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障害者雇用率制度とは?法定雇用率の引き上げや計算方法についてわかりやすく解説

障害者雇用率制度とは?法定雇用率の引き上げや計算方法についてわかりやすく解説

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事業主には障害者雇用義務があり、法定雇用率に従って、障害者雇用を促進しなければなりません。障害者が地域の一員として共に暮らし、共に働く「共生社会」を築くことを目的として、企業や行政機関に一定数の障害者を雇用することを義務付けています。

法定雇用率は都度改正されており、事業主には適切な対応が求められます。また、障害者雇用を促進することで、特例給付金制度を利用できます。事業主に求められる取り組みを確認し、適切に障害者雇用を推進しましょう。

この記事でわかること

  • 障害者の法定雇用率は現状2.3%、2024年に2.5%、2026年には2.7%へと引き上げる方針が決まっている
  • 障害者雇用納付金制度とは、障害者を多く雇用している事業主の経済的負担を軽減し、障害者雇用の水準を高めることを目的にした制度
なんば社会保険労務士事務所 監修者難波 聡明

社会保険労務士の中でも、10%に満たないと言われる助成金を専門に手掛ける特定社会保険労務士/ワークスタイルコーディネーター。なんば社会保険労務士事務所の所長。
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障害者雇用率制度とは

障害者雇用率制度とは

障害者雇用率制度とは、従業員が一定数以上の規模の事業主が、従業員に占める障害者(身体障害者・知的障害者・精神障害者)の割合を「法定雇用率」以上にする義務を負うことで、障害者雇用の促進及び安定を図るための制度です。

各事業主の法定雇用率とは

各事業主は以下の法定雇用率を遵守しなければなりません。雇用義務を履行しない事業主は行政指導がおこなわれます。

各事業主の法定雇用率(令和3年3月1日より)
民間企業 2.3%
国、地方公共団体 2.6%
都道府県等の教育委員会 2.5%

国や特殊法人などは民間企業の法定雇用率を下回らないよう定められています。

対象となる事業主の範囲は従業員43.5人以上

障害者雇用は以下の計算式で算出します。

法定雇用率の計算式

法定雇用率=(障害者の労働者数+失業障害者数)÷(労働者数+失業者数)
障害者には、身体障害者のほか、知的障害者、精神障害者も含まれます。
短時間労働者は、原則、1人を0.5人としてカウント
重度身体障害者、重度知的障害者は1人を2人としてカウント。短時間重度身体障害者、重度知的障害者は1人としてカウント

障害者の法定雇用率は2024年4月から段階的に引き上げ!

先ほど解説した障害者についての民間企業における法定雇用率は「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則等」の改正によって2024年4月から段階的に引き上がることが決まっています。

具体的な引き上げの予定は以下のようになっています。また、対象となる障害者雇用人数も年々拡大していく予定であるため該当する予定の企業は覚えておきましょう。

年度 法定雇用率および
対象企業の規模
2023年時点
※2021年3月〜
2.3%
従業員43.5人以上
2024年4月〜 2.5%
従業員40人以上
2026年7月〜 2.7%
従業員37.5人以上

現行(2023年時点)の法律では、障害者の法定雇用率は2.3%であり対象企業は従業員規模が43.5人以上である場合です。

この範囲が、2024年4月より障害者の法定雇用率が2.5%・従業員規模は40人以上が対象となります。また、2026年7月より2.7%・37.5人以上とさらに拡大されることが決まっています。

2024年4月より新たに障害者雇用の対象となる企業は、以下の対応や申告などが必要になります。人事や労務の担当者は必ず把握しておくことをおすすめします。

障害者雇用の必要対応

  • ハローワークへの障害者雇用状況の申告(毎年6月1日までの状況を報告)
  • 障害者の雇用の促進と継続を図るための障害者雇用推進者の選任を努める
  • 解雇する場合は、ハローワークに解雇届を提出する

従業員数のカウントについて

対象となる企業の従業員数は、1年以上の雇用見込みがある方のなかで「週間所定労働時間が30時間以上の人は1人」「20時間以上30時間未満である人は0.5人」としてカウントします。

