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介護休暇とは?介護休業との違いや取得できる条件・理由・日数を解説

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介護休暇と介護休業には、大きな違いがあります。どちらも家族を介護するために会社を休める制度ですが、運用ルールや給付制度の有無などに違いがあります。

高齢化社会の到来により深刻化する介護離職問題を解決するために、企業は育児・介護休業法に則った対応が必要です。

今回は、介護休暇とはどんな休業制度なのか、対象家族・労働者の条件、介護休暇を取得できる理由などを解説します。

この記事でわかること

  • 介護休暇の対象となる家族・労働者の条件とは
  • 介護休暇と介護休業の違い
  • 介護休暇が取得できる主な理由(事例)
監修者
難波 聡明

なんば社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士
https://www.namba-office.osaka.jp/

ワークスタイルコーディネーター。社会保険労務士
社会保険労務士の中でも10%に満たないと言われる助成金を専門に手掛けるの社会保険労務士。

介護休暇とは

要介護状態にある対象家族の介護・世話をするための休暇

介護休暇とは

介護休暇とは、病気やケガ・高齢といった理由で要介護状態になった両親や身内などの家族を介護・世話をする労働者に対して、与えられる休暇を指します。

介護休暇制度は、育児・介護休業法によって定められており、時間単位または半日単位での休暇取得が可能です。その他、直接介護(食事・排泄介助)以外の買い物や書類手続きなどの間接作業にも適用できます。

介護休暇は1年度で最大5日間、介護対象が2人以上の場合は10日間取得でき、有給休暇とは別の休暇として定められています。

年度を事業主が特に定めない場合は毎年4月1日から翌年の3月31日となる。

介護休暇の取得日数
介護対象が1人 年間最大5日間
介護対象が2人 年間最大10日間

介護休暇の対象となる家族・労働者の条件

育児や介護をおこなう労働者が柔軟に介護休暇を取得できるように、育児・介護休業法施行規則では、すべての労働者が時間単位からの取得ができます。

介護休暇の対象家族・対象労働者

介護休暇の対象者・対象労働者
介護休暇の
対象家族
婚姻の届出をしていないが
事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む
配偶者、父母および子供、配偶者の父母
祖父母や兄弟姉妹および孫もこれらの者に準ずる
介護休暇の
対象労働者
・要介護状態にある対象家族を介護する男女の労働者
・雇用期間が6カ月以上の全従業員
(正社員をはじめ、パート・アルバイト
・派遣社員・契約社員も対象)
介護休暇を
取得できない労働者
・日雇い労働者
・雇用期間が6カ月未満の労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
・半日・時間単位での介護休暇取得が
困難な業務に従事している労働者
労使協定がある場合に、
会社は労働者からの介護休暇の申し出を拒むことができます

介護休暇の取得(時間単位・半日単位など)には、就業規則に記載する必要があります。

事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が就業しつつ、対象家族の介護をおこなうことを容易にする措置をとらなければなりません。

介護休業とは

2週間以上、常時介護が必要な対象家族を介護するための休業

介護休業とは負傷や疾病・身体もしくは精神上の障害などの理由から、2週間以上、常時介護が必要な対象家族を介護するための休業です。

介護休暇と同様に育児・介護休業法により定められた労働者の権利です。

介護休業の対象となる家族・労働者の条件

介護休業の対象となる家族は介護休暇の対象家族と同じですが、対象労働者の条件は異なります。

介護休業とは

介護休業の対象家族・対象労働者
介護休業の
対象家族
介護休暇の対象家族と同様
介護休業の
対象労働者
・要介護状態にある対象家族を介護する男女の労働者
・同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
・介護休業取得予定日から起算して93日後から6カ月後までの間に
契約(更新の場合は更新後の契約)の期間が満了することが
明らかでないことのいずれかに該当する者
期間の定めがある労働者の場合
介護休業を
取得できない労働者
・日雇いの労働者
・雇用期間が1年未満、93日以内に雇用関係が終了する労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
・労使協定で定められた一定の労働者
・(労働者ではない)個人事業主、主婦
労使協定で定めた場合、会社は労働者からの育児休業の申出を拒むことができます

(介護対象1人に対して)通算93日までの介護休業は、上限3回まで分割して取得できます。

介護休暇と介護休業の違い

介護休暇と介護休業には、

  • 取得できる日数
  • 申請方法
  • 給付金の有無

に大きな違いがあります。

介護休暇と介護休業の違い

介護休暇と介護休業の違い
項目 介護休暇 介護休業
取得できる日数 1年で5日間
限度として取得可能
要介護状態にある対象家族が
2人以上の場合は10日
対象家族1人につき、
通算して93日に達するまで
3回を上限として分割取得可能
申請方法 所属する就業規則に従って
取得申請をおこなう
労務担当者が介護休業開始日と
介護終了開始日を決定し、
会社への報告・手続きが必要
介護休業給付金制度を使用する場合は、
事業主が所轄公共職業安定所に申請
給付金の有無 企業によって、
賃金の支払有無が異なる
介護休業給付金制度を活用し、
被保険者が介護休業期間終了後に、
計算式で算出された金額が支給される

労働者は介護休業中は賃金が支払われないため、収入課題を解決しなければなりません。

介護休業の取得が3回上限の分割取得が可能なため、収入と支出のバランスを見極めた、計画的な休業取得が求められます。

人事・労務担当者は、介護休暇取得を希望する社員による給与の問い合わせに応えられるようにしておきましょう。

介護休業給付金制度とは

介護休業給付金制度とは

介護休業給付金制度とは、1回の介護休業につき毎回介護休業を開始した日から起算した1カ月ごとの期間の支給額を計算し、支給する雇用保険制度のひとつです。

その1カ月の間に介護休業終了日を含む場合は、その介護休業終了日までの期間とする。

介護休業では、休業期間中は基本的に給料が支払われません。介護休業給付金は一定条件を満たすことで、介護休業終了後に支給を受けられます。

対象者や支給額、申請方法などは下記の表の通りです。

介護休業給付金制度の対象者・給付金・申請方法
対象者 ・家族を介護するための休業をした被保険者
・介護休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が
11日以上ある完全月または賃金の支払いの基礎となった時間数が
80時間以上である完全月(1)が12カ月以上ある労働者(2)
1 過去に基本手当の受給資格の決定を受けたことがある方については、
基本手当の受給資格や高年齢受給資格の決定を受けた後のものに限る

2 介護休業開始日が2020年8月1日以降であって、
介護休業開始日以前の2年間に賃金支払基礎日数の11日以上の
完全月が12カ月に満たない場合
支給額 原則として、休業開始時賃金日額×支給日数×67%
提出者 事業主
提出書類 介護休業給付金支給申請書
添付書類 住民票記載事項証明書等、出勤簿・タイムカード等、賃金台帳等
提出先 所轄する公共職業安定所(ハローワーク)

介護休業を分割して取得する場合、給付金は分割して支給されます。

また、1回の介護休業期間は最長3カ月です。介護休業給付金の支給対象は1回につき最大3支給単位期間となります。介護休業給付の申請は、電子申請でも可能です。

まとめ

介護休暇と介護休業を充実させることは、優秀な人材の離職を防ぐことができます。

労働者にとって、体力的にも経済的にも負担が大きい介護は、深刻な悩みです。

人事・労務担当者として、介護休暇や介護休業の内容を理解・把握して、従業員が取得を申し出た場合、迅速に対応しましょう。

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