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中小企業にこそ「働き方改革」!中小企業に必要な人事管理を検討

中小企業にこそ「働き方改革」!中小企業に必要な人事管理を検討

監修者:加治 直樹 かじ社会保険労務士事務所
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この記事でわかること・結論

  • 中小企業でも働き方改革は重要で、経営者の判断で変えやすい。
  • 中小企業の人事管理には募集、配置、評価制度など多岐にわたる。
  • 働き方改革により従業員満足度が上がり、企業の業績につながる。

中小企業と大企業では、人事管理の方法は異なります。大企業のように分業ができず「人員に余裕がなく取り組むことができない」と考える中小企業の経営者もいることでしょう。
しかし、だからといって中小企業には関係ないというわけにはいきません。中小企業はトップの経営者と従業員の距離が近く、経営者の判断で働き方をすぐに変えられるというメリットもあります。

今回は中小企業だからこそできる人事管理について紹介します。

一般的な中小企業の定義を確認!

そもそも、中小企業とはどういった企業のことをさすのでしょうか。中小企業の人事管理について紹介する前に、まずは中小企業の定義を確認しておきましょう。

実は中小企業の定義は、会社法や法人税法などいくつかの法律に記載されているのですが、各法律によって若干の違いがあります。ここでは、中小企業基本法という中小企業に関する法律に記載されている定義を紹介します。同法の中小企業の範囲は、簡単にまとめると、資本金または出資の総額が3億円以下の会社や、常時使用する従業員の数が300人以下の会社もしくは個人の製造業、建設業、運輸業、その他の業種の事業所というものです。

なお、ここに記載される「その他の業種」に関しては以下の3つが該当します。

その他の業種に該当する3つの業者

  1. 資本金または出資の総額が1億円以下の会社や、常時使用する従業員の数が100人以下の会社もしくは個人の卸売業の事業所
  2. 資本金または出資の総額が5000万円以下の会社や、常時使用する従業員の数が100人以下の会社もしくは個人のサービス業の事業所
  3. 資本金または出資の総額が5000万円以下の会社や、常時使用する従業員の数が50人以下の会社もしくは個人の小売業の事業所

常時使用する従業員とは、予め解雇の予告を必要とする者としており、一般的にはアルバイトやパートなども含みます。

また、同法には小規模企業というものも定義されています。小規模企業の定義は、常時使用する従業員の数が20人以下の事業者(商業またはサービス業については5人以下)となっています。

基本的な人事管理とは?内容を確認

ここからは企業が行う人事管理について紹介していきます。人事管理として行われるものには以下のようなものがあります。

人事管理として行われるもの

  •  募集、採用
  • 人員配置・人事異動
  •  人事評価制度
  •  教育(能力開発)
  •  労働時間
  •  賃金
  •  福利厚生
  •  退職
  •  雇用調整

このように、企業が行う人事管理といってもその種類は多岐に渡ります。新たな人材の確保をする必要もあれば、今いる社員の配置を考える必要もあります。また、社員を客観的かつ適正に評価することは、人員配置や給与などに大きくかかわってくるものです。

そのほかにも、残業が多くなり人件費がかさまないように労働時間を管理することや、従業員が働きやすい環境を提供できるように福利厚生を整えること、転職や定年に伴って退職する人の手続きなど、さまざまなことを行います。

いずれにしても、大切になってくるのは自社の現状をしっかりと把握し、現状に合わせて問題点を解決するための制度を作るという点です。人事管理は売り上げなどに直結するものではありませんが、企業の行方を左右する非常に重要なものであるということを忘れないようにしましょう。

中小企業で働くメリットはある?

これから就職しようとしている人、転職しようとしている人のなかには大企業を志向する人も少なくないでしょう。
実際に中小企業の問題としては以下のようなものが考えられます。

中小企業の問題として考えられるもの

  • 賃金が低い可能性
  • ネームバリューがない
  • 年功序列になりやすい
  • 人事部や人事担当が存在しないため、適正な評価を受けにくい
  • 個人の負担と責任が大きい
  • 労働時間や休暇がしっかりとしていない
  • 福利厚生がイマイチ

これらの点を嫌って、大企業を志向する人も少なくないと考えられます。
しかし、中小企業は悪いところばかりではありません。中小企業で働くメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

中小企業で働くメリット

  • 社員数が少ない分、経営者との距離が近い
  • 担当できる仕事の幅が広い
  • 会社の意思決定が速い

離職する人の理由が「人間関係への不満」が高い割合を示しているという結果があるほか、「事業内容への不満」「給与への不満」「労働時間への不満」なども理由として挙げられています。中小企業は、仕事に対する「やりがい」があってフットワークの軽さが特徴であるため、こういった問題点を解決しやすい状況にあるといえます。ぜひ、中小企業としての強みを生かして従業員が働きやすい環境を作るようにしましょう。

中小企業にこそ「働き方改革」は必要です

企業の活動を円滑に進めていくためには人事管理は欠かすことができません。そのためにも、自社が抱えている問題点や先ほど紹介したような「人間関係への不満」「事業内容への不満」「給与への不満」「労働時間への不満」といった従業員が感じる会社への不満をしっかりと把握し、改善していくための制度作りに取り組んでいく必要があります。

こういった取り組みを行うことが、結果的に働いている従業員の満足度を上げ、世間にも「この会社はいい会社」「ホワイト企業だ」といったイメージが生まれ、会社の業績にもつながっていくのです。

働き方改革というと大企業向けのもの、と感じるかもしれませんが、中小企業や小規模企業であっても、働き方改革に取り組み、魅力ある職場づくりに取り組むことは非常に重要です。

もし、改革に取り組みたいけど、どうすればいいのかわからない、という状態に陥ったら「よろず支援拠点」や「働き方改革推進支援センター」「労働基準監督署」「ハローワーク」などに相談窓口が設置されているので、活用することもできます。さらに、助成金なども用意されているため、資金面で困ったときもまずは相談してみてください。

まとめ

今回は、中小企業が行う人事管理について紹介してきました。従業員が働きやすい環境を提供することは企業の重要な責務であり、それを怠ると従業員から不満が出てくるようになります。
最初のうちはどうすればいいのかわからないかもしれませんが、相談窓口や助成金を利用することもできます。

ぜひ、中小企業の経営者のみなさんも働き方改革に取り組んでみてください。

かじ社会保険労務士事務所 監修者加治 直樹

大学卒業後、地方銀行に勤務。融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後にかじ社会保険労務士事務所として独立。
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