この記事でわかること・結論
- 国民年金第3号被保険者関係届とは
- 国民年金第3号被保険者関係届の入手方法や書き方
- 国民年金第3号被保険者関係届についてのよくある質問
この記事でわかること・結論
国民年金第3号被保険者関係届は、第2号被保険者の従業員の配偶者が扶養に入る、または抜ける際に日本年金機構に提出する書類です。適切に記入し、期限までに確実に提出する必要があります。
本記事では、国民年金第3号被保険者関係届の特長や書き方、提出先、提出期限などについて詳しく解説します。
目次
国民年金第3号被保険者関係届とは、厚生年金の第2号被保険者の従業員が扶養している配偶者が国民年金第3号被保険者になる際に、事業所が日本年金機構に提出する書類のことです。
従業員が配偶者を年金制度に加入させたいとの申し入れがあった際は、対象となるかどうか確認のうえで、所定の手続きをおこなう必要があります。また、国民年金第3号被保険者ではなくなるとき、海外転出するときにも提出が必要です。
公的年金は、1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金で成り立っています。国民年金第3号被保険者は国民年金に加入できるものであり、厚生年金には加入できません。たとえば、夫が厚生年金保険に加入しており、妻が国民年金第3号被保険者となる場合、妻は国民年金にのみ加入できます。その際、妻は国民年金保険料を納める必要がありません。
国民年金第3号被保険者関係届が必要なのは、国民年金第3号被保険者になるときだけではありません。
それぞれのケースについて詳しく解説します。
国民年金第3号被保険者になる際は、国民年金第3号被保険者関係届の提出が必要です。離職によって配偶者の収入が低下し、被扶養配偶者としての要件を満たしたときや、結婚したときなどに国民年金第3号被保険者となることを検討します。
配偶者の収入が低下した際は、経済的な困窮を避けるためにも速やかに国民年金第3号被保険者になるための手続きをおこなうことが大切です。
国民年金第3号被保険者の資格を喪失する場合、特定の状況が該当します。喪失したら、14日以内に国民年金第3号被保険者関係届を提出する必要があります。主な喪失要因は以下のとおりです。
国民年金第3号被保険者の資格を喪失した場合、第1号被保険者として国民年金への加入が必要です。国民年金への加入は国民の義務のため、未加入のままでいることはできません。国民年金へ加入する際は、管轄の自治体へ種別変更届を提出します。また、厚生年金に加入する場合は、自身の勤務先へ被保険者資格取得届を提出しましょう。
2020年4月1日以降は、海外への転出の際に国民年金第3号被保険者関係届を提出し、扶養から外れる必要があります。ただし、一定の条件を満たす場合、「海外特例」として引き続き年金制度に扶養加入することが可能です。
ただし、海外での生活が長期間におよぶ場合は、関係機関の窓口へ相談しておくことが重要です。
国民年金第3号被保険者になれるのは、第2号被保険者に生計を維持されている20歳以上60歳未満の被扶養配偶者です。なお、内縁関係にある事実上の婚姻関係者も含まれます。ただし、健康保険とは異なり、扶養親族が対象外であることに注意しましょう。
国民年金第3号被保険者関係届をもって、被扶養配偶者の認定を受けることができます。
上記、それぞれ詳しく解説します。
年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者は年収180万円未満)であることが条件で、同居と別居でそれぞれ留意事項があります。
同居の場合は被保険者(扶養者)の収入の半分未満、別居の場合は被保険者からの仕送り額未満であることが条件です。年間収入は、被扶養者に認定された日から後に得られる見込みの収入のことで、給与所得等がある場合は月額108,333円以下、雇用保険等の受給者は日額3,611円以下が条件です。
被扶養者の収入には、失業等給付や傷病手当金、出産手当金なども含まれます。雇用保険の待機期間中も被扶養者の認定が可能ですが、3,612円以上の基本手当の支給開始後は被扶養者ではなくなります。
なお、収入が扶養者の収入の半分以上であっても、被扶養者の年間収入を上回らない場合、日本年金機構がその世帯の生計の状況を勘案して、扶養者が生計維持の中心的役割を果たしていると認める場合は被扶養者となります。
日本国内における扶養の条件として、同一世帯かどうかが挙げられます。国民年金第3号被保険者においては配偶者のみが関係しています。配偶者の場合、被保険者と同居している必要はありません。たとえば、単身赴任によって従業員と配偶者が同じ住居に住まない場合でも、他の条件を満たす場合は国民年金第3号被保険者になることができます。
国民年金第3号被保険者関係届は、日本年金機構のWebサイトからダウンロードできます。PDFファイルとエクセルファイルのいずれかをダウンロードしたうえで印刷しましょう。エクセルファイルは余白設定やレイアウト設定をしなければ印刷位置がずれることがあるため、PDFファイルのダウンロードがおすすめです。
また、記入例のファイルも同ページにあるため、必要であればダウンロードしてください。
国民年金第3号被保険者は、管轄の事務センターに送付するほか、電子申請も可能です。
e-Govはインターネット上の行政窓口で、24時間365日いつでもどこでも手続きが可能です。直接入力やCSVファイルの添付など、より簡易的な方法で電子申請できます。
電子申請のメリットは、手続きの時間や場所を問わないことです。また、郵送によるやり取りが不要なため、費用と手間を削減できます。また、マイページを通じて申請状況や通知の確認が可能で、手続きの進捗を容易に把握できます。
国民年金第3号被保険者関係届には、以下の記入欄があります。
それぞれ、記入する内容について詳しく見ていきましょう。
以下の情報を記載します。
上記の項目は事業主が記入する必要があります。
以下の情報を記載します。
上記は、第3号被保険者となる配偶者ではなく、第2号被験者となっている配偶者のことです。たとえば、妻が夫の扶養に入っている場合は、夫の情報を記入します。
以下の情報を記載します。
また、海外へ転出、海外から転入した場合にのみ記載する項目もあります。
以下の情報は健康保険証の発行元が記入します。
国民年金第3号被保険者関係届には、被保険者と被扶養配偶者の関係を証明する書類と、収入要件を満たしていることを確認する書類が必要です。また、別居中や事実婚のケースには、追加で書類が求められます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
下記のいずれかを添付します。
配偶者の年間合計所得金額が48万円以下の場合は控除対象配偶者とされ、収入要件を満たしていることを事業主が確認すれば添付書類は不要です。収入要件を満たした事由に応じて、次のように必要書類が異なります。
また、上記以外に収入がある場合は、その収入を証明できる書類と課税証明書を添付します。
被扶養者が別居している場合、扶養の年収要件に仕送りが含まれるため、振り込みや送金の証拠として、「預金通帳写し」や「振込明細書」を提出する必要があります。
また、事実婚の場合は、内縁関係を確認するために、「両人の戸籍謄本」や「被保険者の世帯全員の住民票」が必要です。
国民年金第3号被保険者の申請について従業員に相談された場合は、被扶養配偶者の該当の有無を確認のうえで手続きについて案内することが大切です。今回、解説した国民年金第3号被保険者関係届の書き方や提出方法などを参考に、確実に手続きしましょう。
労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
詳しいプロフィールはこちら