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懲戒処分の訓告とは?戒告や譴責との違いや相当する行為の具体例を解説

懲戒処分の訓告とは?戒告や譴責との違いや相当する行為の具体例を解説

監修者:労務SEARCH 編集部
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この記事でわかること・結論

  • 訓告とは、口頭での厳重注意や書面での指摘などによる懲戒処分のこと
  • 訓告は懲戒処分のなかで最も軽い処罰であり、企業によっては始末書を提出させる場合もある
  • 訓告を含む懲戒処分は、法令に従って適切に手続きを進める必要がある

訓告とは懲戒処分の一つであり、口頭や書面での厳重注意のことを指します。懲戒処分のなかでは最も軽い処罰であるため、処分対象となる行為は軽度の就業規則違反などが該当します。

企業は訓告など懲戒処分をおこなうときは、労働基準法の内容や懲戒権の濫用に配慮しながら慎重にすすめる必要があります。

本記事では訓告について、戒告・譴責との違いや懲戒処分をおこなう際のポイント、訓告処分の流れ、注意点などを解説します。

訓告とは

訓告とは

訓告(くんこく)とは、従業員が職務上の就業規則違反や不適切な行動をした際に、企業がその従業員に対しておこなう軽度な懲戒処分の一つです。

訓告処分は、従業員に対してその行為を改めるよう厳重注意し、再発防止を目的におこなわれます。主に文書(始末書などの可能性もある)で訓告をおこなうことが一般的です。

POINT
訓告は懲戒処分のなかでは最も軽いもの

企業が従業員に対しておこなう懲戒処分は、主に就業規則に準じておこなわれます。懲戒処分は主に7種類あり、違反内容に応じて軽い処分から重い処分まで7段階となっています。訓告は文書などによる厳重注意に留まるような懲戒処分であり、一般的には懲戒処分のなかで最も軽いものです。

もう少し詳細に言うと、軽度な注意や指摘を複数回繰り返してもなお改善が見込めないような場合に、訓告がおこなわれることが多いです。文書での厳重注意のみか始末書を書かせるかなど具体的な訓告の内容は、各企業における就業規則にならって対処されます。

訓告については就業規則に明記することが理想

就業規則には、訓告をはじめとする懲戒処分や懲戒事由の内容を記載しておかなければ無効となる可能性があります。これは、労働基準法第106条および労働契約法第15条の内容から考えられる懲戒処分の合理性に基づいています。


労働基準法第106条

使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則(中略)並びに第四十一条の二第一項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。



労働契約法第15条

使用者が労働者を懲戒することができる場合において(中略)客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。


つまり就業規則への記載がなく訓告などおこなう場合は、上記「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」および「懲戒権の濫用」に該当するものとされ、無効となる可能性があります

実際に無効となった例

過去の判例である「フジ興産事件(最高裁H15.10.10)」では、就業規則に準じて懲戒解雇をしましたが、解雇時点で就業規則は周知されていなかったため原審が破棄されました。

最高裁は上記において「使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種別および事由を定めておくことを要する」と述べていることからも、訓告および懲戒処分については、就業規則への明記・周知が必要だと言えるでしょう。

戒告や譴責との違い

戒告(かいこく)や譴責(けんせき)という言葉も、訓告と同じく懲戒処分の種類ですが、その処分内容はほぼ同等です。戒告・譴責・訓告のどれが使われているかは、企業によって異なります。

しかし、なかには上記3つを区分している企業もあります。その場合は、訓告が口頭での注意、戒告が書面注意、そして譴責が1段階上である始末書での対応としていることが一般的です。

ほかの懲戒処分との違い

懲戒処分は処分の軽い戒告・訓告そして譴責のほかにも、残り5種類があります。それぞれの処分内容の違いをおさらいおきましょう。

懲戒処分の種類
  • 戒告や訓告:厳重注意
  • 譴責:始末書
  • 減給:賃金の減額処分
  • 出勤停止:一定期間の無給停止
  • 降格:役職手当などの不支給
  • 諭旨解雇:退職(任意)の勧告
  • 懲戒解雇:退職(強制)処分

上から処分内容が軽い順番となっており、最も重い懲戒処分は懲戒解雇といって、企業が強制的に対象労働者を退職させるという処分です。それほど違反行為も重大なものであることが多く、退職金も不支給にするケースも多いです。

訓告段階で改善しない場合はどんどんと懲戒処分が重くなってくるため、従業員は一度指摘や注意を受けたら、同じ過ちをしないように気をつけましょう。

公務員は訓告処分できる?

