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給与計算の必須作業!住民税の計算方法やシミュレーション、納付方法までを解説

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従業員の個人住民税は、給与計算において毎年負担がかかり、納付額決定通知書の配付や6月の給与計算への反映まで、短期間でおこなう必要もあります。
本記事では、総務や経理担当者が知っておくべき住民税についての概要や、簡単な計算方法やシミュレーション方法などを解説します。

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住民税の概要と計算方法

住民税の概要と計算方法

従業員の住民税は、従業員が給与に応じて納付する税金のひとつであり、国に納付する所得税と異なり、都道府県と市区町村に支払う地方税です。

住民税の概要

従業員の住民税は、1月から12月までの従業員の給与収入について、翌年の6月から5月まで12回で分割して支払う後払いです。
12分割するときの端数は6月に納付します。

住民税は、1月1日時点での従業員の居住地(住民票上の住所)である道府県と市町村に納付しますが、納付先は市町村へまとめて納付します。

住民税は全部で5種類あり、このうち会社で関与する住民税は、収入金額に応じて税額がかわる「所得割」と、給与の額にかかわらず一定額である「均等割」です。

住民税の計算方法

住民税の計算方法は、所得税の計算とほぼ同じですが、所得控除額と所得額にかかる税率が違います。

住民税の計算方法を簡単に表すと次のとおりです。

(給与などの所得金額 - 所得控除額)× 税率10% = 所得割額
所得割額 + 均等割額 = 住民税額

具体的に計算するためには、次の流れで計算します。

個人住民税所得割額の計算の流れ

給与収入から控除する給与所得控除は、給与収入により異なります。

令和2年分以降

所得控除については、所得税と住民税とで金額が異なる点に注意が必要です。

所得控除の比較

上記のように所得控除額が所得税と住民税とで異なるため、所得税の計算における所得額と住民税の計算における所得額が違ってきます。
このため、所得税は非課税で住民税(所得割)が課税されることもあります。

所得金額が一定以下の場合は、住民税の所得割または均等割のどちらかあるいは両方が非課税となります。
以下は、東京都の例です。

個人住民税の非課税

住民税の計算を簡単にシミュレーション

住民税がいくらとなるか、インターネットで簡単に計算できます。
多数の市区町村で、簡易なシミュレーションができるサイトを開設しています。
たとえば、東京都中央区、品川区、福岡県福岡市などが開設しており、2021年分と2022年分が計算できるようになっています。

住民税の納付方法

住民税の納付方法

住民税の支払い方法は「普通徴収」と「特別徴収」の2つであり、原則、会社が給与から天引きして納付する際は、「特別徴収」により徴収されています。
税額は市区町村が計算しますが、住民税額は毎年6月にかわるため、従業員ごとに、6月分の給与から毎月天引きする額を変更する作業が必要です。

普通徴収

普通徴収とは、従業員が個人で支払う方法です。
毎年5月から6月にかけて、住民票上の住所がある市区町村から送られてくる納付書に基づいて、一括(6月末日)、または年4回(6月末日、8月末日、10月末日、1月末日)の分割で支払います。

住民税を普通徴収で支払うことができるのは、個人事業主などに限られます。

特別徴収(源泉徴収)と社内における事務

住民税の特別徴収とは、住民税を支払う義務がある従業員にかわって、給与を支払う会社が住民税を支払う方法です。
地方税法第321条の4第1項で定められています。
会社が支払う住民税は、毎年6月から翌年5月までの間、従業員に給与を支払うときに天引きします。

会社側の事務作業は次のとおりです。

なお、従業員の希望で普通徴収による住民税の支払いを選ぶことはできません。

住民税の給与天引きはいつから?

住民税の天引きの開始や天引きする金額の変更は、毎年6月からです。

新卒入社の場合

新卒入社の従業員は、入社1年目は前年の所得がないため、入社2年目の6月から住民税の天引きを開始します。

転職の場合

転職で入社した従業員については、入社の翌月10日までに市区町村へ「給与支払報告 特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を提出します。
前の勤務先が発行している給与所得者異動届出書に必要事項を記載のうえ提出することで、特別徴収を継続します。
入社前に住民税を普通徴収で納付していた場合は、特別徴収への切り替えの申請書を提出して、給料から天引きします。

住民税にまつわる従業員の疑問

住民税にまつわる従業員の疑問

住民税について、従業員から総務担当者へ質問されることもあります。

給与明細に住民税の欄がないのですが

賞与は住民税がかからないため、給与明細に記載されません。

新卒入社の従業員については、入社後2年目の5月までは住民税が徴収されないため、給与明細には表示されません。

従業員の住民税を特別徴収にしていない会社の場合は、従業員が個別に住民税を納付するため、給与明細にも記載されません。

住民税から給与が逆算できますか

住民税は所得額に対して一定の税率であるため、所得額を推測することはできます。
所得額は個人で控除額が異なるため、給与のおおよその目安を推測することはできますが、大きな幅が出ます。

住民税で副業がバレますか

住民税の税率は10%と一定です。
同じような給与水準であるそのほかの従業員よりも住民税が高額である従業員は、副業による収入が疑われます。

従業員が勤務先に副業がバレないように、副業の収入にかかる住民税を普通徴収として確定申告する方法があります。
確定申告の際に、確定申告書第2表の「住民税に関する事項」欄において「自分で納付」にマルを付して、副業の収入にかかる住民税についてだけを普通徴収とする方法です。
副業にかかる住民税の普通徴収については、2023年(2022年の所得にかかる住民税)から、(従業員が確定申告書で「自分で納付」を選択していたとしても)普通徴収をおこなわず特別徴収のみとする市区町村が増えています。
2023年以降の住民税については注意が必要です。

住民税などの給与計算の効率化

給与計算における住民税にかかる作業は、6月の給与計算をおこなう前の短期間に、従業員それぞれから天引きする住民税額を更新する作業が必要です。
同時に、従業員全員へ税額通知書を書面で渡す作業も必要です。

「給与所得等に係る市町村民税・道府県民税 特別徴収税額の決定・通知書(特別徴収義務者用)」を書面で受け取っている場合は、データで入手する方式へ変更することによって給与計算システムへ反映できます。

現在は書面で受け取り、従業員へ書面で渡している「給与所得等に係る市町村民税・道府県民税 特別徴収税額の決定・通知書(納税義務者用)」には、2024年度から電子化される予定です。従業員用の通知書も電子化されれば、従来の書面で渡す作業が不要となります。

短期間での作業が必要な住民税については、給与計算システムの導入で効率化できます。毎年の税制改正に伴う変更についてもクラウド化したシステムを採用することで、システムの更新作業も不要となります。

まとめ

住民税は所得税と異なる支払いであるため、従業員の理解がすすみにくく、会社側にとっても、毎年、全従業員について変更や送付が必要であり、複雑な業務です。
給与計算や税金・社会保険に関する作業は、毎年の改正と今後もすすめられていく電子化に適切に対応するため、システム化による対応が効率的です。

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