障害者雇用人数について、どの程度の障害者が対象となるのかなどもう少し詳細に解説します。

障害者雇用数の算出方法も変更

現行(2023年時点)では、所定労働時間が週間20時間以上30時間未満は0.5〜1カウントされますが、障害者雇用人数の計算方法も2024年4月より変更となります。

内容は、上記にプラスして「10時間以上20時間未満の精神障害者・重度身体障害者・重度知的障害者についても雇用率上0.5カウントとして算出」できるようになります。表にまとめたので確認しておきましょう。

2024年4月からの適用範囲

所定労働時間
30時間以上
所定労働時間
週20時間〜30時間未満
所定労働時間
週10時間〜20時間未満
身体障害者 1
2(重度)
0.5
1(重度)
0.5
(重度のみ)
知的障害者 1
2(重度)
0.5
1(重度)
0.5
(重度のみ)
精神障害者 1 1 0.5

精神障害者について、実際は0.5カウントですが、1カウントとする「精神障害者の算定特例」の適用が当分の間延長になっています。

また、障害者雇用率制度において、対象となる上記の各障害者については以下となります。

障害者雇用率制度の
対象となる障害者

  • 身体障害者「身体障害者手帳において1から6級の該当者」
  • 知的障害者「児童相談所などで知的障害者と判断される者」
  • 精神障害者「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者」

自社で障害者雇用率制度を利用する場合は、対象となる障害者の状況や手帳の柚香期限などをよく確認しながら進めましょう。

障害者雇用についての助成金などが新設

2024年4月より障害者雇用のための事業主支援を強化するという目的で助成金の新設・拡充がされます。詳しい内容は今後追って厚生労働省より公表があるみたいですが、2023年段階で把握できるのは以下内容です。

障害者雇用について
事業主支援強化の内容

  • 障害者雇用に関する相談援助をおこなう事業者から、原則無料で雇入れやその雇用継続に関する相談援助を受けることができるようになる。
  • 高齢者などに職務転換のための能力開発・業務の遂行に必要な者の配置や設備・施設の設置等をおこなった場合に助成金が受けられるようになる。
  • 障害者介助等助成金や職場適応援助者助成金の拡充(職場実習・見学の受入れ助成の新設など)

事業側は障害者雇用について、支援や助成金などについてなにか活用できるか気になる担当者は管轄のハローワークへお問い合わせしてみると良いでしょう。

障害者雇用を推進する企業へのメリット

障害者雇用を推進する企業へのメリット

事業主は障害者雇用の義務を果たすことで、さまざまなメリットを受けることができます。

障害者雇用推進企業へのメリット

  • 障害に関係なく意欲や能力に応じて働き、社会参加できる共生社会を実現する
  • 障害者に活躍の場を作り、提供することにより労働力を確保する
  • 障害者が能力を発揮できる職場環境を作り、生産性の向上を図る

障害者雇用率は法改正により、その比率は年々上がっています。そのため、法定雇用率に左右されず、積極的に障害者雇用を推進していくことで、企業価値を向上できます。

精神障害者である短時間労働者の特例措置とは

精神障害者である短時間労働者の特例措置とは

精神障害者の職場定着率の低さを解消するため、精神障害を持つ短時間労働者の法定雇用率の算定に関する特例措置(算定方法の特例措置)が2023年3月31日(令和5年)まで実施されます。

精神障害のある短時間労働者は0.5人で計算する必要がありますが、特例措置では以下の3つの条件をすべて満たした場合に1人と数えます。

特例措置の条件

  1. 精神障害者である短期労働者
  2. 新規雇い入れまたは精神障害者福祉手帳の交付を受けた日から3年以内の人
  3. 2023年3月31日までに雇い入れられ、かつ精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人

ただし、以下の2点に留意する必要があります。

精神・発達障害者しごとサポーターとは

精神・発達障害者しごとサポーターとは、企業の従業員が精神障害や発達障害について正しい知識と理解を持ち、サポーターとして職場で精神障害者の仕事を支援する制度です。

約2時間の講習形式でおこなわれ、発達障害者などの精神障害についての基礎知識や、一緒に働くうえで必要な配慮などについて学びます。また、受講者には障害者への一定の知識や理解があるという意思表示となる「サポーター意思表示グッズ」が渡されます。

