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社会保険料の計算に必要な標準報酬月額とは?種類や注意点まとめ

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社会保険社会保険手続き

厚生年金保険料や健康保険料といった社会保険料を算出する際は、被保険者の報酬月額の区分ごとに設定されている「標準報酬月額」を基準にしています。標準報酬月額はいったいどのようにして決められるのでしょうか。
ここでは標準報酬月額の具体的な内容や決定方法、注意点などについて解説します。

標準報酬月額とは

標準報酬月額とは、厚生年金保険料や健康保険料を算出する際に必要となる要素のひとつです。標準報酬月額に保険料率(健康保険料率(介護保険料率)や厚生年金保険料率)を掛け合わせることで、支払うべき社会保険料(健康保険料(介護保険料)や厚生年金保険料)が決まります。

会社から支給される毎月の基本給に、役付手当や通勤手当、残業手当などのさまざまな手当を加えた1カ月の総支給額を「報酬月額」といい、標準報酬月額はこの報酬月額を等級表にあてはめて算出します。
健康保険の等級は1等級の5万8千円から50等級の139万円まで区分されており、厚生年金保険の等級は1等級の8万8千円から31等級の62万円まで区分されています。

被保険者の標準報酬月額は、事業者から提出された届書に基づいて日本年金機構が決定します。

報酬月額とは

報酬月額は、標準報酬月額を算定する基礎となるものであり、毎月の基本給だけでなく交通費(通勤手当)や時間外手当、休日手当など労働の対価となるものはすべて含める必要があります。

賞与に関しては、年3回以下の支給の場合は報酬月額には含まれず、標準賞与額を基準に保険料が別に徴収されます。毎年決まって年4回以上の賞与が支給される場合には、継続的な支払いとみなされ報酬月額に含んで計算する代わりに、賞与からの社会保険料は徴収しない形となります。

社会保険料の計算方法

社会保険料は、「標準報酬月額×保険料率」で求められます。
健康保険料率は都道府県ごとに異なります(厚生年金保険料率は全国同一です)。
たとえば東京都にある会社に在籍する社員で、報酬月額が29万円以上31万円未満の人の場合、標準報酬月額は30万円として保険料が計算されます。

具体的には以下の計算式です。

  • 健康保険料=標準報酬月額30万円×保険料率9.90%(介護保険第2号被保険者に該当する場合は11.63%)
  • 厚生年金保険料=標準報酬月額30万円×保険料率18.300%

【参考】平成31年4月分からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表 – 全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h31/ippan4gatsu_2/h31040213tokyo.pdf

標準報酬月額の決定・改定の種類

標準報酬月額は決定・改定のタイミングによって以下の3つに分けられます。

  • 会社が従業員を雇い入れたときの「資格取得時決定」
  • 算定基礎届を届け出たときの「定時決定」
  • 月額変更届を届け出たときの「随時改定」

ここでは、それぞれ具体的に解説します。

資格取得時の決定

就職や転職などで新たに被保険者を雇い入れた場合、必要事項を「健康保険厚生年金被保険者資格取得届」に記入し、年金事務所や健康保険組合へ届け出ます。
ここに記載された報酬月額に基づいて、日本年金機構が標準報酬月額を決定する流れとなります。

資格取得時決定による標準報酬月額は、1〜5月までに決定があった際はその年の8月まで、6〜12月までに決定があった場合は翌年の8月まで有効となります。
会社側は、被保険者が資格を取得した日から5日以内に報酬月額を記載した被保険者資格取得届を年金事務所や健康保険組合に提出する必要があります(船舶所有者は10日以内)。

ちなみに平成31年4月分からの健康保険、厚生年金保険の保険料額表によると、報酬月額が23万円だった場合、健康保険標準報酬月額の等級は18等級、厚生年金標準報酬月額の等級は15等級となり、標準報酬月額は22万円となります。

【参考】平成31年4月分からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表 – 全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h31/ippan4gatsu_2/h31040213tokyo.pdf

定時決定

会社側は、毎年7月1日時点のすべての社会保険加入者の4〜6月の3カ月間に受けた報酬月額を、「算定基礎届」により年金事務所や健康保険組合に届け出ます。
その後、厚生労働大臣はこの届出の内容に基づいて毎年1回、標準報酬月額を決定し直します。4〜6月に受けた報酬の総額をその期間の月数である3で割った額を報酬月額とし、報酬月額を等級表にあてはめて標準報酬月額を算出します。

