障害者雇用に関しての各種届出について

事業主は障害者の雇用や解雇に伴い、以下の届出を行います。

<障害者雇用状況報告>
従業員が50人以上の事業主は障害者雇用促進法43条第7項に基づき、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況をハローワークに報告することが義務付けられています。また、提出に関しては以下のとおりです。

  • 障害者雇用状況報告の提出

    毎年報告時期になるとハローワークから該当事業所に報告用紙が送付されますので、これに必要事項を記入し、7月15日までにハローワーク窓口に直接提出または郵送で返信します。

提出については、電子政府の総合窓口 e-Gov(http://www.e-gov.go.jp/index.html)による報告も可能です。

<障害者解雇届>
障害者を解雇しようとする事業主は、障害者雇用促進法81条第1項に基づき、その旨を速やかにハローワークに届け出なければなりません。
この障害者解雇届は、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html)からダウンロードができます。

これらの書類を忘れずに提出しましょう。

障害者差別禁止と合理的な配慮について

平成28年4月(一部公布日または平成30年4月)より、改正障害者雇用促進法が施行されました。本改正のポイントは以下の3つです。

  1. 障害者の権利に関する条約の比准に向けた対応

    ・雇用の分野での障害者差別の禁止
    雇用分野において障害者であることを理由とする差別的な取り扱いは禁止されます。

    ・合理的配慮の提供義務
    障害者が職場で働くにあたっての支障を改善する措置を行うことが義務付けられます(当該措置が事業主に過重な負担をかける場合は除く)。

    ・苦情処理、紛争解決の援助
    事業主に対して、前述した内容に係る障害者からの苦情を自主的に解決する努力が義務化されます。また、同じく前述した内容に係る紛争について、個別労働関係紛争の解決促進に関する法律の特例を整備します。

  2. 法定雇用率の算定基礎の見直し

    法定雇用率の算定基礎に精神障害が加わります。ただし、本改正の施行(平成30年度)後5年間に限り、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えることに伴う法定雇用率の引上げ分について、本来の計算式で算定した率よりも低くすることを可能としています。

  3. そのほか

    障害者の範囲の明確化、そのほかの所要の措置を講じます。

障害者雇用促進法では、規模や業種にかかわらず、すべての事業主を対象に適用されることが、同法律における合理的配慮指針の基本的な考え方として定められています。

また、対象となる障害者については、「障害者手帳の有無にかかわらず、身体障害、知的障害、精神障害発達障害を含む、その他の心身機能に障害があり、長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける、または職業生活の営みが著しく困難な人」としています。

まとめ

今回の記事では、障害者雇用における制度や助成金、手続き等について解説しました。事業主はご紹介した制度や各種助成制度に関する内容を改めて確認し、障害者が働きやすい職場環境を整えることを心掛けましょう。

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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