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人事・労務の仕事内容とは?知っておくべき業務のキホン

従業員を雇用する際に完備しておくべきは、人事・労務の制度です。ところが新規開業する場合などは、人事や労務の仕事自体にイメージがつかないことや、どのようなスキルを持った人事・労務担当者を採用すれば良いか分からないケースもあります。

そこで今回は、従業員を雇用するなら知っておきたい人事・労務の基本的な業務内容について、必ずおさえておくべきポイントをお伝えします。

給与計算

人材を雇用する場合に不可欠な給与計算は本来労務の仕事と考えるケースが多いようですが、会社の規模が小さい場合などは人事部が行う場合もあります。従業員の勤怠管理を行う部署が給与計算も兼務することで、効率良く給与計算をすることができるでしょう。

給与計算は給与支給日に合わせ、給与計算を行うスタッフの作業量やマンパワー、社内の業務とのバランスを考慮したゆとりあるスケジュールで行います。基本給のほか、手当や住民税、社会保険料なども給与計算のために必要な情報のため、これらの情報の管理を行うことも重要な仕事です。

近年、給与計算は社会保険労務士事務所などにアウトソーシングするケースも増えており、その場合、給与計算を管轄する部署はアウトソーシング先とのやりとりを行う必要があります。

勤怠管理

勤怠管理では主に従業員の遅刻、早退、欠勤などの勤務状況を管理します。勤怠の情報は給与計算や有給休暇の取得残日数の管理だけでなく、人事評価などにも利用されます。そのため従業員の勤務状況や出勤・退勤時間などを正確に管理する必要があり、その適切な運用方法を整備することも大切です。

一般的にはタイムカードやICカードなどを使った客観的な記録を基礎として確認、記録することで管理します。ちなみに労働基準法の32条では、従業員に1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないこと、同法35条では週に1回は休日を設けることを原則としています。

これに対して三六協定と呼ばれる協定を従業員と結ぶことにより、労働基準法32条の規定を超える残業や休日労働をさせることが可能です。時間外労働や休日出勤をさせる可能性がある場合は、この労働基準法の知識を身に着けることはもちろん、事前に三六協定の締結をしておく必要があります。

人事採用

良い人材を確保するための要となる人事採用の仕事は、面接や選考だけに限ったものではありません。

例えば人材を募集する広告の媒体選び、広告内容の考案、会社説明会やセミナーの準備のみならず、人事に関する経営戦略の立案にまで携わることがあります。人材採用のスケジュールは新卒・中途採用で異なるケースが多いため、年間を通して人材採用の仕事を行う会社も少なくありません。

面接は人事・労務担当者が行うとは限らず、各部署とも連携して面接官のスケジュールを調整する必要もあります。採用が決定した後も内定者研修や内定式の準備など、採用に関する仕事を一括して行うケースが多くあります。

人員配置

従業員の能力を活かし、会社の利益を最大化させるための人員配置も人事・労務の大切な仕事です。人員配置の仕事では部署への配属だけでなく、従業員の異動、転勤、配置転換、出向、昇進、降格、解雇なども管轄します。

適材適所の配置を行うには人事・労務担当者のみの判断だけでなく、配置転換する従業員の上長や現場の従業員から情報を収集した上で慎重に行う必要があります。人員配置によって従業員のモチベーションが大きく左右されることもあるため、従業員の意志も尊重した上で行うことが好ましいでしょう。

人事評価

人事評価とは、従業員が発揮した能力や挙げた業績を把握した上で行う、勤務成績に対する評価のことです。人事考課とも言われ、その内容は昇給、昇格、賞与などの処遇の際の基礎となります。本来人事評価は処遇のためではなく、従業員の能力向上や成長にフォーカスした制度であり、従業員の活性化と組織の発展のために重要な仕事です。

そのためにも人事評価制度をあらかじめ構築し、評価者の先入観やイメージによる評価でなく、従業員一人ひとりに対して客観的で適切な評価がなされるような基準や仕組みを作っておく必要があります。

そのため人事評価を行う各部門の上長に対する、評価者研修や指導などを行うのも人事評価に関する大切な仕事です。また人事評価の結果を従業員本人にフィードバックすることで、さらなる従業員の成長につなげることができるでしょう。

社会保険加入手続き

従業員を採用する際に健康保険や厚生年金保険などの社会保険の加入手続きをするのも、人事・労務の仕事です。法人の場合は従業員の人数に関係なく、すべての従業員に対して社会保険に加入させる必要がある「強制適用事業所」であるため、社会保険の加入手続きが必要です。

また、個人事業主が行う常時5人以上の従業員を雇用する事業所についても、強制適用事業となります。ただし農林水産業などの第一次産業、美容業、旅館業、飲食店などのサービス業、寺社、教会などの宗教業、士業を行う法務専門サービス業に関しては非適用業種となり、個人事業主の非適用業種の場合は従業員の人数を問わず、社会保険に加入させるのは任意です。

社会保険の加入手続きは所定の用紙や方法で行う必要があり、窓口でなく郵送や電子申請でも行うことができます。また社会保険に加入後、従業員の氏名や住所変更などがあった場合は変更手続きを、従業員が退職した場合には脱退手続きをする必要もあります。

まとめ

人事・労務の仕事といっても様々な業務があり、そのために関連法や諸制度に関する知識が必要であることがわかりました。給与計算業務などは外部の社会保険労務士に業務委託をするケースもあります。

しかし人事評価制度の構築や人事採用などの仕事は会社の目指すべき姿を反映するものであり、会社独自の制度を作って運用することが好ましいでしょう。まずは基本的な人事・労務の仕事を知り、ご自身の会社の理念を反映した人事・労務制度を作りましょう。

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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