公務員については、国家公務員法82条地方公務員法29条に基づき「免職、停職、減給または戒告」の4種類が懲戒処分として認められています。この場合最も軽い処分は戒告となります。


国家公務員法82条

職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該職員に対し、懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。(以下略)



地方公務員法29条

職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該職員に対し、懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。(以下略)


そして法律上、公務員に対しては訓告という名称の懲戒処分はありません。ですが訓告と同等である厳重注意などは、違反行為のある公務員に対しておこなわれることもあるでしょう。

会社員に対して使われる訓告と比べると、公務員の場合はさらに軽微な処分という扱いになります。

訓告に相当する具体例

訓告に相当する具体例

訓告は懲戒処分のなかでも比較的軽い処分であり、厳重注意や始末書などで対応されますが、具体的にどのような行為が該当するのでしょうか。ここでは従業員が訓告処分となる例を紹介します。

遅刻の繰り返し

従業員が何度も遅刻を繰り返す場合、これは職務遂行に対する責任感の欠如と見なされて訓告の対象となります。遅刻が業務におよぼす影響や、チーム内での信頼関係の損失について厳重注意し、時間管理の改善を求めることが目的です。

不適切な言動

職場での不適切な言動や態度が同僚や顧客から苦情を引き起こした場合は、職場の雰囲気や企業のイメージを損ねるものとして訓告されます。業務命令に背く行為などが例として挙げられます。

業務上の軽微なミスの繰り返し

業務上の軽微なミスを繰り返すことも訓告の理由となり得ます。これには、報告書の提出遅延や細かな手続き上の誤りなどが含まれます。ミスの具体的な内容とその影響、改善策について指摘し業務のクオリティ向上を目指します。

ハラスメント行為

重度ではなく軽度なハラスメント行為についても訓告の対象となります。パワハラセクハラをはじめとして、近年では多様なハラスメント行為が問題となっています。

訓告程度で済めば良いですが、初回から周りの従業員や会社ごと巻き込むほど大事になってしまうようなケースもあります。ハラスメントの種類については、知識として労働者や企業は一度目を通しておくと良いでしょう。

訓告処分する際の注意点

訓告処分する際の注意点

実際に訓告処分をおこなう際は、後から対象者本人とのトラブルにならないように以下ポイントをおさえておく必要があります。

訓告処分する際の注意点
  • 誤認がないようにする
  • 社内公表の有無を慎重に検討する
  • 懲戒処分のルールについて理解する

誤認がないようにする

当然ですが、事実確認が取れない状態で訓告処分をおこなうことは避けるようにしましょう。事実確認が取れていないことで処分は無効となり、本人から裁判にもち込まれる可能性もあります。

また「懲戒権の濫用」として扱われてしまうなど企業にとって不利となる可能性があるため、訓告および懲戒処分をおこなう際は必ず事実確認をおこないましょう。

社内公表の有無を慎重に検討する

社内公表の有無については、慎重に検討する必要があります。社内公表を検討している場合は、公表することに客観的および合理的な理由があるかどうかを入念にチェックしましょう。

また、対象労働者の氏名や具体的な内容の公表は避けましょう。プライバシーの侵害や名誉毀損となってしまう可能性があるためです。

懲戒処分についてのルールを確認する

訓告を含む懲戒処分には、以下のようなルールがあります。企業担当者はよく覚えておきましょう。

懲戒処分のルール
  • 一事不再理の原則(二重処罰禁止)
  • 不遡及の原則

一事不再理の原則とは、刑事裁判における考え方であり「一つの違反行為について2回以上の懲戒処分はできない」というルールです。一つの対象行為で1回の処分というポイントをおさえておきましょう。

また、不遡及の原則とは「新法制定時に、制定前の事例にまでさかのぼって適用されることはない」というものです。懲戒処分については、違反行為時点で就業規則に事由が明示されている場合のみ訓告処分が可能です。