精神・発達障害者しごとサポーター講座は、全国各地で開催されているほか、ハローワークが講師を事業所に派遣して講習をおこなう「出前講座」・「eラーニング」もあり、取り組みを通じて、障害者が適材適所で働ける社会をめざしています。

特例給付金制度の創設

特例給付金制度の創設

特例給付金制度とは、働く意思を持つ週20時間未満の短時間労働でないと従事が難しい障害者に雇用機会の拡大と障碍者雇用の推進のために実施されている給付金制度です。

特例給付金制度は以下の条件を満たす対象者を雇用している事業主に支給されます。

特例給付金制度の対象者

障害者手帳等を保持する障害者
1年を超えて雇用される障害者(見込みを含む)
週所定労働時間が10時間以上20時間未満の障害者

支給額は週所定労働時間20時間以上の労働者」の総数に応じて支給されますが、企業規模によって、支給単価が異なります。

特例給付金制度の支給単価
企業規模 対象障害者1人あたり月額
100人超えの事業主 7,000円
100人以下の事業主 5,000円

特例給付金制度の申請は、昨年度の実績を満たした上で期限内におこなう必要があります。申請期限を過ぎた場合、支給はされません。

令和3年度の場合
企業規模 申請規模
常用雇用労働者の総数が100人以上の事業主 4月1日~5月17日
常用雇用労働者の総数が100人以下の事業主 4月1日~8月2日

支給時期は10~12月、申請先は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構です。

障害者雇用で知っておきたいポイント

障害者雇用を推進する上では、以下のポイントを押さえておく必要があります。

障害者雇用で知っておきたいポイント

  • 障害者雇用納付金制度
  • 障害者の差別禁止及び合理的配慮の提供義務
  • 障害者職業生活相談員の選任
  • 障害者雇用に関する届出
  • 障害者の虐待防止

障害者雇用納付金制度

障害者雇用納付金制度とは、障害者を多く雇用している事業主の経済的負担(作業施設、作業設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等)を軽減し、障害者雇用の水準を高めることを目的にした制度です。

法定雇用率の未達企業のうち、常用労働者の総数が100人を超える事業主から障害者雇用納付金が徴収されます。また、法定雇用率を達成している企業には調整金や報奨金が支給され、作業施設の整備など多額な経費が必要になった場合、費用を賄うための助成金が支給されます。

障害者の差別禁止及び合理的配慮の提供義務

事業主には、募集・採用において、障害者に対して障害者でない者と均等な機会を与えなければなりません。また、賃金・教育訓練・福利厚生などにおける不当な差別的取り扱いも禁止されています。

さらに障害者に対する合理的配慮も義務とされており、障害者からの申し出により、障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければなりません。

障害者職業生活相談員の選任

障害者を5人以上雇用する事業所では、障害者職業生活相談員を選任し、職業生活に関する相談・指導をおこなうことが定められています。

障害者雇用に関する届け出

従業員43.5人以上の事業主は、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況をハローワークに報告しなければなりません。毎年報告時期に送付される報告用紙に必要事項を記入し、7月15日までに提出します。また、雇用している障害者を解雇する際は、速やかに障害者解雇届を速やかに提出しなければなりません。

障害者解雇届

障害者雇用状況報告と解雇届は電子申請での届け出が可能です。

障害者の虐待防止

事業主は障害者の虐待防止のための労働者向け研修(障害者の人権、障害者の特性に配慮した接し方や仕事の教え方など)を従業者に実施しなければなりません。

障害者雇用:まとめ

障害者雇用は、法改正により法定雇用率が都度変更されています。事業主には、障害者が能力や適性が発揮でき、生きがいを持って働けるような職場づくりが、障害者雇用対策基本方針(PDFファイル)で定められています。

また、厚生労働省では障害者雇用に関する優良な中小企業に対する認定制度を実施しています。

積極的に障害者雇用を推進することで、企業価値を向上できます。

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