これを定時決定といい、決定し直された標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月まで適用されることとなります。

随時改定

給与額に変動があった場合、その額に見合った標準報酬月額を設定する必要があります。したがって、被保険者の報酬が昇給や降給などの賃金の変動により大幅に変わった場合には、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します。
これを随時改定といい、以下の3つの条件をすべて満たす場合に行われます。

  • 昇給または降給などにより固定的賃金に変動があった場合
  • 変動月からの3カ月間に支給された報酬の平均月額に該当する標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額との間に2等級以上差が生じたとき

    (ただし、標準報酬月額等級表の上限または下限にわたる等級変更の場合は、2等級以上の変更がなくても随時改定の対象となります)

  • 3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である場合

2番目の条件をさらに分類すると、固定的賃金が上がり3カ月間の標準報酬月額が2等級以上上がった場合と、固定的賃金が下がり3カ月間の標準報酬月額が2等級以上下がった場合に分けられます。

随時改定により決定された標準報酬月額は、6月以前に改定された場合には再び随時改定などがない限り、当年の8月までの各月に適用されます。さらに7月以降に改定された場合には、翌年の8月までの各月に適用されます。

標準報酬月額に関する注意点

標準報酬月額に関して、以下のことに注意しましょう。

傷病手当金や出産手当金の扱い

傷病や出産のために仕事を休んでいた期間の生活費の一部として、傷病手当金や出産手当金が支給されます。
これらの支給額は、支給開始日の属する月以前の直近の継続した12カ月間の標準報酬月額の平均額をもとに算出されます。

傷病手当金や出産手当金の両方が受給できる期間は、出産手当金のみが支給されます。しかし出産手当金の額が傷病手当金の額よりも少ない場合には、傷病手当金を請求することによって出産手当金との差額が支給されます。

算定基礎届の提出

定時決定において、会社側は、作成した算定基礎届を毎年7月1日から7月10日までの間に年金事務所や健康保険組合へ届け出る必要があります。算定基礎届を提出する作業は一般的に「算定」とよばれており、1年に一度行う重要な作業です。

定時決定において、算定基礎届で届け出る報酬月額は支払基礎日数が17日以上あるものに限られ、17日未満の月においては算定の対象外となる点に注意が必要です。

算定基礎届の対象となる人は、あくまで毎年7月1日時点で会社が使用する被保険者となります。たとえば、社会保険に加入しているけれども海外駐在中や病気、けがで休職、産前産後の休業、育児休業、介護休業している従業員も算定基礎届の対象となります。
すでに退職している人や、6月1日以降に新たに社会保険に加入して標準報酬月額を届け出たばかりの人は、算定基礎届の対象にはなりません。

被保険者月額変更届の提出

随時改定に該当する被保険者がいる場合には、会社側は速やかに「被保険者月額変更届」を年金事務所や健康保険組合へ提出する必要があります。この被保険者月額変更届は一般的に「月変(げっぺん)」と省略して呼ばれています。

このように、会社側が作成した健康保険や厚生年金の適用に関する届出書を提出する場合は、年金事務所や健康保険組合の窓口へ直接提出する方法だけでなく、郵送することも可能です。日本年金機構では日本全国に「事務センター」を設置しており、ホームページ上で郵送先を記載しているため参考にするといいでしょう。

【参考】全国の事務センター一覧(健康保険・厚生年金保険の適用に関する届書等を郵送される場合)- 日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyonushi/sonota/20150216.html

まとめ

  • 標準報酬月額とは、厚生年金保険料や健康保険料を算出する際に必要となる要素のひとつである。
  • 標準報酬月額を決定する元となる報酬月額には、毎月の基本給や通勤手当、時間外手当、休日手当など労働の対価となる賃金がすべて含まれる。
  • 社会保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛け合わせることで算出される。
  • 標準報酬月額の決定・改定のタイミングは、会社が従業員を雇い入れたときの「資格取得時決定」、算定基礎届を届け出たときの「定時決定」、月額変更届を届け出たときの「随時改定」の3つに分類される。
ソビア社会保険労務士事務所 代表社労士/ホワイト財団 代表理事|五味田 匡功

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