労務SEARCH > 人材・組織 > ガバナンスとは?コンプライアンスとの違いやガバナンス・コード、メリット・弊害、作成ポイントを解説
ガバナンスとは コンプライアンスとの違いやガバナンス・コード、メリット・弊害、作成ポイントを解説

ガバナンスとは?コンプライアンスとの違いやガバナンス・コード、メリット・弊害、作成ポイントを解説

監修者:労務SEARCH 編集部
詳しいプロフィールはこちら

この記事でわかること

  • ガバナンスの考え方やコーポレート・ガバナンスの概要
  • コンプライアンスとの違いを明確にし、ガバナンス強化の必要性を知る
  • ガバナンス強化による具体的なメリットと弊害
  • 企業のガバナンス強化における具体的なポイント

組織内の不正は、社会的な信用の失墜につながり、企業価値の低下、ステークホルダーへの損失につながります。

最悪の場合、上場廃止や高額な損害賠償を追う可能性もあるため、企業はガバナンスを強化し、組織による不正を未然に防がなければなりません。

今回は企業が順守しなければならないガバナンスの概要やコンプライアンスとの違い、メリット・デメリットのほか、ガバナンスの作成ポイントを解説します。

ガバナンスとは

ガバナンスとは

ガバナンスとは、組織による不正を未然に防ぎ、組織体制の統治・支配・管理を示すもので、主に国、地方、団体をまとめあげるための言葉です。

コーポレート・ガバナンスとは

ビジネスにおけるガバナンスはコーポレート・ガバナンス(企業統治)と呼ばれており、組織内部が統治対象となります。

そのため、コーポレート・ガバナンスは経営幹部を含む社員全員が対象となり、コンプライアンス違反を未然に防ぐための規則・倫理を作成し、管理体制の整備を意味します。

コーポレート・ガバナンスは、企業が抱える膨大な量の情報(顧客・製品情報)を適切に管理し、企業の内部活動の透明化(可視化)をおこない、企業価値の向上につながります。

その結果、社会的信用が向上し、競争優位性を高め、従業員の労働環境も改善できます。

ガバナンス・コードとは

ガバナンス・コード(コーポレートガバナンス・コード)とは、上場企業の経営者が取り組むべき指針です。

中長期的な企業価値の向上を目的とし、2015年6月から全上場企業への適用が開始された企業統治指針です。

ガバナンス・コードの5大原則

  • 株主の権利・平等性の確保
  • 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
  • 適切な情報開示と透明性の確保
  • 取締役会等の責務
  • 株主との対話

ガバナンス・コードでは、組織内の不正を防ぐために複数の社外取締役選任や政策保有株(持ち合い株)の方針の公開、取締役の多様性の確保(女性・外国人の登用)、CEO(最高経営責任者)の選任・解任の手続きの透明性なども含まれます。

コーポレート・ガバナンスコードには、上記の原則を含む全73個の原則で構成されています

コンプライアンスとの違い

コンプライアンスは、ビジネス上では法令順守を指し、経営幹部から一般社員による組織内の不正(粉飾決算や横領等)を防ぐための整備された管理体制を指します。

ガバナンス(コーポレート・ガバナンス)は、企業統治を指すため、コンプライアンスを改善・維持するための管理体制を指します。

コンプライアンスとは

企業・団体が法令・規則や倫理、社会規範を守る行為で法令順守を指します。社内規則や業務マニュアルなどを指します。

ガバナンスのメリット・弊害

ガバナンスのメリット・弊害

企業のガバナンス強化とコンプライアンス維持は一緒に考えるべきであり、それぞれを実施することで、企業にはさまざまなメリットがあります。

ガバナンス強化・コンプライアンス維持のメリット
社会的信用の向上 顧客の企業への信頼性を向上が可能
競争優位性の確立 社会的信用の向上による競争優位性の確立(製品・サービスのブランドイメージの向上)
持続可能な成長力 中長期的な収益力の向上による新規事業の創出・優秀な人材の確保
労働環境の改善 法律・規則の順守徹底による快適な人間関係や快適に仕事に取り組める組織の構築
株主保護による投資促進 企業活動の透明性を確保することによる、株主への安定的な利益配分と新たな投資の促進
組織内部の不正防止 横領・粉飾決算、企業の私物化などの不正防止による損害賠償請求や売上減少、社会的信用の失墜などのリスクマネジメントの実施
財務強化 透明性の高い情報開示と可視化による金融機関からの融資促進
グローバル経済への対応 経営の健全性や透明性による業務効率化の確保やグローバル経済への柔軟な対応、海外市場の進出・拡大

ガバナンス強化とコンプライアンス維持は、主に社会的信用の向上によって得られる中長期的な企業価値の向上に効果があります。

しかし、ガバナンス強化とコンプライアンス維持を必要以上に徹底することは、企業活動を遅らせることがあり、注意が必要です。

必要以上のガバナンス強化実施による弊害

監視強化による企業活動の遅れ、オーナー企業(ファミリー企業)への効果が薄い、ステークホルダーへの利益確保による経営戦略の実行性が下がる、中長期経営戦略の実施によるビジネス機会の喪失などが挙げられます。

ガバナンス強化のポイント

ガバナンス強化のポイント

ガバナンスを作成にするには、以下のポイントを押さえましょう。

ガバナンス作成のポイント

  • 内部統制の構築と強化
  • 第三者視点の監視体制の構築
  • 社内への徹底した浸透
  • 適切な言葉による提示

ガバナンスを強化するためには、内部統制の構築・強化をおこないます。

順守すべき社内ルール・行動規範や倫理憲章の構築やそれらを監視・指導する体制を構築し、運用します。体制は取締役会や内部監査部門で役割を明確にし、相互監視をおこないます。

組織内の不正は経営陣による粉飾決算・横領も含まれます。そのため、取締役会や内部監査部門以外にも第三者による客観的な監視体制を構築しなければなりません。

外部人材を登用し、外部監査を実施することは、内部では気づきにくい不正を指摘する機会にもつながります。

また、ガバナンスはガバナンスやコンプライアンスへの考え方や方向性を従業員に徹底した周知をおこなってはじめて効果的に機能します。

従業員の業務プロセスを可視化・業務内容の把握をおこない、具体例を用いて、従業員の業務遂行や意思決定の判断基準を明確にします。

ガバナンス:まとめ

ガバナンスの強化は、企業価値の向上や競争優位性を確保するだけでなく、社会的信用の失墜による損害賠償請求や売上減少などのリスクを未然に回避することにもつながります。

上場を目指す中小企業やベンチャー企業において、コーポレート・ガバナンスコードの作成は必須です。

また、ガバナンスの強化は、必然的に労働環境の整備につながり、優秀な人材の確保や業務効率化にもつながります。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
詳しいプロフィールはこちら

本コンテンツは労務SEARCHが独自に制作しており、公正・正確・有益な情報発信の提供に努めています。 詳しくはコンテンツ制作ポリシーをご覧ください。 もし誤った情報が掲載されている場合は報告フォームよりご連絡ください。

この記事をシェアする

労務SEARCH > 人材・組織 > ガバナンスとは?コンプライアンスとの違いやガバナンス・コード、メリット・弊害、作成ポイントを解説