訓告処分の手順

訓告処分の手順

訓告処分をおこなう際の手順は以下のとおりです。適切で慎重な対応を取らなければ対象労働者とのトラブルに発展する可能性もあるため、しっかりチェックしておきましょう。

訓告処分の流れ

  1. 事実確認や証拠を収集する
  2. 就業規則を確認する
  3. 対象者に弁明機会を与える
  4. 訓告処分の決定
  5. 訓告通知書の交付

事実確認や証拠を収集する

問題行為について報告または目撃などした場合は、まず事実確認をしっかりとしましょう。誤認のまま進めてしまうと裁判になりかねません。第三者からの情報も集めながら、対象従業員について訓告処分する必要があるのかどうかを検討します。

就業規則を確認する

事実確認が取れたら、次に就業規則の内容を確認します。今回該当する懲戒処分の種類や懲戒事由などが、きちんと自社の就業規則に明記されていれば問題はありません。

また、懲戒処分段階で就業規則が従業員へ周知されているかどうかも合わせて確認しましょう。

周知しないことは法令違反となる

労働基準法では就業規則の周知義務について定められています。就業規則の周知義務を怠った場合は、30万円以下の罰金を科されることもあるため注意が必要です。

訓告処分について就業規則に定められていないという場合は、そもそも懲戒処分をおこなえません。問題が起こる前に改めて就業規則を確認しておくことを推奨します。

対象者に弁明機会を与える

訓告含む懲戒処分をおこなう際は、対処従業員に弁明機会を与えることが理想とされます。具体的には、面談など設けて対象者本人からの説明を伺い、そして書面で内容を残すなどがあります。

「弁明の機会があった」という事実および物的証拠は、訓告の手続きを適切に進めるうえで効果的です。万が一、対象者からの訴えがあった場合でも企業側が有利に動くことが可能です。

訓告処分の決定

事実が確定し、本人からの弁明が終われば実際に訓告処分を実施するかどうかの判断をします。ここでは、以下のポイントを加味して再度検討しましょう。

訓告処分決定のポイント
  • 事実が確認できる証拠があるか
  • 法的に問題がないか
  • 訓告処分に相当するものか
  • 過去の訓告処分事例があれば比較する

法的に問題がないか確認することはもちろん、訓告処分でさえ重すぎるのではないかというポイントも考えましょう。口頭注意のみでも良いとされるような行為であれば、無効の可能性もあります。

社内に過去の訓告処分事例がある場合は比較し、今回の妥当性を判断するのに参考にしてみましょう。

訓告通知書の交付

妥当性まで確認ができたら訓告通知書(懲戒処分通知書)を作成し、実際に訓告処分をおこないます。記載する内容は「懲戒処分の種類」「就業規則における該当条項」「具体的な対象行為」などです。

訓告通知書(懲戒処分通知書)を作成したら対象従業員へ交付します。文書で渡すことにより懲戒処分についてしっかりと受け止めさせ、余計なトラブルを防止する目的があります。

訓告に関するよくある質問

訓告に関するよくある質問

訓告とはなんですか?
訓告とは、懲戒処分の一つであり最も軽い処分内容です。主に、口頭注意や文書での指定で良いとされるような違反行為などが該当します。
訓告と戒告の違いはなんですか?
懲戒処分のなかでは、訓告や戒告は同等であるとしている企業が多いです。そのため名称の違いはありますが、内容に相違はありません。訓告と戒告を分けて考えている企業においては、訓告は口頭注意、戒告は書面注意としているケースが多いでしょう。
訓告処分するときの注意点はありますか?
必ず誤認がないようにすること、懲戒処分の原則について理解しておくことなどが挙げられます。法律や就業規則をよく確認して慎重に進めましょう。

まとめ

訓告とは、問題行為などおこなう従業員に対して厳重注意する程度の懲戒処分のことを言います。

具体的には、重度の遅刻やハラスメント行為などが訓告の対象行為です。処分内容は基本的には口頭注意や文書注意ですが、企業によっては譴責扱いとして始末書を書かせるケースもあります。

企業は対象者とのトラブルに発展させないためにも、適切な訓告処分の流れや注意点を理解しておきましょう。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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